ファクタリングの仕組み
ファクタリングの仕組みを簡単に言えば「まだ入金になっていない売掛金などの売掛債権をファクター(ファクタリング業者)へ売却して、早期に資金化する」というものです。
ただし、ファクタリングには、「早期資金化」という特徴だけでなく「回収リスクの排除」「売掛先の与信で資金調達可能」というメリットもあります。
ファクタリングの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
手数料を払って債権を売却する
ファクタリングはファクターと呼ばれる売掛債権を買い取る業者へ手数料を支払って売掛債権を売却する方法です。
売掛債権という資産をファクタリング会社へ売却するだけですので、会計上は資産を売却しただけの処理となります。
借入金ではないので、銀行融資やビジネスローンのように負債が増えることはありません。
売掛金期日前に資金化可能
ファクタリングを行うことによって、売掛金の期日前でも売掛金を現金に変えることができます。
売掛金は期日になれば支払いを受けることができる権利というだけで、期日になるまでは資金化不可能な活用できない資産です。
受取手形であれば手形割引という方法で銀行から借入をすることもできますし、裏書譲渡によって支払手段として利用することもできますが、売掛金は期日になるまで支払手段としては利用できません。
ファクタリングを利用することによって、売掛金が支払手段として活用することができるのです。
しかも、ファクターの中には申込日当日に現金化に応じてくれる業者も存在するので、「今日、どうしても資金が必要」というような緊急時にもファクタリングは活用できます。
債権売却後には回収リスクがなくなる
もう1つのファクタリングの大きなメリットが「ファクタリングによって売掛債権の回収リスクも売却できる」という点です。
ファクタリングは原則的にノンリコースで行われます。
ノンリコースとは「売掛先の倒産などによって売掛債権がデフォルト(期日通りに代金が支払われない)しても、その責任は納入企業(ファクタリングを行う企業)に及ばない」ということです。
つまり、ファクタリングによって売却した売掛債権がデフォルトしても損失を被るのは自社ではなくファクターになるということです。
この点が借入とファクタリングの最も大きく異なる点と言えるでしょう。
もしも「この取引先は期日通りに支払ってくれるか心配」という売掛金があれば、ファクタリングによって売却することで、自社は回収リスクから解放されることになるのです。
海のものとも山のものとも分からない新規取引先の売掛債権はファクタリングすることで安心できます。
ファクターは期日になったら資金を回収する
ファクタリングによって売却した売掛債権の支払期日になったらファクターは資金を回収します。
回収方法は2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによって異なります。
この点にはついては次章で詳しく解説していきます。
ファクタリングの種類は5つある
ファクタリングには主に次の6つの種類が存在します。
- 買取ファクタリング
- 保証ファクタリング
- 医療ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 注文書ファクタリング
それぞれのファクタリングの特徴について詳しく解説していきます。
買取ファクタリング
買取ファクタリングとは企業が保有している売掛債権をファクタリング会社が買い取って期日前に早期に資金化することです。
売掛金などの売掛債権は支払期日になるまで資金化できませんが、買取ファクタリングを利用することによって期日前に資金化することができます。
なお、買取ファクタリングには契約当事者に売掛先企業が含まれるかどうかで2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分かれます。
保証ファクタリング
保証ファクタリングは、売掛債権がデフォルトした場合にファクタリング会社が売掛債権代金を保証する保険のようなものです。
買取ファクタリングのように、売掛債権を早期に資金化する機能はなく、あくまでも万が一の場合に代金が保証されるだけのものになります。
初めて取引する企業に対する売掛債権や、支払いが遅れがちの取引先に対する売掛債権に保証ファクタリングをつけておくことによって売掛債権のデフォルトを心配することなく取引をすることができます。
医療ファクタリング
医療報酬ファクタリングとは、医療報酬や介護報酬債権を早期に資金化するファクタリングです。
医療報酬や介護報酬は債権が発生してから入金になるまで最長3ヶ月程度の時間がかかります。
そのためファクタリング会社へ債権を売却することで早期に資金化することができます。
