個人事業主やフリーランスでも、売掛債権は何かしら保有していることが一般的です。

例えばクレジットカードでの売上の未入金分や、クラウドソーシングサイトでの未入金分の売上なども実は売掛債権です。

そうした売掛債権を、ファクタリングによって早期資金化することは可能なのでしょうか?

結論的に言えば、個人事業主でもファクタリングは利用できますが、取り扱いを行う業者は限られ、審査も甘くはありません。

個人事業主でも利用できるファクタリング会社と、個人事業主のファクタリング審査のポイントについて詳しく解説していきます。

 

個人事業主OKの有名ファクタリング会社5選

個人事業主が利用できる有名で安心なファクタリング会社として以下の5社をあげることができます。

これらの業者はファクタリング会社の中でも大手で高い評価も受けています。

これらの業者が取り扱うファクタリングの概要と特徴について、詳しく解説していきます。

OLTA

olta(オルタ)

限度額 なし
手数料 2%〜9%
資金化までのスピード 最短即日
ファクタリング対象 法人・個人事業主
ファクタリング形態 2社間

クラウドファクタリング最大手のOLTAは個人事業主に対してもファクタリングを取り扱っています。

OLTAのファクタリングは2社間ファクタリング専門で、24時間以内に資金化することが可能です。

資本金も大きく株主として大手企業も多数ですので、取引を行なっても非常に安心なファクタリング会社です。

さらに非対面で契約することができるので、地方都市などの遠方に住所を構えるファクタリング会社でも24時間以内に資金調達することができます。

フリーナンス

freenance(フリーナンス)

限度額 1,000万円
手数料 3%〜10%
資金化までのスピード 最短即日
ファクタリング対象 法人・個人事業主
ファクタリング形態 2社間

フリーナンスも大手インターネット企業であるGMOが運営するファクタリングサービスですので、安心して利用することができます。

フリーナンスは、むしろ個人事業主向けのファクタリングだということができます。

フリーナンスは、フリーランスが屋号などで口座を持つことができる「フリーナンス専用口座」という決済用口座を作成することから始まります。

そして、フリーナンス専用口座を支払先とした請求書のみ、ファクタリングすることができる仕組みになっています。

返済はフリーナンス専用口座へ入金になった代金から自動的に引き落としが行われるので返済にかかる手間がありません。

フリーナンス専用口座を作成することによって、様々なフリーランス専用の保険に加入することができ、屋号で口座を作成することができるので、フリーランスや個人事業主にとっては口座を作成するだけでメリットがあります。

まさに、個人事業主・フリーランス専用のファクタリングだと言えるでしょう。

なお、法人もフリーナンスを利用することは可能です。

ビートレーディング

ビートレーディング

限度額 3億円
手数料 2%〜20%
資金化までのスピード 最短即日
ファクタリング対象 法人・個人事業主
ファクタリング形態 2社間・3社間

ビートレーディングは店舗型のファクタリング会社としては、評価が高く、規模も大きな安心できるファクタリング会社です。

法人はもちろん、個人事業主への取り扱いも行なっており、数十万円程度の少額の売掛債権の買取も行なっています。

ビートレーディングは担当者の財務や資金繰りに対しる知識が非常に深いのが特徴で、ファクタリングだけでなく、資金繰り全般の相談をすることも可能です。

契約には面談が必要になりますが、希望すれば出張も行なってくれるので、ビートレーディングのオフィスに訪問する時間がないという個人事業主の方も安心して利用することができます。

ベストファクター

ベストファクター

限度額 1億円
手数料 2%〜20%
資金化までのスピード 最短即日
ファクタリング対象 法人・個人事業主
ファクタリング形態 2社間・3社間

ベストファクターも店舗型のファクタリング会社としては大手企業であり、法人のみならず個人事業主の少額買取にも丁寧に対応してくれます。

ベストファクターは様々な業種への買取実績があるので、建設や卸売業などの比較的ファクタリングをよく利用する業種だけでなく、ネットビジネスなどを行なっているフリーランスが保有している売掛債権の買取にも積極的です。

また、担当者の知識が深いので、財務的な相談にも丁寧に応じてもらうことができます。

やはり、出張買取も行なっているので、「近くにビートレーディングのオフィスがない」という個人事業主の方でもファクタリングに応じてもらうことが可能です。

トップマネジメント

トップマネジメント

限度額 3億円
手数料 1%〜13%
資金化までのスピード 最短即日
ファクタリング対象 法人・個人事業主
ファクタリング形態 2社間・3社間

トップマネジメントは東京商工会議所会員の安心できる優良ファクタリング会社です。

個人事業主へのファクタリングにも対応していますが、トップマネジメントはどちらかと言えば高額の買取を得意としているので、数十万円程度の少額の売掛債権であれば「ファクタリング以外の方法で資金調達した方がいいですよ」と、借入などを提案してくることもあります。

