事業を営んでいて「今日中に資金調達しないと支払いが間に合わない」という経験をした人も多いのではないでしょうか?
「取引先から予定されていた入金が遅れると連絡が入った」「用意しておいたお金が従業員に持ち逃げされてしまい支払いができない」などの理由で、突然お金が必要になる場面は少なくありません。
もしも、そのような時に手形の期日がくると手形は不渡りになって最悪の場合企業は倒産してしまいます。
また「従業員に給料を払えない」「取引先への支払いができない」などの事情があれば事業の継続は困難です。
上記のような緊急時に対処するには、今回紹介する即日で資金調達する3つの方法のいずれかを実践する必要があります。
もちろん今お金が必要ではない人でも、資金調達方法を理解しておくことで、いざという時にも役立つでしょう。
万が一に備えて、今日中に資金調達する方法を頭に入れておきましょう。
今日中に事業資金調達できる3つの方法
今日中に事業資金調達ができるのは以下の3つの方法だけです。
まずは、それぞれの資金調達方法の概要を解説していきます。
①ビジネスローン
ビジネスローンとは銀行や消費者金融などが提供する事業資金です。
消費者金融が提供するビジネスローンなら非対面で借りることができ、申込日当日に融資を受けられる即日融資に対応しているものも多いので、今日中に資金調達ができます。
注意しなければならないのは、法人ではなく個人事業主に対してのみ融資を行なっている商品が多いことです。
個人事業主は個人信用情報のチェックができるので、スピーディーな審査が可能になるためです。
法人に対して即日融資を対応しているのは「ビジネクスト」など限られた会社しかないので、申込先をよく調べてから申し込みを行うようにしてください。
②カードローン
消費者金融のカードローンなども即日融資対応です。
しかし、カードローンは借りたお金を事業資金に使うことができません。
個人利用において用途を問われないカードローンですが、事業資金にはあてられないため使い道には十分な注意が必要になります。
③ファクタリング
法人が最も確実に今日中に資金調達できる方法がファクタリングです。
ビジネスローンは法人に対する即日融資を行なっているところが少なく、カードローンは事業資金に利用できませんが、ファクタリングであれば法人でも即日資金調達することができます。
注意点としてはファクタリングは借入ではなく売掛金などの売掛債権の売却であるため、売掛金を持っていなければ資金調達することができません。
売掛金さえあれば、自社に信用がなくどこからもお金を借りられなかった事業者の方でもファクタリングで今日中に資金調達できる可能性があります。
今日中に資金化できる3つの方法を一覧比較
結論からいうと、今日中に資金調達をしたい場合は法人なら2社間ファクタリング、個人事業主ならビジネスローンを利用するのがおすすめです。
ここで紹介する3つの方法は、それぞれの性質によって特徴が大きく異なることから自社に合った選択をしなければなりません。
各資金調達方法の大まかな特徴をまとめると、以下のとおりです。
ビジネスローン | カードローン | 2社間ファクタリング | |
---|---|---|---|
資金調達方法 | 借入 | 借入 | 売掛債権の売買 |
審査対象 | 自社の業況 | 利用者 | 売掛先の業況 |
借入限度額 | 500万円程度 | 年収の3分の1以内 | 売掛債権金額内 |
事業資金への利用 | 可 | 不可 | 可 |
金利・手数料相場 | 5~18% | 3~18% | 10~20% |
要注意事項 | 法人向け商品が少ない | 事業資金には利用できない | 個人事業主向けサービスが少ない |
おすすめの利用者 | 個人事業主 | 事業者ではない個人 | 法人 |
各資金調達方法には、上記にあげた内容以外にもそれぞれに特徴と注意点があるので、詳しく見ていきましょう。
ビジネスローンの特徴と注意点
ビジネスローンで資金調達する方法には以下の特徴があります。
- 業況が審査される
- 借入限度額は500万円くらい
- 金利は高い
- 税金を滞納していても借りられる
- 総量規制対象外
今回紹介する方法としては、最も簡単に借りられる王道の方法と言えますが、自社の経営状態があまりにも悪いと借入できない可能性があります。
申し込む前に特徴を理解しておきましょう。
業況が審査される
ビジネスローンは自社の業況が審査において重要になります。
たとえば、以下のような項目をもとに業況を審査します。
- 事業規模
- 事業歴
- 財務状況
- 将来性
銀行の事業資金よりもビジネスローンの審査は甘いですが、それでも経営状態がボロボロで「絶対に返済は難しい」と思われる企業に対しては融資を行いません。
反対に、現在業績が振るわなくとも「数か月後に大きな売り上げが見込める」など、将来性に期待をして審査に通過できることもあります。
さまざまな状況を総合的に見て判断されるので、審査時にはしっかり自社の業況をアピールできる材料を用意しておきましょう。
借入限度額は500万円くらい