医療報酬は債務者が健康保険組合などの公的機関ですので、債権のデフォルトリスクが低くいため手数料が非常に低いのが特徴です。
1%〜2%程度の低い手数料で利用できるので、ファクタリングの中でも最もコストが低いものの1つだと言えます。
国際ファクタリング
国際ファクタリングとは、海外の取引先企業に対して、現地のファクタリング会社が売掛債権の保証を行うことで、海外の企業との取引を円滑に行うファクタリングです。
国際ファクタリングは従来の信用状( L/C)を発行する取引と比較すると、取引時間が圧倒的に速くなるのがメリットです。
国内のファクタリング会社が世界のトップクラスの金融機関が加盟するFCIのネットワークを活用して、FCI加入の海外のファクタリング会社が連携して、取引先の与信調査を行い問題がなければ迅速に保証を行うので、従来よりもスピーディーに海外企業との取引を円滑に行うことができます。
国内と海外のファクタリング会社が相互に連携して手続きを進めるので、手続きが圧倒的に早いという点が大きなメリットだと言えるでしょう。
注文書ファクタリング
注文書ファクタリングは、発注段階の注文書を売掛債権と見做して、ファクタリング会社が買取を行うものです。
大きな受注が入った際には、それなりのまとまった運転資金が必要になります。
そのため、手元に資金がない企業は、大きな受注が入っても断らなければならない可能性もあります。
しかし注文書ファクタリングを利用すれば、大きな注文が入ればそれが大きな売掛債権となり、高額の資金調達をすることができます。
手元にお金がなくても、注文書で資金調達ができるので、手元に資金がない企業でも大きな仕事を受注することが可能です。
2社間ファタリングと3社間ファクタリングの違い
ファクタリングには2つの形があります。
両者の違いを知っておかないと
「売掛先に秘密にする」
「即日資金が欲しい」
「どの程度の手数料を負担できるのか」
など、企業にとって重要な事項を決定することができません。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いをよく理解して、最適な形のファクタリングを実行できるようになりましょう。
2社間ファクタリングの4つの特徴
2社間ファクタリングは「売掛金の期日になったら売掛先は通常通り納入企業(自社)へ支払いを行い、納入企業がファクターへ送金する」というファクタリングです。
2社間ファクタリングには以下の特徴があります。
- 資金が自社を経由するため手数料が高い
- 債権譲渡登記が必要になる
- 売掛先の同意が必要ないので売掛先に秘密でファクタリングできる
- 最短即日資金化が可能
資金が自社を経由するということはファクターにとっては「納入企業が資金を持ち逃げしたり、使い込んでしまう」リスクがあるためその分リスクプレミアムとして設定される手数料は高くなります。
また、2社間ファクタリングは納入企業がすでに売却済の売掛債権を他者へ二重譲渡してしまうのを防ぐため「この債権はすでに自社へ譲渡されたものだ」と主張するための債権譲渡登記という登記をする必要があり、この登記費用に10万円程度かかります。
ファクタリングの手数料には登記費用も含まれているという理由もあり、2社間ファクタリングの手数料は高くなります。
その分、売掛先に秘密でファクタリングすることができ、売掛先の同意を得る必要がないので最短即日で資金化することが可能です。
3社間ファクタリングの4つの特徴
3社間ファクタリングは「売掛金期日になったら売掛先が直接ファクターへ支払い行う」というファクタリングです。
3社間ファクタリングの特徴として以下の点をあげることができます。
- 自社に資金が経由しないので手数料が低い
- 債権譲渡登記は不要
- 売掛先の同意が必須なので売掛先にファクタリングの事実を知られてしまう
- 売掛先の同意を得る手続きに時間がかかるので資金化までに1週間程度の時間がかかる
3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要になるので、債権譲渡登記は不要で納入企業の資金の流用や持ち逃げのリスクもありません。
そのため手数料は低くなります。
しかし、売掛先へファクタリングをすることを知られてしまうので「資金繰りが苦しい」などと思われてしまい、取引に悪影響する可能性はあります。
また、詳しくは後述しますが、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングのようにすぐに資金を用意することは不可能です。
|
2社間ファクタリング |
3社間ファクタリング |
売掛先の同意 |
不要 |
必要 |
債権譲渡登記 |
必要 |
不要 |
手数料 |
10%〜20%程度 |
