ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社へ売却して早期に資金化する方法として今や企業にとってメジャーな資金調達サービスの1つです。

しかし「最近よく耳にするファクタリングサービスについてよく分からないし、今さら人に聞くのも恥ずかしい」という人も多いのではないでしょうか?

ファクタリングサービスの特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。

銀行融資とは異なる資金調達手段として、ファクタリングサービスは企業経営に活用できる場面が多数あります。

利用を検討している人もそうでない方も頭に入れておいて損はないでしょう。

ファクタリングサービスについて徹底解説していきます。

 

ファクタリングサービスとは

ファクタリング説明図

ファクタリングサービスとは、売掛金などをファクタリング会社と呼ばれる企業へ売却して早期に資金調達する方法です。

ファクタリングサービスを利用することによって期日になるまで現金化しない売掛債権が現金化する上に、売掛債権のリスクからも解放されることが可能です。

ファクタリングサービスの特徴について詳しく解説していきます。

売掛債権を期日前に売却して資金化

ファクタリングサービスとは、企業や個人事業主などが保有している売掛債権を期日になる前に売却して資金化する方法です。

売掛金などの売掛債権は期日にならないと資金化しない資産ですが、ファクタリングサービスを利用することによって期日を待たずに現金が入金になります

売掛債権のリスクも売却できる

ファクタリングサービスを利用すると、売掛債権の回収リスクも一緒に売却することが可能です。

売掛債権は売掛先の倒産や資金繰りの悪化などによって期日になっても入金にならないということが多々あります。

ファクタリングサービスを利用して売掛債権を売却することによって売掛債権の回収リスクもファクタリング会社へ売却することができるので、万が一売掛債権が回収不能になっても自社に損失は一切及びません

ファクタリングサービスを利用すると、ファクタリング会社が回収リスクを背負ってくれます。

2社間と3社間がある

ファクタリングサービスには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングが存在します。

ファクタリング形態 契約当事者 ファクタリング会社の
回収方法
手数料 資金化までの時間
2社間ファクタリング 自社(納入企業)
ファクタリング会社
自社が
ファクタリング会社へ支払い
高い
(10%〜20%程度)
最短即日
3社間ファクタリング 自社(納入企業)
売掛先企業(支払企業)
ファクタリング会社
売掛先企業が
ファクタリング会社へ支払い
低い
(2%〜10%程度)
1週間程度

2社間ファクタリングは自社とファクタリング会社だけの契約で、売掛債権期日に売掛先企業は自社へ入金し、自社がそのお金をファクタリング会社へスライドさせる形で返済します。

一方、3社間ファクタリングでは自社とファクタリング会社と売掛先企業の3社で契約を行い、売掛債権期日には売掛先企業が直接ファクタリング会社へ返済します。

2社間ファクタリングでは資金が一度自社へ経由されるので、自社がファクタリング会社へ代金を支払わないリスクがあります。

そのため、2社間ファクタリングの方が3社間ファクタリングよりも手数料が高くなります。

ただし、自社とファクタリング会社だけの契約である2社間ファクタリングは資金化までに時間がかからないので最短即日で資金化することも可能です。

ファクタリングサービスのメリット

ファクタリング6つのメリット

ファクタリングサービスには銀行融資には存在しない多数のメリットがあり、主なものとしては以下の7つをあげることができます。

  • 最短即日資金化できる
  • 売掛先の信用で審査に通る
  • 売掛債権が回収不能になっても安心
  • 売掛先に秘密で資金調達できる
  • 無担保・無保証で利用できる
  • バックオフィス業務を効率化できる
  • 決算書で負債にならない

ファクタリングサービス7つのメリットについて詳しく解説していきます。

最短即日資金化できる

2社間ファクタリングであれば最短即日で資金化することができます。

銀行融資ではいくら早くても1週間程度の時間がかかってしまうことを考えればファクタリングサービスの資金化までのスピードは企業の資金繰りに大きなプラスです。

「今日は手形の期日だからどうしても今日中に現金が必要」「月末入金予定の取引先からの入金が遅れると、急に連絡が入った」というような緊急で資金調達が必要な場面は企業経営の中にはいくらでも存在します。