トップマネジメントは補助金・助成金獲得と同時にファクタリングを行う「ゼロファク」というファクタリングサービスが充実しており、コンサルなどに依頼したら数十万円程度の費用がかかる補助金・助成金申請を無料で行なってくれます。

さらにゼロファクはファクタリングの手数料も割引になるので非常にお得です。

なお、トップマネジメントも出張買取を行なっていますが、交通費は後からキャッシュバックされます。

ある程度まとまった金額の売掛債権をファクタリングするのであれば、非常にお得なファクタリング会社だと言えるでしょう。

個人事業主のファクタリング利用が難しい理由

個人事業主はファクタリングを利用することが法人よりも難しく、業者も限られてしまいます。

その理由として以下の3点をあげることができます。

  • 債権譲渡登記ができない
  • 規模が小さく不安定
  • 事業と生活が混同している

債権譲渡登記ができないという法律的な理由とともに、個人事業主は規模が小さく不安定などの理由があります。

個人事業主がなぜファクタリングを利用するのが難しいのか、詳しく見ていきましょう。

債権譲渡登記ができない

2社間ファクタリングでは債権譲渡登記という登記手続きを行うのが一般的です。

債権譲渡登記とは、売掛債権を譲渡済みであるということを登記するもので、この登記によって売掛債権の所有者は対抗要件を備えることができます。

売掛債権の対抗要件とは、ファクタリングによって売掛債権を買い取ったファクタリング会社が第3者に対して「この売掛債権は当社のものだ」と主張するための要件となるものです。

形のない資産である売掛債権はすでにファクタリング済みであっても、他の会社へ二重譲渡してしまうことが可能であるため、債権譲渡登記はファクタリング会社の資産を守るために必要になるものです。

債権譲渡登記ができるのは、法律上、法人だけで個人の債権に債権譲渡登記を行うことはできません。

つまり、個人に対してファクタリングをすると、ファクタリング会社は二重譲渡のリスクに晒されてしまうので、個人事業主はファクタリングを利用することが難しくなります。

ご紹介したような、個人事業主に対しても取り扱いを行っているファクタリング会社とのみ、取引を行うことが可能で、どこのファクタリング会社とも取引ができるわけではありません。

規模が小さく不安定

個人事業主は法人と比べて事業規模が小さく、不安定であることが一般的です。

そのため、売掛先企業から入金になった代金をファクタリング会社へ返済せずに流用してしまう可能性を否定できません。

経営が安定している企業の方が、ファクタリング会社の回収リスクが少ないため法人の方が審査に通りやすく、個人事業主はファクタリングを利用しにくい傾向にあります。

事業と生活が混同している

個人事業主は生活と事業が一体化した存在です。

そのため、事業の用途のためにファクタリングで調達した資金を生活費に使用してしまう可能性があります。

すると、資金繰りが苦しくなるので入金になった売掛債権代金をファクタリング会社へ支払わずに流用してしまうリスクが高まります。

事業と生活が感動した個人事業主はファクタリング会社にとって回収リスクが高いので法人よりもファクタリングを利用しにくくなります。

個人事業主がファクタリング審査に通過する5つのポイント

個人事業主は以下の5点を満たしていると、ファクタリング審査に通過しやすくなるでしょう。

  • 債権譲渡登記なしでファクタリングできる業者を選択
  • 大手企業の売掛債権をファクタリングする
  • 金額の大きな売掛債権をファクタリングする
  • 期間の短い売掛債権をファクタリングする
  • 生活費を経費に混ぜない

個人事業主がファクタリングによって資金調達するための5つのポイントを詳しく解説していきます。

債権譲渡登記なしでファクタリングできる業者を選択

個人事業主がファクタリングを利用するのであれば、債権譲渡登記なしで2社間ファクタリングを利用できる業者へ申し込みを行いましょう。

個人事業主は債権譲渡登記を行うことが不可能ですので、債権譲渡登記が条件になっている場合にはファクタリングを利用することが不可能です。

ご紹介したような大手の独立系ファクタリング会社は個人事業主に対しても債権譲渡登記なしで2社間ファクタリングを取り扱っています。

債権譲渡登記なしのファクタリングを利用しましょう。

大手企業の売掛債権をファクタリングする

できる限り大手企業に対する売掛債権をファクタリングした方がよいでしょう。

ファクタリングで審査されるのは、売掛先企業の与信状況です。

売掛先業に支払能力があればあるほど審査では有利になるため、倒産やデフォルトなどの心配がありません。

大手企業や官公庁に対する売掛債権を優先してファクタリングすることで審査には通過しやすくなるでしょう。

金額の大きな売掛債権をファクタリングする

金額の大きな売掛債権の方が、ファクタリング会社にとってはメリットがあるので審査に通過しやすくなります。

金額が大きな方がファクタリング会社の利益が大きいためです。

例えば100万円の売掛債権を手数料10%でファクタリングした場合は、ファクタリング会社の手数料収入は10%です。

しかし、売掛債権の金額が1,000万円であれば同じ手数料10%でも利益は100万円にもなるので金額大きいほどファクタリング会社にとっては「買い取りたい債権」ということができます。

