銀行系ファクタリングとは?特徴を簡単に解説
銀行系ファクタリングとは都市銀行や地方銀行、あるいはグループ会社が提供するファクタリングサービスです。ノンバンク系・独立系のファクタリングより審査が厳しい傾向にありますが、手数料が安く銀行ならではの信頼性の高さが特徴です。
さらに、銀行では一般的によく利用される買取ファクタリング以外にもさまざまな種類のファクタリングを提供しています。例えば、後述する国際ファクタリングや保証ファクタリング、一括ファクタリングなどに対応できます。
銀行系ファクタリングは基本的に3社間のみ
銀行系ファクタリングでは、利用者・ファクタリング会社・取引先の3社で契約が行われる3社間ファクタリングの形式が基本です。銀行系ファクタリングでは利用者が売掛債権を銀行に譲渡し、取引先が直接銀行へ支払うという流れになります。
上記の流れによって利用者が売掛金を着服する懸念がなくなり、銀行は回収リスクを軽減できるため、手数料を低く設定しやすくなります。一方、取引先の承諾を得る必要があるため、2社間ファクタリングよりも資金化までに時間がかかる点がデメリットです。なお、ノンバンクや独立系では、利用者とファクタリング会社の契約だけで資金化する2社間ファクタリングも可能です。
銀行系ファクタリングで利用できる4種類のサービス
銀行系ファクタリングで利用できるファクタリングサービスには、以下の4種類が存在します。
- 買取ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 保証ファクタリング
- 一括ファクタリング
上記の中から、自社の課題解決につながるファクタリングサービスを選んで利用しましょう。
①買取ファクタリング
買取ファクタリングは売掛債権を銀行が買取を行い、期日前でも資金化が可能なサービスです。一般的にファクタリングと呼ばれるサービスは、買取ファクタリングを指すケースが多いです。
銀行系では基本的に3社間ファクタリングが前提であり、売掛先の承諾を得たうえで売掛債権の譲渡・売却を行います。3社間ファクタリングは売掛先が銀行へ直接売掛金を支払うため、銀行側の回収リスクが低く手数料も抑えられる点が特徴です。
ただし、売掛先の同意取得や通知手続きなどが必要なため、申し込みから審査・資金化までに2週間~4週間ほどかかる場合があります。なお、銀行およびグループ会社が提供元であるため、悪質な業者に出会うリスクが低く大口債権に対応できる点がノンバンク系との大きな違いです。
②国際ファクタリング
国際ファクタリングは、海外取引の売掛債権を対象として資金化や回収保証を支援するサービスです。国際ファクタリングは、国内企業・売掛先(海外企業)・国内銀行・相手国の銀行またはファクターの4社間で契約が行われます。
銀行系でないと取り扱えないサービスであり、信用状なしでも債権回収・資金化が可能な点が大きな特徴です。海外企業の信用調査や為替リスク管理も銀行が担うため、利用者は安心して海外取引に専念できます。ただし、契約が複数社にまたがる点から審査・手続きに時間がかかるケースが多い点に留意が必要です。
③保証ファクタリング
保証ファクタリングは、売掛債権が回収不能となった場合に銀行が保証金を支払う仕組みのサービスです。利用者は銀行に保証料を支払うと、万が一債務者が倒産して売掛債権を回収できなくなった時にも売掛金相当額を受け取れます。
保証ファクタリングは買取ファクタリングとは異なり、資金調達ではなくリスクヘッジが目的で特定の取引先への依存度が高い企業に適しています。保証ファクタリングは銀行が与信調査を行って保証限度額・保証料率が決まる仕組みで、安心して取引できる環境を提供するのが目的です。ただし、小口債権には対応しない場合が多く、一定の債権額に達しないと利用できない点に注意が必要です。
④一括ファクタリング
一括ファクタリングは支払い企業が主導でファクタリング会社と契約を結び、手形の代わりにファクタリングを利用する仕組みです。一括ファクタリングには、でんさいを活用した電子記録債権対応型や請求単位まとめ型など多様な形態があります。