5%〜10%程度 |
資金化 |
最短即日 |
1週間〜10日程度 |
ファクタリングの手数料相場
ファクタリングの手数料相場は2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによって次のように異なります。
2社間ファクタリング |
10%〜20%程度 |
3社間ファクタリング |
2%〜8%程度 |
2社間ファクタリングは売掛先企業が契約に介在しないので、二重譲渡や代金流用のリスクがあります。
そのため、3社間ファクタリングよりも手数料は高くなっています。
またファクタリングの手数料の上限は法律によって決められているわけではありません。
そのため、上記の相場を大きく上回るような手数料を設定する業者も存在しますが、上記の相場を上回るような手数料を設定する業者は優良業者とは言えません。
2社間ファクタリングでも10%代前半の手数料を設定する業者は多数存在しますので、ファクタリング会社を選ぶ時には手数料が相場の範囲内かどうかを必ず確認してください。
ファクタリングの流れ
ファクタリングの仕組みを確認したところで、2社間、3社間ファクタリングの売掛金発生からファクターか資金を回収するまでの一連の流れを確認しておきましょう。
2社間ファクタリングの流れは以下の通りです。
- 売上が完了し売掛金発生
- ファクターとファクタリング契約
- ファクターから早期売掛金支払いを受ける
- 売掛先企業から納入企業(自社)へ期日通り売掛金が支払われる
- 納入企業がファクターへ売掛金支払い
1~3までの手続きで、早い業者は申込日当日に対応することができるので、2社間ファクタリングであれば、最短即日で資金化が可能です。
3社間ファクタリングの流れは以下の通りです。
- 売上が完了し売掛金発生
- 売掛先企業からファクタリング契約の受諾を得る
- ファクターとファクタリング契約
- 売掛先企業へ請求金額を確認する
- ファクターへ請求金額を通知する
- ファクターと売掛先企業が請求金額を最終的に確認する
- ファクターから早期売掛金支払いを受ける
- 売掛先企業からファクターへ期日通り売掛金が支払われる
3社間ファクタリングでは、まず、自社が売掛先企業へ「債権を売却する」ことに対する受諾を得て、その後、ファクターと売掛先企業が請求金額などの確認を行うため、これらの手続きに合計で1週間程度の時間が必要になってしまいます。
支払期日になると、売掛先企業が直接ファクターへ支払いを行うので自社は何もしなくてよいですが、入金になるまでには手間と時間がかかってしまうという点がデメリットです。
ファクタリングの必要書類
ファクタリングを利用する際には、審査の際や契約の際にさまざまな書類が必要になります。
スムーズに審査に通過するためには、必要書類を理解して、漏れなく用意することが重要です。
ファクタリングの必要書類を審査時に必要なものと契約時に必要なものそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
審査時に必要な書類
審査の際には次のような書類を確認します。
- 代表者の本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの顔写真つき身分証)
- 会社の入出金明細書(直近3ヶ月の通帳コピーなど)
- 請求書、見積書
- 基本契約書(取引先との契約内容がわかる書類)
- 決算書
- 確定申告書
審査ではこれらの書類から「代表者が本当に実在する人物か」「売掛債権は実在するか」「これまでの入金実績に問題はないか」「申込企業の業況に大きな問題はないか」などということを確認しています。
ただし、ファクタリング会社によっては決算書や確定申告書の提出までは求めず、本人確認と売掛債権の確認だけを行うというケースもあります。
契約時に必要な書類
ファクタリングの契約時には次のような書類が必要です。
契約時に実印を押印する場合には印鑑証明書が必要ですし、法人の場合には商業登記簿謄本を提出して「確かに実在する法人だ」ということを証明する必要もあります。
審査が厳しい、銀行系のファクタリング会社では、納税証明書の提出を求め、税金の滞納がないかどうかという点も厳しく確認しています。
ただし、オンライン契約が可能なファクタリング会社では、これらの書類の提出が一切不要な場合があります。
これらの書類は役所に行かなければ取得できないので、書類の用意が面倒という方は、公的書類の提出が不要なファクタリング会社を選択すべきでしょう。
ファクタリングの審査の仕組み
ファクタリングは中小企業へ審査という面でもメリットをもたらします。
通常、銀行融資では自社に信用があるか有力な担保があるなどの金融機関にとってプラスの事情がない限りは資金調達を行うことができません。
