ファクタリングについて「違法業者が多い」「怖い」などのイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?

確かにファクターの中には、法外な手数料を設定する違法業者も存在します。

ファクタリング利用に不安を抱いている場合は、安心して取引ができる銀行系のファクタリング会社がおすすめです。

ただし、銀行系のファクタリング会社は安心ですが、民間のファクターと比較して使い勝手が悪いというデメリットもあるため、メリットとデメリットをしっかりと理解して、適切に使い分けることが重要です。

この記事では、銀行系のファクタリング会社の特徴やメリット・デメリット、どのような人に向いているかについて解説します。

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銀行系のファクタリングとは?

銀行系のファクタリングとは?

銀行系のファクタリング会社には以下の特徴があります。

  • 銀行の子会社が運営しているファクター
  • 保証ファクタリングや国際ファクタリングも取り扱う
  • 貸金者登録を行なっている

銀行系のファクタリング会社は銀行の子会社が運営してうえに、貸金業者登録を行なっている安心感があります。

また、保証ファクタリングや国際ファクタリングといった、一般のファクタリング会社ではほとんど取り扱いのない種類のファクタリングサービスを提供している点も特徴です。

銀行系ファクタリング会社の主な特徴について詳しく解説します。

銀行の子会社が運営しているファクター

銀行系ファクタリングとは、主に銀行の子会社が運営するファクタリングサービスのことです。

銀行にはでんさいとよく似た「一括ファクタリング」というサービスを取り扱っているところもあります。

しかし、売掛債権の買取を行う「買取ファクタリング」を取り扱う場合は、銀行が直接運営しているわけではありません。

そのため、ファクタリング会社を子会社として設立して、その子会社が売掛債権の買取を行なうサービスを展開しています。

銀行系ファクタリングとは、銀行の子会社や銀行の持ち株会社が出資した子会社のファクタリングだと理解しておきましょう。

またファクタリングは日本では比較的新しい資金調達方法で、許認可は一切必要ないため非常に多くの業者が乱立しています。

そしてファクタリング会社の中には、実質的には貸付を行うような違法性の高い業者も残念ながら存在します。

そのため「ファクタリングは怖い」と抵抗感を持っている人も多いのではないでしょうか?

この点、銀行系のがファクタリング会社は、親会社が銀行ですので、安心して利用できます。

保証ファクタリングや国際ファクタリングも取り扱う

銀行系ファクタリングが扱うのは、買取ファクタリングだけではありません。

売掛債権の保証を行う保証ファクタリングや、国を跨いだ決済を保証する国際ファクタリングなど、一般のファクタリング会社では対応していないサービスを取り扱っています。

保証ファクタリングは企業の審査ノウハウを持っていないとリスク管理が困難ですし、国際ファクタリングは世界のトップクラスの金融機関が加盟するFCIに加盟していないと取り扱うことができません。

保証ファクタリングや国際ファクタリングなど、銀行でなければ取り扱いが難しいファクタリングを取り扱っている特徴があります。

貸金者登録を行なっている

銀行系ファクタリング会社は、貸金業者登録を行なっているというのも大きな特徴です。

ファクタリング業務を運営するのに、必ずしも貸金業者登録が必要なわけではありません。

しかし「ファクタリングは実質的な貸付と同じでは?」という意見もあるのは事実です。

貸付であるのであれば貸金業者登録をしなければ営業することはできないので、銀行系ファクターは予防的に貸金業者登録を行ない、仮に「ファクタリングは貸付だ」と判断されたとしても違法性のないうよう業務運営を行なっています。

そのため、手数料は利息制限法の範囲内となっており、低い手数料でファクタリングができます。

また、貸金業者登録をするためには、国家資格である貸金業務取扱主任者が常駐しなければなりません。

国家資格を持った人に相談できる安心感も、銀行系ファクターの特徴です。

銀行系ファクタリング会社の4つの種類とは

銀行系ファクタリング会社にはさまざまな種類のファクタリングの取り扱いがあります。

主に取り扱っているファクタリングの種類は次の4つです。

  • 買取ファクタリング
  • 保証ファクタリング
  • 国際ファクタリング
  • 一括ファクタリング

銀行系ファクタリング会社の4つの種類について詳しく見ていきましょう。

買取ファクタリング

買取ファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社が買い取り、売掛債権の期日前に早期資金化する方法です。