支払い企業は複数の買掛債務をまとめて決済できるため、請求業務における事務負担を軽減できる点がメリットです。ただし、審査基準が厳しく電子債権の導入が前提となる場合もあり、一括ファクタリングの導入環境が整っている企業に適しています。
銀行系ファクタリングを利用する4つのメリット
銀行系ファクタリングを利用するメリットとして、以下の4つがあげられます。
- 大手銀行がサービスを提供しており悪徳業者に出会う心配がない
- 手数料が他のファクタリングより安い
- 高額な売掛債権の買取に対応している
- 目的に応じて複数のファクタリングサービスを利用できる
上記のメリットに魅力を感じる場合は、銀行系ファクタリングを検討しましょう。
①大手銀行がサービスを提供しており悪徳業者に出会う心配がない
メガバンク・地方銀行など大手銀行がサービス提供しており、悪徳業者に出会う心配がない点が銀行系ファクタリングのメリットです。ファクタリング業は特段免許や登録が必要なく、どのような事業者でも簡単に始められます。そのため、ファクタリング業を営む業者の中には、高額な手数料を請求するなどの悪質業者が市場に一定数混在している状況です。
しかし、銀行系ファクタリングは親元が銀行グループであり、厳格なコンプライアンス体制のもと運営されているため安全性は圧倒的に高まります。そのため、暴力を伴う違法な取り立て行為や高額手数料を請求される心配をせずに安心してファクタリングを利用できます。特に、初めてファクタリングを利用する企業にとっては信頼できる銀行系ファクタリングがおすすめです。
②手数料が他のファクタリングより安い
銀行系ファクタリングの大きな魅力の1つは圧倒的に低い手数料水準で、相場は以下の通りです。
ファクタリング会社の種類 |
手数料相場 |
ノンバンク系・独立系ファクタリング(2社間) |
2%〜20% |
銀行系ファクタリング |
1%〜5% |
銀行系ファクタリングの手数料が安い理由は、3社間ファクタリングを採用しており回収リスクを低減できているためです。また、銀行が預金や銀行間取引を通じて大規模な資金の調達が可能であり、低コストで融資・債権買取ができる点もあげられます。くわえて、債権の額面が大きいほど手数料率が下がる傾向があるため、高額債権であればより有利な条件での資金調達が可能です。
③高額な売掛債権の買取に対応している
銀行系ファクタリングは、数千万〜数億円単位の高額売掛債権にも対応が可能です。ノンバンク系では1億円程度が上限となっているケースが多く、大口の資金化には制約があるのが難点です。
一方、銀行系はグループの資金力を背景に億単位の高額債権でも問題なく買取に応じられる仕組みを持っています。特に、建設業界など大規模な取引を抱える企業にとっては、銀行系ファクタリングは安定的な資金繰り確保に大きく寄与します。
④目的に応じて複数のファクタリングサービスを利用できる
銀行系ファクタリングでは、買取ファクタリングだけでなく国際・保証・一括ファクタリングなど多様なサービスが利用できる点がメリットです。例えば、以下のように自社の抱える課題に応じて適切なファクタリングサービスを選んで利用できます。
- 海外取引での回収リスクを低減したい:国際ファクタリング
- 債務者の経営状況悪化の影響を受けたくない:保証ファクタリング
- 取引先への支払いを効率化したい:一括ファクタリング
上記のようなサービスの幅広さはノンバンク系にはない強みであり、企業の資金計画を柔軟にサポートします。
銀行系ファクタリングを利用する5つのデメリット
銀行系ファクタリングを利用するデメリットとして、以下の5つがあげられます。
- 審査基準が他のファクタリングより厳しい
- 他のファクタリングより入金までに時間がかかる
- 窓口での手続きが必要となる
- 少額の売掛債権に対応していないケースが多い
- ファクタリングの利用に取引先の承諾が必要
上記のデメリットに対しては、事前に対策を講じておきましょう。