そのため、業況が不安定で有力な担保を持っていない中小企業は借入での資金調達が難しいという問題点がありました。
しかし、ファクタリングは中小企業の資金調達の借入での難しさを解決することができるのです。
ファクタリングの審査の仕組みについて詳しく見ていきましょう。
ファクターが売掛先企業を審査
ファクターはファクタリングの申し込みがあると、売掛先企業を審査します。
審査で重要になるのは「代金を回収できるかどうか」です。
ファクタリングにおいては「売掛金を売掛先が期日通りに支払うことができるかどうか」です。
そのため、ファクタリングでは売掛先の与信が最重要になります。
申し込みがあると、ファクターは帝国データバンクのデータなどから売掛先企業の情報を取得し、売掛先企業が支払いに問題ないかどうかをチェックして問題がなければ高い確率で審査に通過することができます。
自社ではなく、売掛先の信用で資金調達することができるのがファクタリングのメリットです。
業況が大きく悪化した時などは銀行融資の審査に通過することは難しくなります。
それは銀行融資の審査では自社の業況をチェックするからです。
しかし、ファクタリングは自社に信用がない状況下でも、売掛先の信用で資金調達ができるので「銀行融資が出ない時の資金調達手段」として活用することもできるのです。
審査における自社の与信のウェイトは低い
2社間ファクタリングでは自社も審査の対象にはなります。
しかし、融資の審査ほど自社の与信は高いウェイトではありません。
基本的には「過去にファクターとトラブルを起こしていない」「ファクタリングをしても資金ショートの可能性が高い」といういずれかの条件を満たしていなければ審査に通過することは可能です。
また、自社に資金が経由しない3社間ファクタリングであれば自社はほとんど審査されることはありません。
繰り返しになりますが、ファクタリングであれば自社ではなく売掛先の与信で資金調達が可能です。
「どこからもお金を借りることができず、倒産するしかない」などと言う場合にはファクタリングに申し込んでみることで資金繰りに目処が立つ可能性があります。
ファクタリングのメリット
ファクタリングには融資とは異なるさまざまなメリットがあり、資金調達の時間が早く、他社の信用で審査を受けられるなどの次のメリットがあります。
- 借入ではない資金調達ができる
- 売掛債権のデフォルトリスクは排除できる
- 融資審査に落ちても利用できる
- 最短即日で資金調達できる
ファクタリングは外部からの資金調達方法ではあるものの、融資とは異なる多くのメリットがあります。
ファクタリングの4つのメリットについて詳しく解説していきます。
借入ではない資金調達ができる
ファクタリングは借入ではありません。
あくまでも売掛債権という資産を売却して、現金預金という資産へ交換しているだけですので、資金調達しても負債が増えることはありません。
一般的に負債が増えることは自己資本比率を下げることになるので、外部からの評価が下落します。
しかし、ファクタリングは借入ではないので、資金調達をしても負債が増えず、貸借対照表への悪影響を回避できます。
売掛債権のデフォルトリスクを排除できる
売掛債権には「期日前に取引先が倒産して回収できないかもしれない」というデフォルトリスクがあります。
ファクタリングはこのデフォルトリスクも一緒にファクタリング会社へ売却する行為ですので、万が一期日前に売掛先が倒産しても、その損失はファクタリング会社が負ってくれます。
ファクタリングを利用することで、売掛先の倒産リスクに晒される心配はありません。
なお「償還請求権あり」となっているファクタリングは、売掛債権がデフォルトした場合の損失を自社で負う必要がありますが、このようなファクタリングを取り扱う業者は違法業者の可能性が非常に高いと言えます。
「償還請求権あり」のファクタリングは実質的な融資を貸金業者登録のない業者が行い違法行為の可能性が非常に高いので、そのような業者との取引は避けるようにしてください。
融資審査に落ちても利用できる
ファクタリングは融資審査に落ちても利用できる可能性があります。
ファクタリングの審査対象は売掛先企業だからです。
そのため、売掛先企業の業況に問題さえなければ、自社の業況が悪く融資審査に通過できない企業でも審査に通過できる可能性があります。
赤字や債務超過などで、どこからもお金を借りられない企業でも、ファクタリングであれば審査に通過して資金調達できる可能性があります。
最短即日で資金調達できる
2社間ファクタリングは最短即日で利用できます。
銀行融資では2週間程度の時間がかかるため、「急いでお金が必要」という場合には、銀行融資では間に合わなくてもファクタリングであれば間に合う可能性が高いでしょう。
