ビジネスローンの概要
ビジネスローンは銀行や日本政策金融公庫が取り扱う事業資金とは異なる融資です。
主に次のような特徴があります。
- 事業資金専用のローン
- 原則、無担保無保証
- 貸金業者の金融商品
- 最短即日融資
- 資金使途は自由
- 金利は高め
- 返済は分割
- 審査は申込企業の業況が重視される
事業資金専用のローンですが、銀行や日本政策金融公庫よりもかなりスピーディーに資金調達でき、その代わり金利は高くなります。
ビジネスローンの特徴について詳しく解説していきます。
事業資金専用のローン
ビジネスローンは事業資金専用のローンです。
借りたお金は事業に使用する運転資金や設備投資にしか利用できません。
ローンの中には『代表者個人の消費資金にも利用できる』というものもありますが、基本的には事業の用途に使用するためだけの融資だと理解しておきましょう。
原則、無担保無保証
ビジネスローンは原則的に無担保無保証で融資を行なっています。
担保や保証人を必要としないので、有力な資産や保証人がない方でも融資を受けられます。
銀行や日本政策金融公庫の融資では担保や連帯保証人を求める商品もあるので、この点はビジネスローンの特徴です。
貸金業者の金融商品
ビジネスローンは貸金業者が提供している金融商品です。
貸金業者登録を行なっている消費者金融や信販会社が取り扱っている融資商品ですので、預金業務を行う銀行や日本政策金融公庫の融資とは異なります。
なお一般的には、貸金業者が取り扱う事業者向けのローンを「ビジネスローン」と言います。
なお、貸金業者は国や都道府県の監督のもとで、法律遵守で非常に厳格に業務運営をしなければなりません。
無登録で貸金業を営む、いわゆる闇金とは異なり、貸金業者登録をしている業者が一定以上の資金力と法令遵守体制を整えた企業だけですので、ビジネスローンは安心して利用できます。
最短即日融資
ビジネスローンは融資までの時間がかからないという点が大きな特徴です。
商品の中には最短即日融資に対応しているものもあります。
ビジネスローンは銀行や日本政策金融公庫のように、今の業況だけでなく将来の資金繰りや事業計画の妥当性まで厳格に審査しているわけではありません。
商品の中には代表者の個人信用情報を確認し、問題がなければ審査通過としているものもあります。
そのため審査に時間がかからず、審査が速い大手消費者金融などは申込日当日中に融資を受けられます。
銀行融資では2週間程度の時間がかかるので、大手消費者金融は急いでいる時に最適です。
資金使途は自由
ビジネスローンは事業資金であれば何に使用しても資金使途は全く問われません。
運転資金に使用してもよいですし、設備資金や多債務の借り換えやおまとめに使用することもできます。
銀行や日本政策金融公庫で、例えば設備資金を借りた場合には、資金使途をかなり細かく管理されます。
1つの支払いを行うごとに、その都度領収書の提出が必要になる場合もあります。
ビジネスローンは、事業資金であれば借りたお金を何に使っても自由という点は銀行や日本政策金融公庫と比較した場合の大きな特徴です。
金利は高め
ビジネスローンの金利は12%〜18%程度と高めです。
ビジネスローンは審査が銀行や日本政策金融公庫よりも緩く、厳格な審査も行なっていないので、高い金利を設定して幅広いリスクをカバーしているためです。
銀行や日本政策金融公庫の金利が1%台〜3%台程度であることと比較すると、ビジネスローンの金利が高いのはデメリットです。
短期間かつ必要最小限の金額のみ利用しましょう。
返済は分割
ビジネスローンは5年〜8年くらいの期間で分割返済を行うのが基本です。
ファクタリングは一括返済ですので、この点はファクタリングとの大きな違いだと言えるでしょう。
返済金が一括で社外へ流出することがないので、資金繰りを安定させることが可能です。
審査は申込企業の業況が重視される
ビジネスローンの審査で重視されるのは申込企業の業況です。
これは銀行や日本政策金融公庫の融資と変わりません。
銀行や日本政策金融公庫の融資では、赤字や債務超過が何期も続いているのと審査に通過できないことがあります。
ビジネスローンの審査は銀行や日本政策金融公庫の審査よりも厳しくはありませんが、それでも「絶対に返済できないだろう」と判断できるような酷い経済状態の時には審査に落ちることもあります。
ファクタリングは申込企業の業況よりも売掛先企業の業況が重視されるため、申込企業の業況が重視されるのはビジネスローンの特徴の1つだと言えるでしょう。