①審査基準が他のファクタリングより厳しい
銀行系ファクタリングは、利用者と売掛先の双方について厳格な審査が行われる点がデメリットです。ノンバンク・独立系では売掛先の信用力を重視されますが、銀行系では申し込み企業自身の財務状況や過去の取引実績なども細かくチェックされます。
特に、中小企業・個人事業主や赤字決算の企業などは審査に通らないケースが多く、高額な資金調達が断られやすい点は大きなネックです。また、申し込みした金融機関の利用実績がない場合も審査が通りにくいため、普段から取引のある銀行に相談するのがおすすめです。
②他のファクタリングより入金までに時間がかかる
銀行系ファクタリングは3社間ファクタリングをベースとしているため、申し込みから入金までに時間がかかる傾向があります。取引先への債権譲渡通知・承諾取得、自社と売掛先両方の与信調査を経るため、入金までに2週間〜4週間程度かかるケースもあります。
一方、ノンバンク系の2社間ファクタリングでは申し込み当日〜翌営業日入金が可能なケースも多いです。緊急時は銀行系ファクタリングの入金スピードの遅さが逆に不利になるため、独立系・ノンバンク系を利用しましょう。
③窓口での手続きが必要となる
銀行系ファクタリングではオンラインで完結するケースは少なく、審査手続き・契約締結のために窓口での対面対応・書類提出が必要です。特に、地方支店での対応では、営業時間や予約の取りづらさなどによってさらに手間・時間が増える可能性もあります。
資金調達にかけられるリソースが少ない企業や遠隔地の利用者にとっては、窓口対応が大きな障壁となる点に注意が必要です。一方で、独立系・ノンバンク系のファクタリングでは申し込みから入金までオンライン完結するケースが多いです。そのため、手続きの簡便さを求める場合は、独立系・ノンバンク系のファクタリングを利用しましょう。
④少額の売掛債権に対応していないケースが多い
少額の売掛債権に対応していないケースが多い点も、銀行系ファクタリングのデメリットです。銀行系ファクタリングでは数千万円以上の買取を前提としているケースも多く、数十万円や百万円単位の債権には対応しない場合があります。大規模な資金の貸付をメイン事業としている銀行にとって、少額の債権を処理する事務コストが採算に合わないためです。
一方、ノンバンク系・独立系ファクタリングでは、数十万円から数百万円の少額債権にも柔軟に対応しています。そのため、日々の支出への補填など少額の資金で十分な場合は、ノンバンク系・独立系ファクタリングを選ぶのがおすすめです。
⑤ファクタリングの利用に取引先の承諾が必要
銀行系ファクタリングは基本的に3社間ファクタリングで、取引先の承諾が必要な点がデメリットです。3社間ファクタリングでは取引先の承諾を得るために、売掛先への債権譲渡通知と正式な同意手続きが求められます。
しかし、債権譲渡通知を送ると取引先に「資金繰りに苦しんでいるかもしれない」と疑われるリスクが増します。取引先がファクタリングの仕組み自体を理解しておらず、「怪しいサービスを利用しているのでは」と不信感に至る可能性も高いです。
万が一、ファクタリングの利用で取引先から不信感をもたれた場合、取引停止や取引条件の改悪などの悪影響を被る可能性もあります。上記のデメリットを回避するためには取引先と信頼関係を構築しておき、ファクタリングへの理解を促しておく必要があります。
銀行系ファクタリングを積極的に利用したいケース
銀行系ファクタリングを積極的に利用したいケースは、主に以下の4つです。
- 取引先との信頼関係を構築できている
- 手数料をなるべく抑えたい
- 一度に大きな金額を資金調達したい
- 安全な業者から資金調達したい
上記のケースに該当する場合は、銀行系ファクタリングを検討しましょう。
取引先との信頼関係を構築できている
取引先との信頼関係を構築できている場合、銀行系ファクタリングが向いています。銀行系ファクタリングは3社間ファクタリングが基本で、債権譲渡通知の際に取引先にファクタリングを利用している事実が知られます。取引先との信頼関係が十分に構築されている場合、資金調達に対する理解・協力を得やすく資金化のプロセスがスムーズです。