個人事業主でも金額が大きな債権であればファクタリング審査に通過しやすいと言えるでしょう。

期間の短い売掛債権をファクタリングする

期間の短い売掛債権の方が審査に通過しやすい傾向があります。

例えば期間が数週間であれば、その短期間の間に業況が大きく変化する可能性は少ないのでファクタリング会社のリスクはそれほど大きくありません。

しかし、数ヶ月先の期間であれば、その期日までに業況が大きく変化する可能性があり、場合によっては倒産してしまうこともあります。

私たちも「数日お金を貸して」と言われれば、それほど心配することなくお金を貸すことができるかもしれませんが、「数ヶ月お金を貸して」と言われたら返済してもらうことができるかどうか心配になってしまうものです。

このように、期間の短い売掛債権の方がリスクが低いのでファクタリング審査に通過する可能性が高くなるでしょう。

生活費を経費に混ぜない

個人事業主は生活と事業が混同してしまっていることも審査に通過しにくい大きな理由の1つです。

節税のためにできる限り経費を膨らませたい気持ちは分かりますが、可能な限り生活費としての支出を経費に混ぜ込むことは避けて、生活と事業は明確に分けるようにしましょう。

こうすることによって、ファクタリング審査だけでなく、銀行の事業資金融資や住宅ローンなどの個人向けローンの審査にも通過しやすくなります。

個人事業主のファクタリングに関するよくある質問

法人成りした方がファクタリング審査に通過しやすいですか?
法人の方が審査に通過しやすいかどうかは一概には言えません。
ファクタリングの審査は主に売掛先企業の与信に対して行われるので、法人か個人事業主かよりも売掛先企業の信用に左右されるためです。
ただし、個人事業主に対して取り扱いを行なっていないファクタリング会社も多いので、申込できる窓口の数は法人になった方が多くなることは間違いないでしょう。
給料ファクタリングとは何ですか?通常のファクタリングとの違いを教えてください
通常のファクタリングが個人事業主や法人が保有する売掛債権の買取を行なって早期資金化することに対して、給料ファクタリングとは個人が持っている未払い分の給料債権を買い取って給料日前に現金を受け取ることです。
金融庁の見解では給料ファクタリングは実質的な貸付であるとされており、利息制限法を超える手数料を設定している給料ファクタリングは違法ですし、貸金業者登録を行なっていない業者が給料ファクタリング営むことも違法です。
実際にすでに手数料返還を求める訴訟になっているケースもあるので、基本的には給料ファクタリングは違法であると理解しておきましょう。
一方、事業者向けのファクタリングは合法ですので、手数料が標準的なものであれば安心して取引することができるでしょう。
個人事業主は3社間ファクタリングを利用できませんか?
個人事業主でも3社間ファクタリングを利用することができます。
3社間ファクタリングとは、ファクタリングの際に自社と売掛先企業とファクタリング会社の3社で契約締結を行い、売掛債権期日になると売掛先企業が直接ファクタリング会社へ送金する方法です。
そのため、3社間ファクタリングでは二重譲渡の懸念がないので債権譲渡登記が不要です。
債権譲渡登記が必要ないため、むしろ3社間ファクタリングの方が個人事業主は利用しやすいと言えるかもしれません。
3社間ファクタリングは資金化までに1週間程度の時間がかかってしまいますが手数料も低いので、急ぎでないのであれば3社間ファクタリングを利用するとよいでしょう。

まとめ

個人事業主でもファクタリングを利用することは可能です。

しかし個人事業主は規模が小さく業況が不安定で、さらに債権譲渡登記ができないので法人よりもファクタリング審査に通過することが簡単ではありません。

個人事業主がファクタリングを利用するためには以下のことが重要になります。

  • 債権譲渡登記なしでファクタリングできる業者を選択する
  • 大手企業の売掛債権をファクタリングする
  • 金額の大きな売掛債権をファクタリングする
  • 期間の短い売掛債権をファクタリングする
  • 生活費を経費に混ぜない

特に業者選びは非常に重要ですので、個人事業主でも債権譲渡登記なしで利用できる安心な業者をしっかりと選定するようにしましょう。