ファクタリングの概要
企業が保有する売掛債権を売却して資金調達を行うファクタリングには次のような特徴があります。
- 最短即日資金化
- 資金使途は自由
- 手数料が高い
- 返済は一括
- ほとんどの業者が貸金業者登録をしていない
- 審査は売掛先企業に対して行われる
すぐに資金調達でき、調達したお金は自由に利用できます。
返済は一括で業者選びにも注意が必要です。
ファクタリングの特徴について詳しく解説していきます。
最短即日資金化
契約当事者がファクタリング会社と申込企業だけの2社間ファクタリングは最短即日で売掛債権を資金化できます。
速い企業では、「申込から5分で資金化」と謳っている業者もあるので、2社間ファクタリングは非常に資金調達スピードが速いのが特徴です。
急いでいる時にはビジネスローン以上に活用できるケースもあるでしょう。
資金使途は自由
ファクタリングで調達したお金は基本的に何に使っても自由です。
ファクタリングは未入金の売上である以上、事業の運転に使用するのが大原則です。
しかし、銀行融資のようにお金を借りているわけではなく、自社の資産を売却して資金調達しているだけですので、代表者個人に貸し付けて、代表者の個人的な用途に使用しても法的には問題ありませんし、ファクタリング会社との規約違反にもなりません。
もちろん、申込時に「調達したお金を何に使用するのか」と、資金使途が問われることもありません。
債権者などに管理されず自由に利用できるのはファクタリングのメリットです。
手数料が高い
ファクタリングの手数料相場は次の通りです。
- 3社間ファクタリング:1%〜5%程度
- 2社間ファクタリング:10%〜20%程度
ファクタリングを利用すると、売掛債権金額に対して上記の割合を乗じて計算された手数料が売却代金から控除されます。
例えば、期日が1ヶ月先の売掛債権を手数料10%でファクタリングした場合、たった1ヶ月の資金調達のために10%もの手数料が発生することになります。
1ヶ月で10%というのは年利換算で120%ですので、ファクタリングの手数料はビジネスローンよりもかなり高いことが分かります。
ファクタリングは事業者が資金調達する手段の中で、最もコストが高い資金調達方法と言っても過言ではありません。
返済は一括
ファクタリングの返済は売掛債権期日に売掛先から代金が支払われたら一括で行います。
分割での返済は一切認められていません。
貸したお金を分割で返済する行為は融資ですので、融資は貸金業者以外にはできないためです。
違法性の強いファクタリング会社の中には、分割払いを求めるようなケースもありますが、このような業者は全て違法ですので絶対に取引してはなりません。
分割返済が基本となっているビジネスローンと比較すると、この点は大きな違いです。
ほとんどの業者が貸金業者登録をしていない
ファクタリング会社のほとんどが貸金業者に登録していません。
そして、ファクタリング業を営むためには行政の許認可や登録などは一切不要です。
つまり、ビジネスローンのように、安心できる業者華道家のベンチーマークがありません。
ファクタリングを名乗る業者の中には、違法な貸付を行うようなケースもあるので、業者選びには十分注意が必要です。
利用する前には、ネットの口コミを調べたり、複数の業者へ査定を依頼するなどして、安心できる業者かどうかを見極めましょう。
審査は売掛先企業に対して行われる
ファクタリングの審査は主に売掛先企業に対して行われます。
ファクタリング会社へ代金を支払うのは売掛先企業だからです。
そのため、業況が非常に悪く融資を断られたような業者でも、売掛先の業況に問題がなければ審査通過できる可能性があります。
他社の信頼で資金調達できる点はファクタリングの大きな特徴です。
ビジネスローンと2社間ファクタリングの比較
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類がありますが、緊急性の高い資金ニーズに即しているのは2社間ファクタリングのほうです。
まずは、ビジネスローンと2社間ファクタリングを、審査基準や金利・手数料などのさまざまな項目で比較してみましょう。
比較項目 |
ビジネスローン |
2社間ファクタリング |
審査基準 |
申込者の信用状況
(他社借入、返済能力等) |
売掛先の信用力
売掛先との取引実績