一方で、信頼関係が薄い相手ではファクタリングの利用をネガティブに受け止められ、取引条件の変更などの悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため、銀行系ファクタリングを活用する際には事前に取引先へ丁寧に説明し、信頼の土台をしっかりと築いておきましょう。
手数料をなるべく抑えたい
銀行系ファクタリングは、なるべく手数料を抑えたい場合にもおすすめです。ノンバンク系・独立系の2社間ファクタリングでは2%〜20%超、3社間でも1%〜9%が相場です。
一方、銀行系ファクタリングでは5%未満で契約できるケースが多く、ノンバンク系・独立系よりも手数料を大幅に抑えられます。また、債権額が大きくなるほど手数料率はさらに低下しやすく、自社の借入コストを抑えたい企業にとっては非常に効果的です。
一度に大きな金額を資金調達したい
一度に大きな金額を資金調達したい場合、数千万円や1億円以上といった大口債権に対応している銀行系ファクタリングは向いています。銀行グループが持つ豊富な資金力を背景に、ノンバンク系では対応が難しい規模も一括で買取できるためです。
建設業・卸売業・輸出業などで大規模な取引を抱える企業にとって、自社のキャッシュフローを安定化させるうえで非常に有効です。借入枠とは別に、一度にまとまった資金を調達できる点は設備投資や原材料費の先行支払いにも役立ちます。
安全な業者から資金調達したい
安全な業者から資金調達したいと考えている場合も、銀行系ファクタリングの利用がおすすめです。銀行系ファクタリングは大手の銀行やグループ会社が提供するため、業務は金融庁の監督下にあり安心感が格段に高いです。
ファクタリング市場には悪質業者も存在しますが、銀行はコンプライアンスが厳格であるため、過剰な取り立てや不当契約などの不安がありません。そのため、資金調達において悪質業者に出会いたくない点を最優先する企業は、銀行系を選ぶとリスク回避につながります。
銀行系ファクタリングを利用しない方がいいケース
銀行系ファクタリングを利用しない方がいいケースとしては、以下の4つがあげられます。
- 小口の売掛債権の売却を考えている
- 新規の取引先が多い
- 赤字など経営状況が悪い
- すぐに資金が欲しい
上記のケースにあてはまる場合は、独立系・ノンバンク系のファクタリングを利用しましょう。
小口の売掛債権の売却を考えている
小口の売掛債権の売却を考えている場合、銀行系ファクタリングは向いていません。銀行系ファクタリングは事務手続き・債権管理に高いコストがかかり、採算を合わせるために数百万円〜数千万円単位の売掛債権を対象にしています。
そのため、百万円以下や数十万円程度の少額の売掛債権は対応対象外となるケースが多く、受付してもらえない可能性が高いです。中小企業・個人事業主が小口債権を資金化したい場合は、ノンバンク系・独立系ファクタリングの方が適しています。
新規の取引先が多い
新規の取引先が多い場合、売掛先の承諾が必要な3社間契約が基本の銀行系ファクタリングは向いていません。特に、取引先がファクタリングに馴染みがない場合、「資金繰りに困っているのでは」と疑念を抱かれる恐れがあります。
また、取引開始早々にファクタリング利用への承諾を求めると取引条件の見直しや取引自体の打ち切りにつながる可能性も否定できません。上記の背景を踏まえれば、新規取引先が多い企業や取引開始直後の売掛債権の場合は2社間ファクタリングがおすすめです。
赤字など経営状況が悪い
赤字など経営状況が悪い場合、申し込み企業の経営状況・財務内容が審査対象となる銀行系ファクタリングはおすすめできません。独立系・ノンバンク系ファクタリングでは売掛先の信用力を重視するため、赤字決算の企業でも審査が通るケースが多いです。しかし、銀行系ファクタリングでは企業自体の信用力が低いと審査通過が難しくなります。