また、ファクタリングは償還請求権なし(ノンリコース)で行われるので、ファクタリング後に万が一売掛先企業が倒産したとしても、申込企業にその責任は及びません。

なお、銀行系ファクタリング会社は、申込企業、売掛先企業、ファクタリング会社の3者で契約を締結する、3社間ファクタリングのみ取り扱いを行なっています。

そのため、手数料が1%台〜5%台程度と非常に低いのが特徴です。

また、銀行系ファクタリング会社は資金力が非常に豊富なので、数億円規模の高額な売掛債権の買い取りにも対応しています。

保証ファクタリング

保証ファクタリングとは、売掛債権に対して保証をつけるものです。

つまり、該当する売掛債権が回収不能になった場合、ファクタリング会社が当該売掛債権の代金の一部を申込企業に対して支払います。

特定の売掛債権に対してのみ、保険をかけられるのが保証ファクタリングの特徴です。

初めての取引で、相手先の信用が分からない場合や、業績不振の噂がある企業と掛取引をする際などは保証ファクタリングが活用できるでしょう。

なお、保証ファクタリングは相手先企業の業況から、貸倒リスクなどを詳細に分析できる審査能力が非常に重要です。

銀行系ファクタリング会社には、母体である銀行が蓄積してきた審査能力があるため、保証ファクタリングは銀行系ファクタリング会社が得意とするファクタリングの1つです。

国際ファクタリング

国際ファクタリングとは、企業が海外の企業と取引をする際に、ファクタリング会社を通じて相手先の与信を調査して、ファクタリング会社がリスクを保証するものです。

国際ファクタリングでは、日本のファクタリング会社が海外のファクタリング会社を通じて海外企業の信用調査を行います。

日本のファクタリング会社と海外のファクタリング会社は、世界のトップクラスの金融機関が加盟するネットワークであるFCIを活用して、海外企業の与信調査を行います。

FCIには独立系のファクタリング会社が加盟するのはほぼ困難ですので、国際ファクタリングの取り扱いがあるのは銀行系ファクタリング会社の大きな特徴だと言えます。

従来、国際ファクタリングでは信用状(L/C)を用いた方法で代金回収を担保してきました。

しかし信用状(L/C)を用いた海外取引には時間と手間がかかるため、最近では信用状(L/C)よもスムーズかつ確実に代金回収ができる方法として、国際ファクタリングを活用する方法が主流になりつつあります。

一括ファクタリング

一括ファクタリングとは、支払いを簡単にするために、支払企業側(買掛金を保有する企業側)がファクタリング会社と契約して利用する支払い方法です。

一括ファクタリングは次のような流れで利用します。

  1. あらかじめ支払企業とファクタリング会社が契約する
  2. 支払企業が商品の仕入れやサービスの提供を受け、納入企業に対して買掛金が発生
  3. 支払企業がファクタリング会社へ支払明細データを送付
  4. ファクタリング会社が納入企業へ代金を支払い
  5. 支払企業がファクタリング会社へまとめて代金を支払う

ポイントは、支払企業が支払事務を簡単にするため、自ら希望してファクタリング会社と契約するという点です。

買取ファクタリングのように、納入企業が希望してファクタリングを利用する訳ではありません。

また一括ファクタリングの契約をするには、ファクタリング会社の厳格な審査に通過しなければならないため、納入企業とすれば一括ファクタリングを利用している会社の方が安心して取引できます。

最近では、でんさいが一括ファクタリングと同じような機能を有しているため、一括ファクタリングの取り扱いは非常に少なくなりました。

しかし、一括ファクタリングも銀行が主に取り扱うファクタリングの1つです。

銀行系ファクタリングと一般のファクタリングの違い

銀行系のファクタリングとは?

銀行系ファクタリング会社と銀行系以外のファクタリング会社の違いは主に以下の3つです。

  • 3社間ファクタリングのみ
  • 取り扱いファクタリングの種類が多い
  • 資本金が大きく高額債権に対応できる

銀行系ファクタリングの買取ファクタリングは主に3社間ファクタリングしか取り扱っていません。

その他、取り扱うファクリングの種類が多いことや、資本金が大きく高額債権に対応できる点が、一般のファクターとの主な違いです。

銀行系と一般のファクターの3つの違いをさらに詳しく見ていきましょう。

3社間ファクタリングのみ

銀行系ファクタリング会社が取り扱っているのは3社間ファクタリングのみです。

2社間ファクタリングは「実質的な融資」との指摘もあるので、コンプライアンス重視の銀行系は利息制限法の範囲内でしかファクタリングを行いません。

しかし、2社間ファクタリングはリスクが高いので、利息制限法の範囲内でファクタリングしてしまったらリスクをカバーしきれないのです。

そのため、銀行系ファクターは2社間ファクタリングは取り扱わず3社間ファクタリングのみに対応しています。

一般的なファクタリング会社は2社間ファクタリングを中心に取り扱っていることに対して、銀行系ファクターは3社間ファクタリングしか取り扱いがない点が特徴です。

3社間ファクタリングしか取り扱いを行なっていないので、手数料が低いですが、資金化までに時間がかかる点、また売掛先企業に秘密にして取引はできない点に注意しましょう。

「すぐにお金が必要」「ファクタリングの利用を取引先に知られたくない」という方は、2社間ファクタリングの取り扱いがある、独立系ファクタリング会社の方が向いています。

取り扱いファクタリングの種類が多い

銀行系ファクタリング会社は、保証ファクタリング、国際ファクタリング、診療報酬ファクタリングなど、特殊なファクタリングを数多く扱っています。

一般的なファクタリング会社が主に買取ファクタリングしか取り扱いがないことと比較すると、銀行系ファクターは資金繰りに困った企業に加え、新規取引先が多い企業や、貿易関係の企業など様々な企業の資金ニーズをファクタリングで満たせます

銀行系ファクタリングで取り扱いの多い特殊なファクタリングの特徴は以下の通りです。

保証ファクタリング 売掛債権をファクタリング会社が保証し、倒産などにより売掛金が回収できなかった場合に保証金が支払われる
国際ファクタリング 海外企業との貿易をする国内業者が、確実に代金を回収する目的で利用する
診療報酬ファクタリング 本来入金までに約3ヶ月かかる診療報酬債権をファクタリング会社が買い取り、早期に資金化する