売掛債権の支払サイト |
担保・保証人 |
原則として不要
(審査結果によっては求められる) |
不要 |
資金調達可能額 |
10万円~1,000万円 |
売掛債権の額面の範囲内 |
金利・手数料 |
金利負担
(年利10%~18%) |
手数料負担
(買取債権額の2%~20%) |
入金スピード |
最短即日 |
最短即日 |
返済期間 |
最長10年 |
30日~60日
(支払いサイトによる) |
分割返済 |
契約によっては可 |
不可 |
信用情報機関への影響 |
ある |
ない |
将来の融資利用への影響 |
ある |
ない |
ビジネスローンがファクタリングよりも優れている点
ビジネスローンがファクタリングよりも優れている点をご紹介します。
月商を超える金額の借入も可能
ビジネスローンの審査では、申込者の信用状況や借入時状況が調査され、その結果により融資額や金利が決定します。
申込者が希望する借入額の貸し倒れリスクが低く、期限内に滞納なく返済できると金融機関側が判断すれば、融資で月商の1ヶ月分以上〜6ヶ月分の範囲内の借入が可能です。
たとえば、月商100万円の小規模事業者でも、過去に優良な返済実績があったり、事業が成長中であったりすると、100万円超~600万円までの融資を受けられる可能性があります。
一方のファクタリングは、ファクタリング会社に売却する売掛債権の額面に所定の手数料を掛けた額が調達額の上限となります。100万円の売掛債権を10%の手数料で売却した場合、調達できる額は90万円です。
自社の信用状況や借入状況に問題がなく、運転資金や設備資金として比較的大きな額を調達したい場合は、ビジネスローンを選択すると良いでしょう。
分割して返済ができる
ビジネスローンの返済方法は、1年以内に借入額の全部を一括返済する「期日一括返済」か、もしくは毎月の約定返済日に決められた額を数回にわたって返済する方法の2種類があります。
後者は返済額の計算方法の違いによって「元利均等返済」や「元金均等返済」となりますが、基本的には借入額を12回~120回に分けて返済することになるため、月々の返済にかかる負担を抑えることができます。
一方の2社間ファクタリングは、売却した売掛債権の支払期日が到来したら、すぐに全額を弁済しなければなりません。支払期日に資金繰りが苦しい状況であっても、分割での弁済は一切できないことに注意が必要です。
限度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができる
ビジネスローンには、初回に融資額を一括で借りて後は返済するだけの「一括借入型」と、決まった限度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができる「カードローン型」があります。
カードローン型のビジネスローンは限度額の範囲内であれば、銀行ATMやコンビニATMから24時間365日、必要なときに必要なだけの金額を借りることができます。
カードの発行や維持に費用はかからないため、カードだけ作っておいて、いざというときに必要な分だけを一時的に借り入れ、すぐに完済するといった使い方も可能です。
金利負担が比較的低い
ビジネスローンは銀行融資よりも金利が高めではあるものの、それでも年率5.0%~18.0%が相場です。
一方の2社間ファクタリングは、金利ではなく買取手数料がかかり、買取額面に対して2.0%~20.0%が相場となります。
ビジネスローンとファクタリングの金利負担(手数料負担)を、以下のケースで比較してみましょう。
ビジネスローンとファクタリングで100万円を調達する例
【ビジネスローン】100万円を年率10%の12回払い(返済期間1年)で借りる
毎月の返済額は87,915円(最終回87,921円)で、返済総額は1,05万4,986円、利息総額54,986円
100万円の調達コストとして54,986円かかる
【ファクタリング】100万円の売掛債権を10%の手数料(買取率90%)で現金化する
100万円×90%=90万円
100万円の調達コストとして10万円かかる
ファクタリングの手数料は売掛債権の支払期日までの1ヶ月~2ヶ月間にかかるコストですので、金利換算すると利息制限法を遥かに超える金利(年利110%)となります。
あくまでもファクタリングは融資ではなく債権売買契約であるため、利息制限法は適用されませんが、金利負担という観点で見ると、ビジネスローンのほうが低コストで資金調達できると言えます。