すぐに資金が欲しい
すぐに資金が欲しい場合、申し込みから入金まで時間のかかる銀行系ファクタリングの利用はおすすめできません。銀行系ファクタリングは審査から承諾、契約締結までのプロセスに時間がかかるため、入金までに通常1週間〜4週間程度要します。そのため、「今週内に資金が必要」「直近の給与・納税・仕入代金の支払いに間に合わせたい」といった目的には向いていません。
一方、ノンバンク系・独立系の2社間ファクタリングでは最短即日入金に対応しているケースも多いです。入金スピードが最優先なら、銀行系ではなく2社間ファクタリングを扱うノンバンク・独立系ファクタリングを選びましょう。
銀行系ファクタリングを利用する際に注意すべきポイント
銀行系ファクタリングを利用する際に注意すべきポイントとして、以下の2点があげられます。
- 償還請求権が設定されるケースがある
- 新規融資に悪影響を与える可能性がある
銀行系ファクタリングを利用する際は、上記のポイントに注意しましょう。
償還請求権が設定されるケースがある
銀行系ファクタリングでは、償還請求権が設定された契約となるケースがあります。償還請求権とは、売掛債権を回収できなかった場合に利用企業が銀行に対して弁済する責任を負う仕組みです。
通常ファクタリングは売掛債権の譲渡・売買契約であり、回収リスクは買い手側が負担するのが原則です。しかし、銀行は貸金業者登録を行っているため、償還請求権を設定したファクタリング契約が法的に認められます。
償還請求権が設定されている場合、利用企業は一度売却した売掛債権を回収不能時に弁済しなければならないため、思わぬ負担を負う可能性があります。契約前には必ず償還請求権の有無を確認し、弁済義務を負いたくない場合は独立系・ノンバンク系のファクタリングを利用しましょう。
新規融資に悪影響を与える可能性がある
銀行系ファクタリングを利用すると、新規融資に悪影響を与える可能性がある点に注意が必要です。銀行系ファクタリングを利用すれば、グループ内の銀行ネットワークで利用履歴が情報共有がされます。
そのため、頻繁にファクタリングを利用していると「キャッシュフローに問題がある」と見なされ、融資審査でマイナス評価となる可能性が高いです。もし新規融資・社債発行を検討している場合は、ファクタリング利用を含めた財務戦略を事前に銀行と調整し、影響を最小限に抑えましょう。
おすすめの銀行系ファクタリング8選
おすすめの銀行系ファクタリングとして、以下の8つを紹介します。
- 三井住友信託銀行
- みずほファクター
- 三菱UFJファクター
- みずほ信託銀行
- 群馬銀行
- 北洋銀行
- 足利銀行
- 福島銀行
上記の中から、自社の条件にあった銀行系ファクタリングを選びましょう。
三井住友信託銀行

種類 |
一括ファクタリング |
手数料 |
要問い合わせ |
入金スピード |
要問い合わせ |
買取可能額 |
上限・下限は非公表 |
手続き方法 |
FAX・窓口 |
公式サイト |
https://www.smtb.jp/business/densai |
三井住友信託銀行では、「でんさい」を活用した一括ファクタリングや電子記録債権の割引型買取サービスを提供しています。でんさいネットに登録した売掛先から発生する電子記録債権を三井住友信託銀行がまとめて買取し、買掛先に対する支払いを効率化できる点が特徴です。利用企業は手形管理や紙媒体のコストを省きながら、事務作業の負担軽減も図れます。
ただし、でんさい対応が前提となるため、電子記録債権をまだ活用していない企業には事前導入が必要となります。三井住友信託銀行の高い信頼性と電子債権を活かした現金化スキームが利用できる点で、大手企業や事務負担軽減を重視する法人におすすめです。
みずほファクター

種類 |
|
手数料 |
非公開 |
入金スピード |
非公開 |
買取可能額 |
非公開 |
手続き方法 |
公式サイト・電話 |
公式サイト |
https://www.mizuho-factor.co.jp/ |