ビジネスローンは、数千万単位の高額融資には対応していません。
原則的に無担保で融資を行うため、銀行から借りることが難しいような業況がそれほど良好ではない企業に対して高額融資をすることが難しいからです。
基本的にノンバンク系のビジネスローンなら500万円程度が融資限度額となっており、多いところでも1,000万円が限度です。
担保を提供することで数千万円程度の高額融資を受けられる可能性もありますが、ビジネスローンを借りなければならないほど資金繰りに困っている会社が数千万円もの担保を用意することは現実的とは言えません。
ビジネスローンで今日中に資金調達できる金額は数百万円程度が限度であると理解しておきましょう。
金利は高い
ビジネスローンの金利は100万円未満で18%、100万円超で15%と、利息制限法ギリギリの高金利が適用されるものと理解しておきましょう。
ビジネスローンのビジネスモデルは基本的に銀行から借りることが難しいリスクの高い事業者に対して高金利で融資を行う、ハイリスクハイリターンだからです。
銀行の事業資金融資が2%前後の金利で借りることができることと比較すると、ビジネスローンは大きな利息負担になってしまいます。
今日中の資金調達に対応しているビジネスローンは銀行融資が降りてくるまでの短期間だけ利用して、長期間恒常的に利用することはおすすめできません。
税金を滞納していても借りられる
ノンバンク系ビジネスローンなら、税金を滞納していても柔軟な審査で融資をしてもらえます。
一方で、銀行や日本政策金融公庫の融資や銀行系ビジネスローンは、税金を滞納していると借りることはできません。
日本政策金融公庫は税金を原資に融資をしていますし、銀行の事業資金融資も税金で運用される信用保証協会の保証をつけて融資されることが一般的だからです。
これらの融資では審査の際に納税証明書の提出が必須になります。
事業者は税金を滞納するとお金を借りる手段が著しく狭くなってしまうのですが、ビジネスローンであれば税金を滞納していても借りることができます。
総量規制対象外
消費者金融が融資を行うビジネスローンですが、総量規制の対象外となっています。
総量規制は消費者を過剰融資から守るため、個人の借入金額が年収の3分の1までに制限される法律上のルールです。
しかし事業者は消費者ではないので総量規制の対象外です。
主に個人事業主に対して個人名で融資を行なっているビジネスローンですが、総量規制対象外ですので個人事業主でも年収の3分の1を超える金額も借りられます。
個人事業主は節税のために年収を低く申告していることが多いですが、ビジネスローンであれば申告所得の低い個人事業主でも必要資金を借りられる可能性があります。
カードローンの特徴と注意点
今日中に資金調達できる方法として誰もが頭に浮かぶのが消費者金融のカードローンではないでしょうか?
しかし、消費者金融カードローンは借入金を事業資金に流用できないなどのいくつかの注意点があります。
注意点や特徴をしっかりと理解しておきましょう。
- 事業内容とは無関係に借りられる
- 事業資金には使えないので注意
- 総量規制対象になり少額しか借りられない
- 無利息期間がある
何も考えずに借りたお金を事業目的に使ってしまうと、大きなペナルティが課される可能性もあります。
消費者金融カードローンの特徴や注意点について詳しく見ていきましょう。
事業内容とは無関係に借りられる
カードローンはそもそも事業資金として活用することを認めていないため、事業の内容は審査されません。
カードローンで審査されるのは、以下のような利用者個人の信用情報です。
- 雇用形態
- 勤続年数
- 勤務先の規模
- 過去5年以内の金融事故の有無
金融事故とは、クレジットカード支払いや奨学金の延滞、債務整理の経験などです。
カードローンはあくまで個人向けのサービスであるため、たとえ会社が大赤字でも、個人としてしっかりと給料を受け取っている人であれば問題なく審査に通過できる可能性があります。
事業資金には使えないので注意
カードローンは事業に必要なお金を借りることができません。
借りたお金を何に使ってもよいカードローンですが、唯一事業資金にだけは利用できません。
事業資金に使ったことがバレてしまうと融資金の一括返済を迫られる可能性が非常に高くなるため注意が必要です。
このため、カードローンで今日中に資金調達する場合には「自分の生活費を事業の支払いに回す」→「カードローンで借りたお金を生活費に回す」というように工夫して資金を回して行くようにしましょう。
総量規制対象になり少額しか借りられない
個人の消費資金であるカードローンは総量規制対象です。
このため、それほど高額を借りることは難しいでしょう。
個人事業主は節税のために年収を低く申告していることが多いですが、このような場合には数十万円程度の少額しか借りることができない可能性が高いと言えます。
カードローンを借りる前に必ず「今日中に資金調達しなければならないお金はいくらなのか」を検討しましょう。
そして、その金額が年収の3分の1を超えているようであればカードローンでは十分な資金調達ができないため、ほかの方法にシフトしましょう。