ビジネスローンのデメリット
ファクタリングと比べて金利や借入額などでメリットのあるビジネスローンですが、次の3点はデメリットです。
- 銀行などより金利が高い
- 借入金額は少額
- 信用情報に影響する
主に銀行や日本政策金融公庫と比較した場合のデメリットになります。
しっかりと頭に入れた上で利用しましょう。
銀行などより金利が高い
ビジネスローンの金利は12%〜18%程度と融資としてはかなり金利が高くなっています。
銀行や日本政策金融公庫の金利は1%台〜3%台ですので、利息負担はかなり大きく異なります。
ファクタリングよりはコストは低いものの、銀行などで借りればさらに低コストで資金調達できることを鑑みればデメリットだと言えるでしょう。
ビジネスローンを利用するのは、銀行や日本政策金融公庫も審査に落ちた時に限った方がよいでしょう。
借入金額は少額
ビジネスローンの融資限度額は300万円〜1,000万円程度です。
銀行や日本政策金融公庫が数千万円〜数億円以上の融資に対応していることと比較すると、ビジネスローンの融資金額は非常に低いことが分かります。
大手企業が活用できる規模ではなく、設備資金を調達する際には金額的には不足するでしょう。
ビジネスローンは個人事業主や小規模法人が少しの運転資金を調達するためにしか利用できません。
信用情報や決算書に影響する
ビジネスローンは代表者個人の信用情報を主な審査材料としている商品が多数あります。
このようなビジネスローンを利用すると、信用情報に借入状況が記載されることがあるので、他のローン審査はクレジットカード審査で不利になります。
また、法人名でビジネスローンを借りた場合には、借入状況が決算書に記載されます。
負債が増えてしまうので、ビジネスローンを利用したことは自社の決算書の評価にマイナスです。
今は、できる限り資産も負債も少なくする「貸借対照表のオフバランス化」が評価される時代ですので、ビジネスローンを利用して負債が増えることはデメリットです。
ビジネスローンが向いている人の特徴
ビジネスローンを利用することが向いている人は次のような方です。
- 売掛債権を持っていない
- 分割で返済したい
- 代表者個人名で借りたい
売掛債権を持っていないのであれば、ファクタリングを利用せきません。
また分割返済を希望する方は会社名でなく代表者個人名で資金調達したい方にもビジネスローンは向いています。
どのような方がビジネスローンの利用に向いているのか、詳しく見ていきましょう。
売掛債権を持っていない
売掛債権を持っていなければビジネスローンしか資金調達手段がありません。
中小企業が数日中という非常に短い期間に資金調達できる手段はファクタリングかビジネスローンしかないためです。
手元に売掛債権がないのであれば、すぐに資金調達できる手段はビジネスローンのみです。
分割で返済したい
分割で返済したいのであればファクタリングよりもビジネスローンを選択してください。
ファクタリングは一括返済で、数ヶ月程度の間、売掛債権資金が企業に滞留するだけです。
一方、ビジネスローンは5年〜8年程度の返済期間を設けて、毎月分割で借入金を返済できます。
返済時の負担がファクタリングよりも非常に低く、融資金も長期間企業に滞留するので、資金繰り改善効果も期待できます。
分割で返済したいのであれば、ビジネスローンを利用しましょう。
代表者個人名で借りたい
会社名ではなく代表者個人名で借りたい場合もビジネスローンがおすすめです。
ビジネスローンの中には法人経営者を融資対象としているローンも多いため、必ずしも法人名義で借りる必要はありません。
「法人でお金を借りると決算書の内容が悪くなる」「家族や他の役員に秘密で借入をしたい」という場合には、代表者個人名で借入ができるビジネスローンの利用を検討しましょう。
ファクタリングがビジネスローンよりも優れている点
ファクタリングがビジネスローンよりも優れている点をご紹介します。
赤字・債務超過・税金滞納でも利用できる
ファクタリングは銀行融資やビジネスローンと審査方法が違うため、赤字・債務超過・税金滞納といった融資の審査では不利に働く条件であっても利用できます。
なぜなら、ファクタリングの審査は申込者の経営状況や信用状況よりも、売掛先の信用力、売掛先との取引履歴、売掛債権の支払いサイトなどが重視されるからです。