資本金が大きく高額債権に対応できる

銀行系ファクターは、一般的なファクタリング会社と比較して資本金の金額が圧倒的に大きいのも特徴の1つです。

銀行という巨大企業が出資した会社ですので、資本金100億円以上を超えるケースも珍しくありません。

規模が大きいため一般のファクタリング会社では難しい高額の債権買取にも対応しており、大きな企業もファクタリングによって資金調達が可能です。

一般的なファクターは資本金が多くても1億円程度ですので、基本的には億を超える買取に対応していません。

銀行系ファクタリング会社は売上規模の大きな中規模以上の企業でも安心して利用できる点も特徴です。

銀行のファクタリングと売掛債権を活用した融資の違い

銀行はファクタリング会社を所有してファクタリングを取り扱っていますが、そもそも銀行には売掛債権を活用した次のような資金調達方法があります。

  • 売掛債権担保融資
  • 手形割引

銀行のファクタリングとこれらの資金調達方法は「売掛債権を活用している」という点は同じですが、中身はかなり異なります。

銀行のファクタリングと、売掛債権担保融資・手形割引の違いを詳しく解説していきます。

借入か債権譲渡か

ファクタリングと売掛債権担保融資は、借入か債権譲渡かという違いがありあります。

ファクタリングは売掛債権という資産をファクタリング会社へ譲渡(売却)して資金調達する方法です。

資産を売却して現金という資産に換えているたけですので、貸借対照表で負債にはなりません。

一方、銀行からの融資は、銀行からお金を借りているため、貸借対照表に負債として計上されます。

負債を増やして現金という資産を増やしているのが借入という行為です。

借入の場合には負債が増えるので、自己資本比率が低下するなどのデメリットがあります。

売掛債権担保融資は銀行からの借入

売掛債権担保融資は、売掛金などの売掛債権を担保にして銀行からお金を借りる行為です。

銀行は万が一の場合には、担保になっている売掛債権から融資金を回収できますが、基本的な返済は借主自ら行います。

一方、ファクタリングは売掛債権の売却です。

ファクタリング会社へ売却した時点で、売掛先企業に対する債権者としての立場は、ファクタリング会社へ移るため、基本的には返済は売掛先企業がファクタリング会社へ行います。

2社間ファクタリングは支払企業を通してファクタリング会社へ代金を返済しますが、これはあくまでも例外的な措置です。

手形割引は手形の譲渡だが償還請求権あり

手形割引は金融機関へ手形を譲渡して、その代金を期日前に金融機関から受け取ります。

したがって手形の期日になると、手形の譲渡を受けた金融機関が手形の取り立てを行い自ら回収を行います。

ここまでは、手形割引とファクタリングは変わりません。

しかし手形割引には償還請求権があります。

償還請求権とは、売掛債権が万が一デフォルト(支払不能)になった場合に、支払企業が代金を補償するというものです。

したがって、手形割引後に手形が不渡になった場合には、支払企業は金融機関に対して代金を補償しなければなりません。

一方、ファクタリングは償還請求権がないので、万が一の場合にも損失はファクタリング会社が負ってくれます。

ファクタリングには、ファクタリング会社側に「債権のデフォルトリスク」が生じるため、手形割引よりも手数料が高くなります。

銀行系ファクタリングのメリット

銀行系ファクタリングのメリット

銀行系ファクタリングを独立系のファクタリングなどと比較した場合のメリットは主に以下の4つです。

  • 手数料が低い
  • 安心して取引できる
  • 保証ファクタリングや国際ファクタリングも利用できる
  • 数億円単位の買取にも対応

銀行系ファクタリングは、低い手数料で安心して取引ができる点が最大のメリットです。

また、保証ファクタリングや国際ファクタリング、高額のファクタリングなど、銀行系でしか対応できなサービスが多い点もメリットとしてあげられます。

銀行系ファクタリング会社の4つのメリットについて詳しく解説していきます。

手数料が低い

銀行系のファクタリング会社は手数料が非常に低いのが大きなメリットです。

銀行系ファクターはコンプライアンス重視のために、ファクタリングであっても手数料が利息制限法の上限金利を超えることは基本的にありません。

一般的なファクタリング会社が1ヶ月で10%〜20%もの手数料が発生することと比較すると、銀行系ファクタリングはその10分の1程度の手数料負担です。

ファクタリングでありながら、融資と同じ程度の手数料負担で資金調達できるのは銀行系ファクタリングのメリットです。

低コストでファクタリングを利用したい方に、銀行系のファクタリングは向いています。

安心して取引できる

銀行系ファクタリングは安心して取引できることも大きなメリットです。

親会社が銀行という信頼できる企業である上、貸金業者登録によって国から認められた会社であるためです。

ファクタリング業を営むためには、登録や許認可は一切必要ありません。

そのため、ファクタリング会社の中には違法性が強いグレーな業者も混じっているため、ファクタリングを初めて利用する人の多くが「どの業者を選べばいいか分からない」という問題を抱えています。

銀行系であれば、大手銀行傘下ですので、どの会社を選択しても安全に取引できます。

銀行系ファクターの安心感はファクタリングに不安を感じている人にとって大きなメリットです。

保証ファクタリングや国際ファクタリングも利用できる

銀行系ファクターは保証ファクタリングや国際ファクタリングも取り扱っています。

特に国際ファクタリングは、世界の大手金融機関しか加盟できないネットワークに入っていないと取り扱いができません。

独立系のファクタリング会社の多くが買取ファクタリングのみの取り扱いとなっているため、保証ファクタリングや国際ファクタリングなど一般のファクターには利用できないファクタリングを取り扱っているのは、銀行系ファクタリング会社のメリットです。

数億円単位の買取にも対応

銀行系のファクタリング会社は、資金力が豊富ですので、数億円単位の高額な売掛債権の買い取りにも対応しています。

一般的なファクターの買取限度額は1億円程度で、基本的には数百万円単位の買い取りしか取り扱っていません。

しかし、資本金が膨大な銀行系ファクタリング会社は、数億円単位の高額買い取りにも対応することができます。

数億円の売掛債権が発生する中規模以上の企業でも、銀行系ファクタリング会社であれば資金調達することが可能です。

銀行系ファクタリングのデメリット

銀行系ファクタリングのデメリット

安心して低い手数料でファクタリングができる銀行系ですが、中小企業にとっては実用性が低いと言えます。

銀行系ファクタリングには以下の6つのデメリットがあるからです。

  • 2社間ファクタリングの取り扱いがない
  • 資金化までに時間がかかる
  • 審査が厳しい
  • 少額だと相手にされない
  • 窓口へ訪問の必要がある
  • 銀行借入に悪影響する場合がある