みずほファクターは、みずほフィナンシャルグループの傘下で国内外のファクタリングを幅広く提供しています。ファクタリングでは、債権回収を保証する「保証ファクタリング」や国際取引を支援する「国際ファクタリング」を展開しています。
保証ファクタリングでは債権額の100%を保証する仕組みになっており、債務者が倒産した際でも損失を被る心配がありません。また、保証対象となる取引先を任意で選定できるため、保証料に無駄が発生しない点も魅力です。国際ファクタリングでは輸入者の支払いが90日以上遅延した場合に100%保証が可能で、安心して海外取引ができます。
三菱UFJファクター

種類 |
- 保証ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 買取ファクタリング
- 一括ファクタリング
|
手数料 |
買取ファクタリング:0.8% |
入金スピード |
買取ファクタリング:4営業日後 |
買取可能額 |
買取ファクタリング:毎月最大1,500万円 |
手続き方法 |
公式サイト・電話 |
公式サイト |
https://www.muf.bk.mufg.jp/ |
三菱UFJファクターは1977年設立、三菱UFJフィナンシャルグループの子会社で、50年以上の実績を誇ります。提供サービスには債権回収を保証する「根保証(保証ファクタリング)」や建設業向けの下請債権保全支援、国際ファクタリングがあります。根保証では債務者倒産時に売掛債権を100%保証してくれるため、債務者の経営状態に関わらず安心して資金化が可能です 。
また、でんさい対応の一括ファクタリングもあり、支払い企業が保有する複数の買掛債務を一度にまとめて処理できる利便性が高く評価されています。買取ファクタリングでは診療報酬ファクタリングに対応しており、医療機関の資金繰り改善に役立てられます。手数料は0.8%と低水準で、毎月最大1,500万円までの診療報酬債権の買取に対応しており、多額な資金が必要な場合でも安心です。
みずほ信託銀行

種類 |
電子記録債権(e‑Noteless)を活用した期日前割引型ファクタリング |
手数料 |
要問い合わせ |
入金スピード |
最短2営業日 |
買取可能額 |
要問い合わせ |
手続き方法 |
オンライン・FAX |
公式サイト |
https://www.mizuho-tb.co.jp/corporate/ryudouka/e-noteless/ |
みずほ信託銀行では、「e‑Noteless」と呼ばれる電子記録債権を活用した一括支払信託型のファクタリングサービスを提供しています。「e‑Noteless」では紙の手形を電子化し、利用企業から買掛先への支払いをスムーズに行える点が大きな特徴です。
電子化による業務合理化と印紙代・手形管理にかかるコスト削減効果も高く、中小企業の資金繰り負担軽減にも貢献します。ただし、電子記録債権の導入が必須であるため、まだ導入していない企業は事前準備として口座開設などが必要です。
群馬銀行

種類 |
買取ファクタリング |
手数料 |
2〜9% |
入金スピード |
最短即日 |
買取可能額 |
上限・下限なし |
手続き方法 |
オンライン |
公式サイト |
https://www.gunma-olta.jp/ |
群馬銀行は、OLTA社と提携した「群馬銀行クラウドファクタリング powered by OLTA」を提供しています。本サービスは申し込みから審査、契約すべてがオンラインで完結し、最短24時間以内に審査回答を得られる点が大きな特徴です。
さらに、2者間ファクタリングにより、売掛先への通知なしで資金化が可能な点も大きなメリットとなります。手数料は2%〜9%程度で買取可能額の下限が設定されていないため、少額の資金需要にも柔軟に対応できる点が魅力的です。請求書の一部買取にも対応しており、売掛債権の金額内であれば自由に資金調達額を設定できます。
北洋銀行

種類 |
一括ファクタリング |
手数料 |
非公開 |
入金スピード |