ファクタリング会社は、売掛先が期日どおりに売掛金を支払えなければ、利用者に先払いした代金を回収できません。
つまり、「この売掛先は期日通りに売掛金を支払える」と判断できるだけの信用力があること、経営状況であることが重要なのです。
売掛先の倒産等のリスクが低く、資金回収の確実性が高いと判断されれば、たとえ申込者が赤字・債務超過・税金滞納であっても、ファクタリングで資金調達ができます。
ただし、ファクタリングの審査の結果次第では、「買取可能ではあるが手数料が高くなる」、「3社間ファクタリングであれば利用可」といった条件が付くこともあります。
担保・保証人が一切不要
ビジネスローン、ファクタリングともに担保・保証人が不要な資金調達方法です。
ただし、ビジネスローンは担保・保証人を原則不要としながらも、法人の場合は代表者保証、審査結果によっては第三者保証や担保が求められることがあります。
ファクタリングは審査結果にかかわらず、利用に際して担保・保証人を求められることがありません。
担保や保証人を持たない事業者の方でも利用できる点は、融資にはないファクタリングの強みと言えるでしょう。
信用情報機関に登録されない(将来の融資に影響がない)
ビジネスローンでお金を借りると、信用情報機関に契約状況や返済・支払状況などが登録されます。
すでに他社からの借入がある状況で新たに融資の審査に申し込むと、「返済能力を超える可能性がある」として、希望した金額の満額が借りられない場合があります。
一方のファクタリングは「債権売買契約」であり、融資契約ではありません。
借入という扱いにならないため、信用情報機関に登録されずに資金調達ができます。
さらに、信用情報に影響がないということは、将来の銀行融資に影響が出ることもありません。
将来的に銀行から融資を受ける予定のある方は、それまでのつなぎ資金として、信用情報に影響のないファクタリングの利用をおすすめします。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングには申込企業の信用で、最短即日で利用できるなどのメリットが数多くありますが、次の3点だけはデメリットです。
- 調達可能額は売掛債権の範囲内
- 手数料が非常に高額
- 根本的に資金繰りは改善しない
調達可能額が限られている上に手数料は非常に高額です。
また、根本的に資金繰りは改善しないという点に十分注意した上で利用してください。
ファクタリングの3つのデメリットについて詳しく解説していきます。
調達可能額は売掛債権の範囲内
ファクタリングで調達できる資金の限度額は売掛債権の範囲内と決められています。
ファクタリングとは、売掛債権を売却して資金する行為ですので、売却する資産以上の金額を調達できないのは当然です。
そのため融資のように売上規模を超えるような調達は絶対に不可能です。
ファクタリングは少しの運転資金を確保するための手段と理解して、賢く利用しましょう。
手数料が非常に高額
ファクタリングは手数料が非常に高額という点もデメリットです。
2社間ファクタリングの場合には10%を超えるような割合が手数料として売掛債権から控除されます。
1ヶ月先の売掛債権であれば年利120%もの非常に高いコストになるので、ファクタリングは融資と比較して非常に調達コストが高いと言えます。
少しの資金を調達するため多額のコストを支払わなければならないのはファクタリングのデメリットです。
根本的に資金繰りは改善しない
ファクタリングは、何もしなければ数ヶ月程度先には入金になる売掛金を前倒しで受け取っているだけです。
逆に言えば、ファクタリングを利用したことによて、数ヶ月先に入ってくる予定の入金がなくなってしまいます。
そのため、売掛債権の期日にはまた手元からお金が枯渇して、新たなファクタリングに手を出してしまう可能性があります。
一方、長期借入金であれば、非常に長い期間で返済できるので資金繰りは改善しますし、時間的猶予も与えられます。
しかしファクタリングは一括返済かつ時間的猶予もないので、資金繰りは根本的に改善しません。
ファクタリングは「長期借入金が降りてくるまでのつなぎ資金」「大きな入金になるまでの暫定的な運転資金」など、本当に短期間だけお金が必要な時にのみ活用した方がよいでしょう。
ファクタリングが向いている人の特徴
ビジネスローンよりもファクタリングが向いている人の特徴として次の3点が挙げられます。
- とにかくすぐに資金が必要