急ぎの資金には対応できませんし、少額債権であれば相手にされないこともあります。

銀行系ファクタリングの5つのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

2社間ファクタリングの取り扱いがない

銀行系ファクタリング会社は3社間ファクタリングしか取り扱っていません。

2社間ファクタリングはリスクが大きすぎて、利息制限法の範囲内の手数料率では対応できないためです。

一般的にファクタリングを利用する多くの企業が「ファクタリングについて取引先に秘密にしたい」と考えています。

特に、取引先との力関係で不利な立場に立つことが多い、小規模事業者であればファクタリングの利用を取引先には知られたくないと思うものです。

しかし、3社間ファクタリングでは必ず売掛先の同意が必要になるので、銀行系のファクターでは売掛先に秘密にすることはできません。

銀行系ファクタリングで2社間ファクタリングが利用できない点は、特に中小企業にとって一般のファクターと比較して大きなデメリットと言えるでしょう。

資金化までに時間がかかる

銀行系のファクタリング会社は資金化までに時間がかかってしまい、急いでお金が必要な場合に対応できません。

銀行系ファクタリング会社は以下の2つの理由によって資金化までに時間がかかります。

  • 3社間ファクタリングである
  • 審査に時間がかかる

3社間ファクタリングでは、売掛先の同意を得るまでに1週間程度の時間がかかるのですぐに資金化することは不可能です。

そもそも銀行系ファクターは審査のプロセスが複雑になっているので、審査自体にも1週間程度かかります。

これらの理由によって、銀行系ファクタリング会社で申し込みから資金化できるまでの時間は2週間程度必要になり、急いでお金が必要なときには対応してもらえません。

一般のファクターの多くが最短即日資金化に対応していることと比較すると、この点はデメリットです。

審査が厳しい

銀行系のファクタリング会社は審査が厳しいのもデメリットです。

銀行は融資によって「事業活動が継続し企業を発展させていく」という公共的な使命を背負っています。

その傘下である銀行系ファクターも同じような価値観で審査を行なっています。

そのため、ファクタリングに応じても事業継続が困難と判断できるような、長期間赤字が継続している企業や、債務超過回収が困難な企業は審査に通過できない場合があるでしょう。

ファクタリングを利用する多くの企業が赤字や債務超過で資金繰りが厳しい企業です。

しかし、このような企業ほど銀行系のファクタリング会社は利用することが難しいというジレンマがあります。

一般のファクタリング会社は赤字や債務超過でも利用できることと比較すると、この点は大きなデメリットといえます。

ただし、銀行系のファクタリング会社は3社間ファクタリングで実施されます。

3社間ファクタリングでは、売掛債権の資金が直接ファクタリング会社へ支払われ、あらかじめ売掛先の同意を得て契約するため、代金の持ち逃げや流用、二重譲渡や架空請求などのリスクがありません。

そのため、「申込企業の審査」という点では独立系ファクタリング会社よりも審査が緩い可能性があります。

申込企業の業況は審査にそれほど影響しないと考えられるので、赤字や債務超過で銀行の融資を断られたら、傘下のファクタリング会社へ相談することで審査に通過できるかもしれません。

少額だと相手にされないケースも

銀行系ファクターに100万円前後の売掛債権のファクタリングを依頼しても、相手にされずに断られてしまうケースが多々あります。

数億円規模のファクタリングを得意としている銀行系ファクタリング会社は、小規模のファクタリングの取り扱いは原則行なっていません。

中小企業が100万円前後の売掛債権のファクタリングを依頼しても、相手にされずに断られてしまうことになるでしょう。

銀行系ファクタリング会社は中小企業にとって実用性が乏しく、一般のファクタリング会社が少額でも買い取ってくれることと比較すると、明らかなデメリットです。

ただし、地方銀行傘下などのファクタリング会社は数百万円規模の売掛債権の買い取りも行なっているので、あまり金額が大きくない売掛債権を銀行系でファクタリングしたい場合には、地方銀行傘下のファクタリング会社へ相談するとよいでしょう。

窓口へ訪問の必要がある

銀行系ファクタリング会社は対面で契約をしなければなりません。

これは一般のファクタリング会社でも同じケースが多いですが、一般のファクタリング会社の中には出張してくれる会社や、最近ではオンライン完結型のファクタリング会社も非常に多くなっています。

しかし、銀行系ファクタリング会社は、よほど規模の大きな企業でない限り出張は行わないので、中小企業はほぼ確実に来店を求められるでしょう。

会社の近くに銀行系ファクタリング会社の店舗がない企業にとっては、これだけで時間的・金銭的な大きな負担になります。

オンライン契約や出張してくれる独立系のファクターと比較して、この点も大きなデメリットだと言えるでしょう。

銀行借入に悪影響する場合がある

銀行系ファクタリングを利用することで、関連する銀行からの借入に悪影響する可能性もあります。

原則的にファクタリングを利用したことは決算書では分かりにくいため、ファクタリングを利用したらと言って融資取引に特別影響することはほとんどありません。

しかし銀行系ファクタリングを利用した場合は、銀行借入に悪影響する場合があります。

銀行傘下のファクタリング会社を利用すれば、利用した情報が銀行にも共有される可能性が高いためです。

ファクタリングを利用したことを知った銀行は、当該企業に対して「資金繰りが厳しい」「お金に困った事情を抱えている」などとネガティブな判断をする可能性が高いため、自社の評価がマイナスになり、融資審査に通過できない可能性があります。