無利息期間がある
アコムやプロミス、アイフルなどのカードローンには無利息期間があります。
「今日中にお金が必要」という人は数日程度資金が間に合えばいいケースが多いので、無利息期間があるカードローンを借りることで利息負担0円で今日中に必要資金を調達できる可能性があります。
カードローンの使いすぎは厳禁ですが、上手に活用することで最小のコストで必要資金を調達することができる方法です。
ファクタリングの特徴と注意点
中小企業を中心に人気の即日資金調達方法がファクタリングです。
ファクタリング最大の特徴は、自社ではなく売掛先の業況が審査されるので自社に信用がなくても資金調達が可能な点です。
そして、前述したように法人が最も確実に今日中に資金調達できる方法でもあります。
しかし、大前提として売掛金を持っていないと取引することができません。
ファクタリングの主な特徴や注意点は以下の通りです。
- 審査されるのは売掛先の業況
- 即日対応は2者間のみ
- 取引先に秘密で資金調達可能
- 売掛金を持っていないと利用できない
- 手数料は最も高い
- 個人事業主は利用できない場合もある
- 違法な業者には注意が必要
優良企業の売掛金を持っていれば今日中に資金調達することができますが、違法な業者にも注意が必要です。
ファクタリングで今日中に資金調達をする前に知っておくべき点について解説します。
審査されるのは売掛先の業況
ファクタリングで審査されるのは売掛先企業の業況です。
売掛債権を売却するファクタリングでは、ファクタリング会社に資金を支払うのは自社ではなく、売掛先企業であるためです。
このため、銀行はおろかビジネスローンの審査にすら通過できないほどの業況でも、ファクタリングであれば資金調達をできる可能性があります。
ただし、自社の業況を全く審査しないのかと言えば、そのようなことはありません。
売掛先から振り込まれた売掛金を自社が持ち逃げしないように、自社の業況も念のため審査されます。
ここで「ファクタリングをしても今日明日には倒産する可能性が高い」などと判断された場合には審査に落ちてしまうこともあります。
いずれにせよ、自社に対する審査は融資よりも緩く行われる点が特徴です。
即日対応は2社間のみ
ファクタリングには取引先の同意が不要な2社間ファクタリングと、取引先の同意が必要になる3社間ファクタリングがありますが、即日融資に対応しているのは2社間ファクタリングだけです。
取引先への同意が必要になる3社間ファクタリングでは、取引先の同意を得るのに1週間程度の時間がかかってしまうので、即日で資金調達することは不可能だからです。
即日資金調達をしたいのであれば、2社間ファクタリングを取り扱っているファクタリング会社へ申し込みをするようにしましょう。
取引先に秘密で資金調達可能
2社間ファクタリングでは、売掛先に秘密で今日中に資金調達ができます。
2社間ファクタリングは売掛金の期日に自社に対して売掛先が代金を支払い、自社が代金をファクタリング会社へ送金する形だからです。
ファクタリングを利用していることが売掛先に知られると「資金繰りに困っている危ない企業」などと取引先にネガティブに判断され、今後の取引に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
しかし、売掛先に秘密で資金調達が可能な2社間ファクタリングでは、売掛先との関係性に不安を感じる心配ありません。
売掛金を持っていないと利用できない
ファクタリングは法人でも今日中に資金調達ができる有力な方法ですが、そもそも売掛金を持っていないと資金調達は不可能です。
ファクタリングは借入ではなく売掛金の売却ですので、そもそも売却できるものを持っていなければ利用はできません。
そして、売却できるのはファクタリング会社が「回収可能」と判断した売掛金だけですので、業況が悪い会社の売掛金や長期間未払いになっている不良債券などは売却不可能です。
ファクタリングで確実に即日資金化するには、長期間にわたって業績が安定している売掛先との債権を用意しておくと安心です。
手数料は最も高い
2社間ファクタリングは、紹介した3つの資金調達方法の中で最も手数料が高くなります。
ファクタリングは借入ではなく売却ですので、売掛債権の回収リスクも売却することによるリスクプレミアムとして、利息制限法を超える手数料が適用されるケースが多いためです。
2社間ファクタリングの手数料相場は10%〜20%と高額で、場合によっては20%以上の高い手数料が適用されることもあります。
法人が最も確実に今日中に資金調達できる方法ですが、恒常的に利用すると確実に収益を圧迫してしまうということは理解しておかなければなりません。
個人事業主は利用できない場合もある
ファクタリング会社の中には、個人事業主に対応していないところもあります。
個人事業主が保有する売掛債権の大半は少額債権で、ファクタリング会社が設定する買取下限額を下回るケースが多いことから、はじめから個人事業主の利用を制限しているのです。