非公開 |
買取可能額 |
非公開 |
手続き方法 |
店舗窓口 |
公式サイト |
https://www.hokuyobank.co.jp/company/kouritsu/factoring.html |
北洋銀行は、北海道の地銀として「北洋一括ファクタリングシステム」を導入しています。本サービスは複数の買掛債務を銀行が一括代行決済する仕組みであり、支払い手形の管理負担やコスト、印紙税の削減に大きく寄与します。
契約企業は業務効率が高まり、事務処理の簡素化や資金繰りの安定化を同時に実現が可能です。ただし、一括代行決済であるため、買取下限額が比較的大きく設定されている点に注意しなければなりません。
足利銀行

種類 |
|
手数料 |
買取ファクタリング:2%〜9% |
入金スピード |
買取ファクタリング:最短即日 |
買取可能額 |
買取ファクタリング:上限・下限なし |
手続き方法 |
買取ファクタリング:公式サイト
一括ファクタリング:店舗窓口 |
公式サイト |
https://www.ashikagabank.co.jp/ |
足利銀行は、OLTA社と提携したオンライン完結型の「クラウドファクタリング powered by OLTA」を提供しています。申し込みから審査・契約・資金化まで完全Web完結が可能で審査は24時間以内に完了し、即日振込にも対応しているのが特徴です。また、2社間契約方式で売掛先への通知が不要であり、代表者確認書類と請求書・通帳・決算書などが揃えばすぐ申し込みできます。
一括ファクタリングも提供していて売掛債権を足利銀行が一括して買取を行い、従来の手形期日に仕入先の口座に振込を行ってくれます。また、従来の手形割引のように期日前に資金化したい場合は、金利を差し引いた金額で希望日に入金が可能です。
福島銀行

種類 |
|
手数料 |
2%〜9% |
入金スピード |
最短即日 |
買取可能額 |
上限・下限なし |
手続き方法 |
オンライン |
公式サイト |
https://www.fukushimabank-olta.jp/ |
福島銀行が提供する「ふくぎんクラウドファクタリング powered by OLTA」は、OLTA社との協業によるオンライン完結型サービスです。審査にはAIスコアリングを導入し、申し込みから24時間以内に審査結果を回答します。
最短即日で資金が入金され、法人・個人事業主のスモールビジネスに最適化された設計です。手続きはオンラインで完結し、2社間ファクタリングでスムーズに進むため、本業が忙しい経営者にもおすすめです。
さらに、「でんさい」を活用した一括ファクタリングも導入しており、電子記録債権を通じて買掛債務をまとめて決済できるスキームも提供しています。結果として、オンラインでの簡便性と通知不要によるスピード性に加え、電子化による事務効率化も実現できるのが大きな特徴です。
銀行系ファクタリングが向かないケースの場合は独立系がおすすめ
銀行系ファクタリングが向かないケースでは、独立系ファクタリングが柔軟で使い勝手の良い選択肢となります。独立系ファクタリングの大きな魅力は申し込みから審査・契約・入金までがオンライン完結し、最短即日入金が可能である点です。
また、独立系は2社間ファクタリングが主流で債権譲渡通知が不要なため、取引先に資金繰り状況を知られたくない場合にも向いています。さらに、審査基準が売掛先の信用力を中心としており、創業間もない事業者や赤字期の企業でも利用できる点が強みです。ただし、手数料は銀行系ファクタリングよりも高めで業者によってサポート対応に差があるため、利用時には実績・評判の確認が欠かせません。
ファクタリングに関するよくある質問
ファクタリングに関するよくある質問として、以下の5つがあげられます。
- ファクタリングに営業資格は必要?
- 支払いサイトが90日の売掛債権はファクタリングできる?
- ファクタリングがやばいと言われるのはなぜ?
- ファクタリングは違法?
- ファクタリングは取り立てがある?厳しい?