銀行系ファクタリングを利用する場合には、自社のメイン銀行とは無関係なファクタリング会社を選択した方がよいでしょう。

銀行系ファクタリングが向いている人・向かない人

銀行系ファクタリングが向いている人・向かない人の特徴は以下の通りです。

向いている人
  • 高額債権を保有している
  • 安心の取引をしたい
  • 入金スピードよりも安い手数料を重視している
  • 取引先にファクタリングが知られても問題ない
  • 自社に適切な特殊なファクタリングサービスを利用したい
向かない人
  • 売掛債権が100万円程の小規模事業者
  • 1日でも早く資金調達をしたい
  • 取引先に知られずに利用したい
  • ファクターの事務所へ訪問するのが難しい地方事業者

銀行系ファクタリングには、そもそも高額債権を保有していなければ相手にされないデメリットがあるため、利用できる人は限定されてしまいます。

銀行系ファクタリング会社が向かない人は、一般のファクタリング会社を検討しましょう。

一般のファクタリング会社であれば、2社間ファクタリングの取り扱いがあったり、最短即日で資金調達ができたりと、銀行系ファクタリングでは対応できない要望にも応えられます。

銀行系ファクタリングが向いている人

銀行系ファクタリングにはどんな人が向いているのか、詳しく解説していきます。

高額債権を保有している

高額の売掛債権を保有している人は銀行系のファクタリング会社が向いています。

銀行系のファクタリング会社は資金力が豊富ですので、億を超えるような超高額の売掛債権にも対応しているためです。

一方、独立系のファクタリング会社は、上限が1億円程度で、初見の顧客に対しては数百万円程度の買取までしか行なっていません。

高額な売掛債権をファクタリングで資金化したい場合には、独立系のファクタリング会社ではなく、銀行系のファクタリング会社の方が向いています。

安心の取引をしたい

「安心できるファクタリング会社と取引したい」という方も、銀行系ファクタリング会社が向いています。

ファクタリング会社は非常に数が多く、中には実質的には違法貸付を疑われるような違法性の高い業者も混じっています。

しかし、銀行系ファクタリング会社は、コンプライアンスを最重視する銀行が経営に関与しているため、違法性のある取引はまず行いません。

「とにかく、ファクタリング会社の安全性を重視したい」という方は、銀行系のファクタリング会社を利用しましょう。

入金スピードよりも安い手数料を重視している

手数料の安さを重視している方も銀行系ファクタリングがおすすめです。

銀行系のファクタリング会社の手数料は1%台〜5%台と非常に安価です。

独立系ファクタリング会社で2社間ファクタリングを利用した場合には、10%〜20%程度の手数料がかかることと比較すると、銀行系の方が圧倒的に低いコストで資金調達できます。

ただし、銀行系のファクタリング会社は資金化までに2週間以上の時間がかかることもあるので、入金スピードを重視する人には不向きです。

「入金スピードを重視するよりも、とにかく安い手数料を希望する」という方にとっては、独立系よりも銀行系のファクタリングがおすすめです。

取引先にファクタリングが知られても問題ない

売掛先企業にファクタリングを利用したことが知られても大丈夫という企業も銀行系のファクタリング会社が向いています。

銀行系ファクタリング会社は3社間ファクタリングしか取り扱っていないので、契約時に売掛先企業の同意が必ず必要です。

そのため、ファクタリングを利用することは、ほぼ確実に売掛先企業に知られてしまいます。

ファクタリングを利用したことを売掛先企業に知られてしまうと「資金繰りが悪い」「経営状態が悪いのかもしれない」ななどと疑われて、今後の取引に悪影響する可能性もあります。

そのため、取引関係との関係性がしっかりと構築されており、ファクタリングを利用したことを知られても問題がないという売掛先企業に対する債権を保有している場合には、3社間ファクタリングの利用が向いています

自社に適切な特殊なファクタリングサービスを利用したい

買取ファクタリング以外の特殊なファクタリングサービスを利用したい方も、銀行ファクタリングが向いています。

銀行系のファクタリング会社には買取ファクタリング以外にも次のようなファクタリングの取り扱いがあります。

  • 保証ファクタリング
  • 国際ファクタリング
  • 一括ファクタリング

そして、買取ファクタリングでも、診療報酬ファクタリング、介護報酬ファクタリングなど、多くの種類の取り扱いがあります。

通常の商取引から生じた売掛債権の売却以外のファクタリングを利用したい場合には、銀行系のファクタリング会社を利用するのがよいでしょう。

銀行系ファクタリングが不向きな人

急いで資金が必要な小規模事業者は銀行系ファクタリングには不向きです。

銀行系ファクタリングには向いていなひ人の特徴や、その理由について詳しく解説していきます。

売掛債権が100万円程の小規模事業者

売掛債権の金額が100万円程度という規模の事業者は銀行系ファクタリングは不向きです。

銀行系のファクタリング会社は、高額の売掛債権の買い取りを得意としている一方、少額の売掛債権の買い取りには対応していないケースも多いためです。

数十万円規模であれば、まず買い取りに応じてもらうことは難しいでしょう。

事業規模の小さな企業は、十万円程度〜の少額買い取りに対応している独立系ファクタリング会社の方が向いています。

1日でも早く資金調達をしたい

急いで資金調達をしたい方も銀行系ファクタリングには向いていません。

銀行系ファクタリング会社は契約に時間のかかる3社間ファクタリングを取り扱っていることと、審査に時間がかかることから、申込から契約まで2週間〜3週間程度の時間がかかります。