ファクタリングサービスを利用すれば緊急時の資金繰りにも十分対応できるので、資金調達手段の1つとして頭に入れておきましょう。

売掛先の信用で審査に通る

ファクタリングサービスで審査されるのは売掛先企業の信用です。

ファクタリングサービスにおいてファクタリング会社に債務を背負うのは自社ではなく売掛先企業になるためで、売掛先企業が大手企業や優良企業の場合には審査に通過できる可能性が大きくなります。

自社の業況が悪化して「銀行やビジネスローンの審査にも通過できない」という状況下においても、優良企業の売掛債権さえ手元に持っていればファクタリングサービスで資金調達ができるでしょう。

この意味でもファクタリングサービスは資金調達チャネルの1つとしてしっかりと頭に入れておく必要があります。

売掛債権が回収不能になっても安心

ファクタリングサービスでは、売掛債権の回収リスクも売却します。

万が一、売掛先企業が倒産してしまったとしても、自社にその損失は一切及びません

ここがファクタリングサービスが他の資金調達手段と最も大きく異なる点です。

ファクタリングサービスを利用することによって、取引先の業況が急に悪化したとしても安心ですので「この取引先は心配」という売掛債権をファクタリングによって売却してしまうのも1つの有効な手段だと言えるでしょう。

売掛先に秘密で資金調達できる

2社間ファクタリングは売掛先に秘密で資金調達することが可能です。

2社間ファクタリングは自社とファクタリング会社だけの契約で、売掛先企業はファクタリングを行ったことを知らないので売掛先企業はファクタリングを行ったことを知りません。

売掛先企業にファクタリングを行ったことを知られて「資金繰りが苦しい」などとネガティブに評価される心配はありません。

無担保・無保証で利用できる

ファクタリングには担保も保証人も必要ありません。

売掛債権が「回収可能」と判断されれば審査に通過できるので、有力な保証人や担保を用意することができない企業でもファクタリングサービスであれば資金調達できる可能性があります。

バックオフィス業務を効率化できる

3社間ファクタリングであれば、売掛先とやり取りするのはファクタリング会社です。

つまり、売掛債権の回収や管理や督促業務をファクタリング会社へ委託することができると言っても過言ではありません。

企業にとって売掛債権の管理業務は大きな重荷になる仕事です。

入金を確認し、督促状を発行し、場合によっては売掛先まで訪問しなければなりません。

ファクタリングサービスを利用すれば、このような業務をファクタリング会社へ委託することができるのて自社のバックオフィス業務は軽くなり、営業等の売上拡大業務へと邁進できるようになります。

決算書で負債にならない

ファクタリングサービスを利用しても企業の負債は増えません。

ファクタリングサービスは借入ではなく売掛債権の売却であり、単に売掛金という資産が現金という資産と交換されるだけだからです。

借入金によって資金調達した場合には、その分の負債が貸借対照表に計上されることになるので、負債が増えてしまいますが、ファクタリングサービスでは負債が増えないので、企業の貸借対照表の見た目を良くする効果も期待することができます。

ファクタリングサービスのデメリット

ファクタリングのデメリット

メリットが非常に多いファクタリングサービスは銀行融資では不足する部分を補うことができる点が多いですが、手数料が高いという点や業者選びを重視する必要があるという点はデメリットです。