ファクタリングに関して疑問点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
ファクタリングに営業資格は必要?
ファクタリングは融資と異なり、売掛債権の譲渡・売買取引で特別な資格・免許は不要です。そのため、法人で会社設立さえ行えば、許認可なしにファクタリング業を開始できます。一方で、償還請求権付きの契約を提供する場合は貸金業とみなされるため、金融機関が加入する貸金業登録が必要です。
ファクタリングは免許・登録不要で参入できる一方、相場を超える高額な手数料を請求するような悪質業者の存在も増えています。ファクタリングを利用する際は運営実態・評判を調べて、安全にサービスを利用できるファクタリング会社を選びましょう。
支払いサイトが90日の売掛債権はファクタリングできる?
支払いサイトが90日と長期の売掛債権でも買取は可能ですが、回収リスクが高く判断されて手数料率があがる傾向があります。そのため、90日サイトの債権をファクタリングする際は見積りを依頼し、手数料を差し引いても必要な資金を確保できるか確認しましょう。
ファクタリングがやばいと言われるのはなぜ?
ファクタリングがやばいと言われる理由は、以下の2点に集約されます。
ファクタリングがやばいと言われる理由 |
内容 |
悪質業者や偽装ファクタリングの存在 |
ファクタリングと称して貸付契約を結ばされるなど悪質なケースがあり、やばいと感じられる要因となっている |
無登録でも事業運営が可能 |
ファクタリング事業に免許・登録が不要で無資格者でも参入でき、法的リスクが懸念される |
しかし、評判・運営実態などを確認して適切な業者を選べば、ファクタリング自体は合法で有効な資金調達手段です 。
ファクタリングは違法?
売掛債権の譲渡・売買は民法第466条や第555条で明示されており、ファクタリングは正当な取引契約と位置づけられています。
(債権の譲渡性)
第466条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
参考:民法|e-Gov 法令検索
(売買)
第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
参考:民法|e-Gov 法令検索
しかし、日本ではファクタリング業に登録義務・免許制度がないため、利用者が損失を被るような条件で契約をさせる悪質業者も存在します。特に、給与ファクタリングや償還請求権ありのファクタリング契約は実質的に貸付と認定される可能性が高いです。
もし、貸金業登録を行っていない状態で上記のサービスを提供すると違法業者となり、取引するリスクも高まります。正当なファクタリング会社と悪質業者を見分けるには、契約書の内容や手数料の妥当性、業者の実績などを確認する必要があります。
ファクタリングは取り立てがある?厳しい?
通常のファクタリング会社では法的に問題のある取り立ては行いませんが、悪質業者には注意しなければなりません。金融庁も注意喚起しているように、事実上の高利貸し業務や暴力的回収を伴う偽装ファクタリングが存在しうる点に留意が必要です。そのため、ファクタリング契約の際は以下の点を十分に確認し、信頼できる業者を選ぶ判断力が求められます
- 売掛債権の回収方法はどのような内容か
- 評判・口コミをインターネットで検索して過去にトラブルがないか
参考:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
銀行系ファクタリングでキャッシュフローを安定化させよう
銀行系ファクタリングは信頼性の高さと低い手数料、大口債権への対応力が魅力の資金調達手段です。3社間ファクタリングが基本で債権譲渡通知が必要な分、利用には取引先との信頼関係や事前調整が求められます。
高額な売掛金を安定的かつ安全に資金化したい企業には最適ですが、審査基準が厳しく即日対応や少額債権には不向きな一面もあります。上記の制約がネックになる場合は、スピード重視で柔軟な対応が可能なノンバンク系・独立系ファクタリングが有力な選択肢です。
ファクタリングは違法性や取り立てリスクが話題にされますが、一部の悪質業者によるものです。契約内容を理解して信頼できる業者を選べば、ファクタリングは資金繰りを支える強力な味方になります。銀行系ファクタリングを中心にファクタリングを活用し、自社のキャッシュフローを安定化させましょう。