そのため「数日以内にお金が必要」という急いで資金が必要な企業にとって、銀行系のファクタリング会社は不向きです。

独立系のファクタリング会社で2社間ファクタリングを利用すれば、最短即日で資金調達でき、オンライン完結契約に対応しているケースもあります。

急いで資金が必要な方は、銀行系ファクタリングではなく独立系ファクタリング会社を利用した方がよいでしょう。

取引先に知られずに利用したい

取引先に対してファクタリングを利用したことを秘密にしたい方は、銀行系ファクタリングは不向きです。

銀行系ファクタリングは3社間ファクタリングしか取り扱っていないため、ファクタリングを実施する前には必ず取引先の同意が必要になり、契約当事者として売掛先企業も加わるためです。

あらかじめ取引先の同意を得てファクタリングを利用するのが銀行系ファクタリングですので、取引先に知られず利用することはできません。

「取引先に秘密にしたい」「ファクタリングの利用を知られたら取引を切られてしまうかもしれない」と心配な方は、契約当事者として売掛先企業が関与しない、2社間ファクタリングを利用しましょう。

ファクターの事務所へ訪問するのが難しい地方事業者

地方に所在して、ファクタリング会社の事務所へ訪問することが難しい、地方に所在する事業者の方も銀行系ファクタリングは向いていません。

銀行系ファクタリングを利用するためには、基本的にファクタリング会社の事務所へ訪問する必要があるためです。

初回は申込時と契約時で最低2回は訪問が必要になるでしょう。

地方に所在する企業などは、ファクタリングを利用する都度、数時間かけてファクタリング会社の事務所を訪問しなければならないケースもありますが、これは労力も交通費も馬鹿にならないため、繰り返し利用することが困難です。

独立系のファクタリング会社であれば、申込から契約までオンラインで完結し、どうしても面談が必要な場合は会社へ担当者が訪問してくれる場合もあります。

ファクタリング会社の事務所への訪問が難しい地方の業者は銀行系ファクタリングよりも独立系のファクタリングの方が向いています。

なお最近は、地方銀行系の企業もファクタリングを取り扱うようになったため、手数料の低いファクタリングを探している方は地元銀行へ相談するのも有効な方法です。

銀行系ファクタリング10選

メガバンクをはじめとして、有力な金融機関の多くが傘下にファクタリング会社を保有しています。

大手金融機関系列のファクタリング会社として、代表的な会社は以下の通りです。

  • 三菱UFJファクター
  • みずほファクター
  • SMBCファイナンスファクター
  • 百十四銀行
  • りそな決済サービス株式会社
  • 十六銀行
  • スルガ銀行
  • 横浜銀行
  • 静岡銀行
  • 北洋銀行

メガバンクや地銀大手傘下の大手ファクター10社の特徴や、取り扱うファクタリングの種類になどについて詳しく解説していきます。

三菱UFJファクター

三菱UFJファクターは三菱UFJグループのファクタリング会社です。

資本金は約20億円で、取り扱っているファクタリングは以下の通りです。

  • 保証ファクタリング
  • 国際ファクタリング
  • 買取ファクタリング

この他代金回収サービスも行なっています。

日本最大の銀行グループのファクターとして、国際ファクタリングを扱っているので、貿易企業にとっては利便性が高いファクターといえます。

みずほファクター

みずほファクターはみずほグループのファクタリング会社で「2019年度アジア・パシフィック地域の最優秀輸出入ファクター賞」を受賞した国際ファクタリングでは信頼と実績が高く評価されている会社です。