- 会社の業況が赤字と債務超過で厳しい
- 決算書の借入金を増やしたくない
融資を受けられない企業や、受けたくない企業が急いでお金を必要としている際にファクタリングが活用できます。
ファクタリングが向いている人の特徴を詳しく解説していきます。
とにかくすぐに資金が必要
とにかくすぐにお金が必要という方は2社間ファクタリングを利用してください。
WEBで完結するクラウド型のファクタリング会社の中には、最短5分程度で資金化できる会社もあります。
また、平均的には1時間程度で資金化できるので、ビジネスローンよりも早い時間で資金調達できる可能性が高いでしょう。
急いで資金が必要という方はファクタリングを利用してください。
会社の業況が赤字と債務超過で厳しい
会社の業況が赤字や債務超過で厳しい会社もファクタリングの利用を検討すべきです。
赤字と債務超過が継続している企業は融資を受けることが著しく困難です。
一過性の赤字や、債務超過を徐々に回復している企業であれば問題ありません。
しかし、赤字が続き債務超過が年々拡大している企業は、「これ以上事業を継続しても債務超過が膨らむだけ」と判断され、融資がストップした段階で資金ショートして倒産します。
そのような企業へ金融機関が融資を行うことはありません。
ファクタリングであれば、このような企業であっても、売掛債権の回収可能性が高いのであれば問題なく資金調達できます。
自社の業況に問題があり、融資を受けられないのであれば、売掛先企業の信用で審査が受けられるファクタリングを利用するとよいでしょう。
決算書の借入金を増やしたくない
決算書の借入金を増やしたくない企業もファクタリングがおすすめです。
ファクタリングは資産を売却して資金調達しているだけですので、貸借対照表の負債の欄の数字が増えることはないためです。
負債が増えると取引銀行や株主からネガティブに判断され、今後の融資や出資などの資金調達に悪影響する可能性もあります。
できる限り決算書の見た目をよくして、外部のステークホルダーから自社のネガティブに評価されたくないのであれば、ローンではなくファクタリングの利用が向いています。
ビジネスローンとファクタリングの使い分けのポイント
ここまで見てきたように、ビジネスローンとファクタリングには一長一短あり、どちらのほうがより優れた資金調達方法であるかは一概に言えません。自社の資金ニーズや経営状況に応じて、より適したほうを選ぶことが肝心です。
ここでは、ビジネスローンを利用すべきか、ファクタリングを利用すべきか、使い分けのポイントをご紹介します。
売却できる売掛債権があるか|使わけのポイント1
入金前の売掛債権がなければファクタリングは利用できません。
売掛債権がない場合はビジネスローンしか選択できませんが、売掛債権がある場合はビジネスローンとファクタリングの両方を検討できます。
現状で融資の審査に通過できるか|使わけのポイント2
ビジネスローンとファクタリングを「調達コスト」の観点で比較した場合、年率5%~18%のビジネスローンのほうが、ファクタリングよりも低コストで資金調達できます。
融資の審査に通過できるのであれば、コストの低いビジネスローンの利用がおすすめです。
ただし、現状で他社からの借入があったり、赤字・債務超過・税金滞納などがあったりすると、ビジネスローンの審査に通過することは極めて難しくなります。
まずは自社の現状で融資の審査に通過できるかを考え、仮に通過することが難しい、融資を申し込んだが断られたという場合には、ファクタリングを利用しましょう。
短期完済が可能か|使わけのポイント3
ビジネスローンは銀行融資に比べて金利負担が大きいため、長期の借入には向いていません。
返済が長期にわたると金利負担が大きく、また決算までに完済できないと、今後の銀行融資にマイナスの影響を及ぼします。
したがって、銀行融資の審査結果を待っているときや、1ヶ月~2ヶ月以内に売上入金が予定されているときなど、なるべく短期完済の目処が立っているタイミングで利用すべきです。
ファクタリングは手数料こそ発生しますが、自社の信用情報や将来の銀行融資に一切影響を及ぼすものではないため、短期完済が難しい場合はこちらを検討しましょう。
ビジネスローンとファクタリングの3つの共通点
ビジネスローンとファクタリングには次の3つの共通点もあります。
- 最短即日資金調達できる
- 担保・保証人が要らない
- 税金の滞納があっても利用できる