最近では個人事業主も利用できるファクタリング会社が増えてきてはいるものの、利用前に必ず個人事業主にも対応しているかを確認する必要があります。
なかなか理想のファクタリング会社に出会えない場合は、ビジネスローンも検討してみましょう。
違法業者には注意が必要
2社間ファクタリングは高額な手数料を要求する違法業者に注意が必要です。
ファクタリングは行政への登録や許認可が不要で手数料の上限を定めた法律もありません。
そのため、どんな業者も参入でき、手数料も自由に設定できてしまうのです。
中には違法な取引を行おうとする業者が混じっている場合もあります。
違法業者は30%程度の手数料を要求してくることもありますので、初めて取引をする時には複数の業者から見積もりをとるようにしてください。
ファクタリングで確実に即日資金化を叶える3つのポイント
ファクタリングは今日中に資金化をするために非常に効果的な手段です。
より確実に即日資金化を叶えるためには、以下のポイントをおさえて申込をしましょう。
- 必要書類を不足なく揃える
- 信用力の高い売掛債権を用意する
- オンライン完結型のファクタリング会社を選ぶ
急ぎの場面でこそしっかりと用意をすることで、即日資金化が実現できる可能性が高まります。
必要書類を不足なく揃える
ファクタリングに申込をする際は、必要書類が不備なく揃っているか念入りに確認しましょう。
書類に必要事項が書かれていなかったり、不明瞭な点が多かったりする場合、再提出を求められて時間ロスにつながります。
さらに、あまりにも不備が多い場合は「問題のある売掛債権」と見なされて審査落ちしてしまう可能性もあるため注意しなければなりません。
なお、多くのファクタリング会社で提出を求められる商業登記簿謄本や印鑑証明書は、法務局の窓口もしくはオンライン申請で取得できます。
ファクタリング会社によって求められる提出書類は異なるので、必ず申込時に提出書類を確認しながら手続きを行いましょう。
信用力の高い売掛債権を用意する
ファクタリングでは売掛先の信用情報を重点的に審査するため、信用力の高い売掛債権を用意することで審査時間も短くなります。
ファクタリング会社としては、設立したての売掛先や業績が振るわない売掛先の債権で申し込まれた場合、確実に売掛金を支払える財務状況かを念入りに確認しなければなりません。
一方で、国や地方団体といった倒産の心配がない売掛先や、長期にわたって業績が安定している大企業のような売掛先であれば、問題なく売掛金を支払ってくれるだろうとの予測のもと、審査に要する時間も短時間で済みます。
即日で資金化したいなら、最小限の審査で済むような信用力の高い売掛債権を用意することがポイントです。
オンライン完結型のファクタリング会社を選ぶ
ファクタリング会社の中でも、申し込みから入金までをオンラインで完結できる会社を選ぶと、より即日で資金化できる可能性が高まります。
ファクタリング会社によっては、書類を郵送で送る必要があったり対面での面談を必須としていたりするところもあります。
自社の近くにファクタリング会社があればまだ即日資金化の可能性はありますが、ファクタリング会社までの距離が遠い場合や地方経営を行っている場合、オンライン完結型でなければ今日中の資金化は不可能でしょう。
今日中に資金化したい場合は、オンライン完結で入金までサポートしてもらえるファクタリング会社を選びましょう。
即日資金調達に関するよくある質問
- カードローンは事業資金には利用できませんか?
- カードローンは何に利用しても自由ですが、唯一事業資金だけには利用することができません。事業資金への利用がバレると一括返済を迫られるリスクがあるので十分注意しましょう。
- 銀行からの借入で今日中に資金調達する方法はありますか?
- 銀行に事前に極度枠を作成しておくことせ今日中に資金調達することができます。極度枠とは「〇〇万円までなら借りることができる」という枠のことで、あらかじめ極度枠の審査に通過しておけば、即日資金調達が可能です。極度枠を作成していない場合には銀行からの即日資金調達は不可能です。
- ビジネスローンのデメリットを教えてください。
- 銀行などの外部のステークホルダーからの評価が下落するという点です。ビジネスローンを借りると決算書に記録されるので、決算書を見たステークホルダーはノンバンクから資金を借りたということが分かってしまいます。ノンバンクからの借入がある企業は評価が下がる傾向があります。
法人は2社間ファクタリング、個人事業主はビジネスローンがおすすめ
事業資金を今日中に調達することができる方法は以下の3つです。
- ビジネスローン
- カードローン
- 2社間ファクタリング
カードローンは事業資金には利用することができないため、現実的には事業資金を今日中に調達する方法はビジネスローンと2社間ファクタリングにのみになります。
このうち、ビジネスローンは法人には非対応のことが多く、2社間ファクタリングは個人事業主の利用ができないところもあります。
法人は2社間ファクタリング、個人事業主はビジネスローンで、今日中に資金調達を行うようにしましょう。