資本金は10億円で、取り扱っているファクタリングの種類は以下の通りです。

  • 保証ファクタリング
  • 国際ファクタリング

買取ファクタリングは行なっていないので、資金繰りに困窮している中小企業はそもそも利用する用途はありません。

国際ファクタリングには大きな強みを持っているので貿易企業は利用を検討してもよいかもしれません。

SMBCファイナンスサービス

SMBCファイナンスサービスは三井住友グループのファクタリング会社です。

資本金は717億円と非常に規模が大きく、ファクタリングよりも決済サービスをメインにしている会社です。

SMBCファイナンスサービスが取り扱うファクタリングは以下の通りです。

  • 保証ファクタリング
  • 国際ファクタリング

こちらも買取ファクタリングは取り扱っていません。

しかし、保証ファクタリングでは建設債権保証を行なっているので、工期が長い建設業が連鎖倒産を防止するために利用するとよいでしょう。

中小企業が資金繰りのために申し込むことはできません。

百十四銀行

百十四銀行は香川県の地方銀行です。

百十四銀行では一括ファクタリングを取り扱っています。

従来の手形による決済を廃止し、あらかじめ百十四銀行と契約を締結し、百十四銀行が売掛先企業に対して支払いを行うので、取引先企業には確実な支払いが担保されます。

一括ファクタリングは百十四銀行の厳しい審査に通過した人しか利用できないため、一括ファクタリングを契約することで、取引先からの信頼確保につながるでしょう。

なお、百十四銀行では、買取ファクタリングは取り扱っていないため、資金調達は融資しか方法はありません。

りそな決済サービス株式会社

りそな決済サービスはりそな銀行傘下の決済代行会社です。

りそな決済サービスで取り扱っているファクタリングは次の2種類です。

  • 保証ファクタリング
  • でんさい活用型ファクタリング

でんさい活用型ファクタリングとは、取引先との間に生じた、でんさいをりそな決済サービスに売却して、早期資金化を図る方法です。

ただし、でんさい活用型ファクタリングは銀行で取り扱っている、でんさい割引と大きく変わりません。

手数料は銀行の方が低くなるのが一般的ですので、でんさいを所有しているのであれば、銀行ででんさい割引を利用した方がよいでしょう。

特徴的なのは、保証ファクタリングの取り扱いがあるという点です。

保証ファクタリングは売掛債権が万が一デフォルトした場合の補償を得るものです。

金額の大きな売掛債権を保有している際は保証ファクタリングを利用することで、貸倒損失のリスクから企業を守ることができます。

また、初めて取引する企業の与信を調べたい場合にも活用できます。

りそな銀行の豊富な審査実績があるからこそ、安心して保証ファクタリングを利用可能です。

十六銀行

十六銀行は岐阜県の地方銀行です。

十六銀行では、一括ファクタリングを取り扱っています。

一括ファクタリングを利用することで、支払事務が効率化し、企業の対外的な信用力アップも期待できるでしょう。

また、十六銀行はクラウドファクタリングのOLTAと提携して、2社間ファクタリングの仲介業務も行っています。

2社間ファクタリングの利用を検討する場合も十六銀行が活用できるでしょう。

スルガ銀行

静岡県の地方銀行であるスルガ銀行は診療報酬ファクタリングの取り扱いを行っています。

診療報酬ファクタリングとは、病院や介護施設などが保有する診療報酬債権や介護報酬債権を早期に資金化することです。

診療報酬は、診療を行なってから最長で3ヶ月近く入金がない、支払サイトの長い売掛債権です。

診療報酬ファクタリングを利用することによって、診療報酬の長い支払サイトを半分程度に短縮できます。

病院や介護施設を経営している方は、スルガ銀行で診療報酬ファクタリングを利用しましょう。

なお、スルガ銀行もクラウドファクタリングのOLTAと提携していますので、2社間ファクタリングを利用したい方もスルガ銀行へ相談できます。

浜銀ファイナンス

浜銀ファイナンスは神奈川県の地方銀行である横浜銀行の子会社です。

浜銀ファイナンスはリースや回収代行サービスなどを営んでいますが、その業務の1つとしてファクタリングも運営しています。

浜銀ファイナンスが取り扱っているのは買取ファクタリング(3社間ファクタリング)です。

売掛先企業の同意を得て、安価な手数料で売掛債権を早期資金化できるのが浜銀ファイナンスが取り扱う買取ファクタリングの特徴です。

ファクタリングの利用を知られてもいい取引先があるのであれば、浜銀ファイナンスへ相談してみましょう。

静岡銀行

静岡県の地方銀行である、静岡銀行も一括ファクタリングを取り扱っています。

静岡銀行は静岡県内で圧倒的なシェアを持ち、全国の中でも地銀屈指の規模を誇っています。

その静岡銀行の審査を通過して一括ファタリング契約をすることは、企業にとって大きな信頼獲得につながります。

静岡県の企業で、ファクタリングで支払事務を効率化したいと考える方は、静岡銀行で一括ファクタリングを利用することも検討してください。

北洋銀行

北洋銀行は北海道の第二地銀です。

北洋銀行も一括ファクタリングの取り扱いを行っています。

北洋銀行はホームページで、一括ファクタリングを契約した企業について『株式会社〇〇様と、北洋一括ファクタリングシステム」の取扱いを開始しました 』とプレスリリースを出しています。

一括ファクタリングを導入した企業は、銀行がプレスリリースすることで対外的な信頼を獲得できるでしょう。

支払事務の効率化だけでなく、対外的信用獲得に大きく寄与するのが北洋銀行の一括ファクタリングのメリットです。

銀行と独立系ファクターの提携が急増している理由

銀行は独自でファクタリング会社を所有していることも多いですが、最近では独立系のファクタリング会社と地銀などが提携して顧客に2社間ファクタリングを提供するケースも増えています。

銀行が独立系ファクタリング会社と提携する理由として次の3点が挙げられます。

  • クラウドファクタリングが伸びている
  • 銀行のネットワークを活用できる
  • 企業にファクタリングの需要が増加している

銀行とファクタリング会社が提携する3つの理由を詳しく解説していきます。

クラウドファクタリングが伸びている

資金調達手段として、クラウドファクタリングが非常に伸びています。

  • 最短即日
  • オンライン完結で非対面
  • 自社の与信が悪くても資金調達できる

クラウドファクタリングには、このような特徴があるので、企業の資金調達手段としてはかなりポピュラーになっています。

以前は企業の資金調達手段と言えば融資ばかりでしたが、ファクタリングがポピュラーな資金調達手段として台頭しているため、銀行もファクタリングを取り扱うようになっています。