銀行や日本政策金融金庫で融資を受けにくい事業者の方でも、ビジネスローンとファクタリングであれば最短即日で資金調達できます。
最後に、ビジネスローンとファクタリングの共通点について解説していきます。
最短即日資金調達できる
ビジネスローンとファクタリングはどちらも最短即日で資金調達できます。
銀行の融資までの日数が2週間〜3週間程度、日本政策金融公庫の融資までの日数が3週間〜4週間程度です。
そのため、急いでいる時には銀行融資や日本政策金融公庫は活用できません。
今日や明日などのすぐにお金が必要な場合には、最短即日資金調達できるビジネスローンやファクタリングを利用しましょう。
担保・保証人が要らない
ビジネスローンもファクタリングも担保や保証人が不要です。
本人や売掛先企業の信用だけで資金調達できます。
銀行や日本政策金融公庫ですが有力な不動産を担保にすることで審査に通過できる場合があります。
しかしビジネスローンやファクタリングでは担保にできる不動産などがなくても、本人や売掛先企業に問題がなければ資金調達できます。
資産状況に左右されることなく審査を受けられるという点もビジネスローンとファクタリングは共通しています。
税金の滞納があっても利用できる
ビジネスローンもファクタリングも税金滞納があってもほどんとの会社で利用できます。
これは大きなメリットです。
銀行や日本政策金融公庫のほぼ全ての事業資金融資は税金滞納があったら利用できないためです。
そのため、ビジネスローンやファクタリングで調達した資金で税金滞納を解消し、その後、金利の低い銀行や日本政策金融公庫で資金調達してもよいでしょう。
税金を滞納すると資金調達手段が非常に狭まってしまいますが、ビジネスローンとファクタリングに限っては税金滞納があっても利用できる点は共通するメリットです。
ビジネスローンとファクタリングに関するQ&A
ビジネスローンとファクタリングについて、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。
- Q.ビジネスローンの返済中や銀行リスケ中でも、ファクタリングは利用できますか?
- A.ファクタリングは申込者の借入状況や返済能力にかかわらず、信用力の高い売掛先の売掛債権があれば利用できます。
- Q.ビジネスローンの「一括借入型」と「カードローン型」は、どのように使い分けたら良いですか?
- A.「一括借入型」はまとまった資金を一括で借入れできるため、仕事の着手金や設備の購入資金など、まとまったお金が必要なときに向いたローン商品です。一方の「カードローン型」は一括借入型よりも金利がやや高めであるため、短期間で完済の目処が立っているときのつなぎ資金に向いています。また借入枠を作っておけばいつでも借入ができるため、いざというときの備えとして枠を作っておくのもひとつの手です。
- Q.個人事業主も2社間ファクタリングが利用できますか?
- A.利用できる場合とできない場合があります。2社間ファクタリングでは、原則として「債権譲渡登記」という手続きが必要となります。債権譲渡登記とは、売掛先の同意を得ない代わりに、ファクタリング会社が債権の二重譲渡防止や対抗要件を具備するためのもので、法人のみが手続きができます。したがって、債権譲渡登記ができない個人事業主は、原則として2社間ファクタリングが利用できません(3社間は可)。ただし、個人事業主に対しては、手数料を引き上げる代わりに、債権譲渡登記を留保して、2社間の利用を可とするファクタリング会社もあります。
資金繰りや資金ニーズに合わせて最適な資金調達方法を選ぼう
ビジネスローンとファクタリングの2つの資金調達方法について、メリット・デメリットと、それぞれの優れた点を解説しました。
業績が好調な会社でも、常に潤沢な資金が手元にあるとは限りません。万が一の資金不足に備え、銀行融資や公的融資制度以外に、さまざまな資金調達先を持っておくことが重要です。
ビジネスローンとファクタリングは、創業間もないときや、経営状況・信用状況に不安があるときでも、資金調達の可能性があります。
ただし、売掛債権がなければファクタリングは利用できず、また短期完済の目処が立っていないのに高金利のビジネスローンを借りることは、より資金繰りを悪化させる原因となります。
資金調達方法を検討する際は、自社の資金繰りや資金ニーズ、将来の入金の可能性などを見据え、現状で最適なものを選ぶようにしましょう。