ファクタリングサービスを利用するのであればデメリットも理解しておきましょう。ファクタリングサービスのデメリットを詳しく解説します。

手数料が高い

ファクタリングサービス最大のデメリットが手数料の高さです。

特に2社間ファクタリングの手数料相場は20%程度になることもよくあり、高額な資金調達コストとなってしまいます。

銀行融資の金利が2%前後であることを鑑みればファクタリングサービスは高コストになってしまうことは否定できません。

基本は銀行融資を資金調達方法とし、銀行融資の審査に落ちた場合、急いでお金が必要な場合などに限ってファクタリングサービスを利用するなど、ファクタリングサービスを利用する場面はある程度限定すべきでしょう。

業者選びが重要

ファクタリングサービスは、どの業者を利用するかということも非常に重要です。

ファクタリングサービスを営業するためには行政への登録や許認可は一切不要。そのため、ファクタリングサービスを提供する会社の中には相場よりもかなり高い手数料を設定する安全とは言えない業者も混在しています

適正な手数料を設定する業者と安全に取引できるかどうかはどんな業者を選ぶかに左右されるので、申し込みの前に業者が安全かどうかを自己責任で確認する必要があるという点に注意しましょう。

3つのファクタリングサービス

ファクタリングサービスには以下の3つの形態が存在します。

これら3つのファクタリングサービスは中身が全く異なるので、用途に合わせて使い分けることが非常に重要です。

3つのファクタリングサービスの違いについてよく頭に入れておきましょう。

買取ファクタリング

買取ファクタリングとは、ここまでご説明したファクタリングサービスです。

ファクタリング会社へ売掛債権を売却して早期に資金化を図ることができます。

買取ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、ファクタリングの形態によって手数料や資金化までの速度が異なる点に注意が必要になります。

保証ファクタリング

保証ファクタリングとは?

保証ファクタリングとは売掛債権の回収リスクに対してファクタリング会社の保証を付けるというサービスです。

保証ファクタリングが実行された売掛債権が支払不能になった場合には、ファクタリング会社が未払いの代金を自社へ保証してくれます。

早期資金化をするものではありませんが、回収の懸念がある売掛債権が手元にある場合や、新規取引先と取引する際には保証ファクタリングは多いに活用することができるでしょう。

国際ファクタリング

国際ファクタリングの仕組み

国際ファクタリングとは貿易をする際に、海外企業の売掛債権についてファクタリング会社が保証を行うものです。

従来の信用状での取引は時間がかかりすぎ、信用状を利用しない取引には代金回収のリスクを排できません。

国際ファクタリングであればスピーディーに海外取引先への売掛債権の保証を得ることができるので、時間もかからず代金回収の懸念はありません。

ファクタリングサービスに関するよくある質問

安心できるファクタリングサービスの選び方を教えてください
ファクタリングサービスには行政への登録や許認可がないので公的に安全性を証明する基準はありません。
安心できるファクタリングサービスを選択するためにはインターネット上の口コミサイトなどから口コミを確認するか、大手のファクタリング会社に申し込むのがベストでしょう。
ファクタリングサービスは個人事業主でも利用できますか?
ほとんどのファクタリングサービスは個人事業主でも利用することができます。
しかし、ファクタリングサービスの中には法人のみの取り扱いと決められている会社もあるので、個人事業主の方は利用することができるかどうかを事前に確認することを怠らないようにしましょう。
ファクタリングサービス利用にはどんな書類が必要ですか?
必ず必要になる書類としては「請求書・納品書などの売掛債権を証明する書類」「商業登記簿謄本」「代表者の本人確認書類」「決算書・確定申告書」などです。
ファクタリング会社によってはこの他に書類を求めてくることもあり、審査の過程で当初は提出を求められなかった書類の提出を求められることもありますので、できる限り迅速に必要書類を用意しましょう。

まとめ

ファクタリングサービスには、早期資金化や売掛債権のデフォルトリスクの排除などの様々なメリットがあります。

しかし、手数料が高いというデメリットもあるので、できる限り安価な手数料を設定する安心できる業者を探すことが重要です。

大手のファクタリング会社と契約するかインターネットの口コミを参考に、自社にとって最適なファクタリングサービスを利用しましょう。