銀行のネットワークを活用できる

ファクタリング会社としても、銀行と提携してファクタリングサービスを提供することには「銀行のネットワークを活用できる」メリットがあります。

銀行は数千社〜数万社規模の事業者を顧客として抱えています。

ファクタリング会社は銀行と提携することによって、銀行が抱える事業者に対してファクタリングを訴求できるのは大きなメリットです。

クラウドファクタリングは主にネットで顧客を獲得していますが、銀行と提携することによってこれまで出会えなかった顧客とも出会えます。

銀行とファクタリング会社の提携は、ファクタリング会社にとっても大きなメリットがあります。

企業にファクタリングの需要が増加している

企業側にも「ファクタリングを利用したい」と考える需要が増加しています。

銀行は自社の顧客である取引先企業のニーズを叶えなければなりません。

しかし銀行は2社間ファクタリングを取り扱えませんし、そのノウハウもないため、ファクタリング会社と提携することで取引先企業のニーズに応えることが可能です。

ファクタリングの「最短即日」「売掛先の与信で資金調達可能」などの特徴は企業にとってもニーズがあります。

このニーズに応えるために銀行はファクタリング会社と提携しています。

独立系ファクタリング会社と提携している銀行とサービス内容

銀行と提携している大手独立系ファクタリング会社は次の通りです。

  • OLTA
  • マネーフォワードケッサイ

それぞれのファクタリング会社が、銀行と提携してどんなサービスを提供しているのか詳しく解説していきます。

OLTA

OLTAは次の銀行と提携して「〇〇銀行クラウドファクタリング」というサービスを展開しています。

このサービスは銀行が自社の顧客に対してOLTAのファクタリングを紹介し、OLTAが銀行の顧客の売掛債権をファクタリングで買い取る仕組みです。

銀行の利用者の方も、融資の他にも資金調達手段を選択できます。

  • 北海道地方
  • 青森銀行
  • 秋田銀行
  • 北日本銀行
  • 福島銀行
  • 群馬銀行
  • SBI新生銀行
  • きらぼし銀行
  • 東和銀行
  • 桐生信用金庫(信金)
  • 芝信用金庫(信金)
  • 十六銀行
  • 八十二銀行
  • 静岡銀行
  • スルガ銀行
  • 山梨中央銀行
  • 清水銀行
  • 池田泉州銀行
  • 三十三銀行
  • 紀陽銀行
  • 鳥取銀行
  • 四国銀行
  • 愛媛銀行
  • 筑邦銀行
  • 肥後銀行
  • 沖縄銀行
  • 沖縄海邦銀行
  • 宮崎太陽銀行

この他にも提携している銀行は増えていますので、お近くの地方銀行にも2社間ファクタリングの取り扱いがないか確認してみましょう。

手数料 2.0%~9.0%
限度額 下限上限なし
最短入金スピード 最短1日

マネーフォワードケッサイ

マネーフォワードケッサイは次のような企業向けサービスを提供している会社です。

  • 企業間後払い決済・請求代行サービス
  • スタートアップ向け資金調達サービス
  • 請求書カード払いサービス

そして2019年から取引先に通知なしで資金調達できるサービスである「マネーフォワード アーリーペイメント」という2社間ファクタリングサービスを開始しました。

三菱UEJ銀行と株式会社Biz Forwardを設立して、中小企業向けのオンラインファクタリングサービス「SHIKIN+」を取り扱っています。

また、地方銀行では、広島銀行と業務提携し、広島銀行の顧客も広島銀行の取次によって「マネーフォワード アーリーペイメント」を利用できるようになりました。

「マネーフォワード アーリーペイメント」のファクタリングは次の条件です。

手数料 1.0%~10.0%
限度額 50万円以上
最短入金スピード 最短2営業日

銀行系ファクタリングのよくある質問

個人事業主は銀行系ファクターを利用できませんか?
利用できないことはありません。
しかし、規模の小さな個人事業主の場合には、銀行系ファクタリング会社へ申し込みをしても断られてしまいます。
1,000万円を超えるくらいの規模の大きな売掛債権を持ってない限りは個人事業主や中小企業が銀行系ファクタリングを利用するのは難しいと言えるでしょう。
近くにファクターの窓口がありません。訪問が必要ですか?
銀行系ファクターのほとんどが出張には対応していないので、基本的には訪問が必要であると考えた方がよいでしょう。
ただし、出張はしないというルールはないので、金額が大きければ遠方でも出張してくれる可能性はあります。
どうしても窓口へ訪問できない事情があるのであれば、まずはファクターの担当者へ相談してみましょう。
100万円以下で銀行系ファクターを利用できますか?
少額のファクタリングが必ずしも不可能というわけではありません。
しかし、一般的には銀行系ファクターは100万円以下の少額の売掛債権の買取は行っていないので、銀行からの紹介がない一見客などはファクタリングを断られてしまう可能性があります。
どうしても銀行系の低い手数料でファクタリングしたいとのことであれば、まずはファクターへ相談するようにしましょう。
突然銀行系ファクターの窓口に相談に行ってもよいでしょうか?
ファクターの担当者が空いているのであれば突然訪問してもすぐに対応はしてもらえます。
しかし、担当者が繁忙であれば待たされてしまうことが多いので、できれば事前に電話でアポをとってから窓口へ相談に行った方がよいでしょう。
この際には自社の決算書3期分と、売掛債権の請求書を持参するようにしてください。
母体銀行と取引がなくても取引可能ですか?
母体銀行と取引がなくても取引をすることが可能です。
ただし、母体銀行から紹介があった方がファクターも審査がしやすく、ファクターからの信頼度も向上します。
ファクターと取引がなくても申し込みや審査に通過することは可能ですが、母体銀行から紹介があった方がさらに審査に通過しやすくなります。
メガバンクなどと取引がある企業は、銀行へ紹介を依頼してみましょう。

まとめ

銀行系のファクタリング会社は手数料が低く信頼度が抜群で、保証ファクタリングや国際ファクタリングの取り扱いもあります。

ただし、以下のような致命的なデメリットがあるので中小企業にとっては利用しにくいのが実情です。

  • 3社間ファクタリングのみ
  • 審査が厳しい
  • 少額のファクタリングは難しい
  • 資金化までに時間がかかる

大企業や貿易をするような企業であれば利用価値が高いと言えますが、資金繰りに困った中小企業が急いで資金調達したいような場合には、利便性は圧倒的に低くなってしまいます。

資金繰りに困る中小企業は、柔軟な審査や入金スピードに長けた一般のファクタリングを利用するのが得策です。

銀行系ファクタリングはメリットとデメリットがはっきり分かれていますので、一般のファクターとの違いを理解して賢く使い分けるようにしましょう。