急いでお金が必要な時にはファクタリングの利用を検討しましょう。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングは高額の資金調達が不向きで、資金調達コストが大きいなど、次のようなデメリットがあります。
- 売掛債権の範囲内しか資金調達できない
- 手数料が高い
ファクタリングを利用する前に、2つのデメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。
売掛債権の範囲内しか資金調達できない
ファクタリングで資金調達できるのは売掛債権の範囲内です。
売掛債権を売却する行為であるため、当然といえば当然です。
銀行融資であれば、設備投資のためなどで自社の売上の何倍もの高額な資金を借りることができますが、ファクタリングでは不可能です。
ファクタリングでは調達できる金額が限られてしまう点には注意しましょう。
手数料が高い
ファクタリングは手数料が高いのが最も大きなデメリットだと言えるでしょう。
2社間ファクタリングであれば手数料が15%を超えることも珍しくありません。
例えば1ヶ月先の売掛債権をファクタリングで資金化する場合には、たった1ヶ月間の資金調達のために15%もの手数料を支払わなければなりません。
これは年利に換算すると180%もの超高額な利率になります。
銀行や日本政策金融公庫で融資を受けた場合には、年利1%〜4%程度ですので、融資と比較したら非常に高いコストだと言えます。
ファクタリングは負債ではないので、確かに貸借対照表に悪影響は及ぼしませんが、手数料が高いのでコスト高になり、損益計算書には悪影響になるものと理解しておきましょう。
ファクタリングと銀行融資の違い
ファクタリングと銀行融資には次のような違いがあります。
- 資金調達のコスト
- 資金調達までの時間
- 審査の対象
- 貸借対照表上の扱い
低コストで資金調達できるだけでなく、お金が入金になるまでの時間、さらに自社の信用が審査で重視されるかどうかにも大きな違いがあります。
ファクタリングと銀行融資の4つの違いについて詳しく解説していきます。
資金調達のコスト
資金調達にコストは銀行融資の方が圧倒的に低くなります。
銀行融資は借入額に対して年利で1%台〜3%台というのが相場です。
例えば、1,000万円を金利1%で1ヶ月だけ借りた場合は、1,000万円×2%÷12ヶ月×1ヶ月=16,666円の利息負担です。
一方、ファクタリングは、売却額に対して10%〜20%(2社間の場合)の手数料が発生します。
1,000万円を手数料10%でファクタリングした場合の手数料は、1,000万円×10%=100万円ですので、資金調達コストには非常に大きな違いがあります。
資金調達までの時間
資金調達までの時間は、銀行融資が2週間〜3週間程度、ファクタリングは2社間の場合で最短即日です。
銀行融資は契約は対面で行うのが基本ですし、審査にも時間がかかります。
一方、ファクタリングの場合は、非対面契約が可能で、早い場合は最短30分で資金調達できるものもあります。
資金調達までの時間がかからないという点はファクタリングのメリットですので、急いでいる場合に活用しましょう。
審査の対象
審査の対象は次のように異なります。
銀行融資では申込企業が審査の対象になるので、申込企業が赤字や債務超過などによって経営不振の場合には審査に通過できません。
一方、ファクタリングは売掛先企業に支払能力があると判断されれば審査に通過できます。
自社が赤字や債務超過で審査に融資審査に通過できない場合もファクタリングであれば審査に通過して資金調達できる可能性があります。
どんなに自社の業況が悪くても優良企業の売掛債権さえ保有していれば資金調達できる可能性が高いのがファクタリングの大きなメリットです。
貸借対照表上の扱い
貸借対照表のどの部分に計上されるのかも融資とファクタリングでは異なります。
融資は「借入金」として貸借対照表の負債の欄に計上されます。
一方、ファクタリングは売掛金という資産が現金預金という資産に変わるだけですので、貸借対照表に大きな動きはありません。
融資を利用すると負債が増えるので、自己資本比率が低下して貸借対照表の評価は低くなります。
一方、ファクタリングでは負債は増えないので、貸借対照表の評価が低くなることはないという点はメリットです。
ファクタリング会社の3つのタイプ
買取ファクタリングを行うファクタリング会社には次の3つの形態があります。
それぞれのファクタリング会社の特徴やメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
独立系のファクタリング会社
独立系のファクタリング会社とは、ファクタリング業務をメインに行う民間企業です。
独立系のファクタリング会社には次のような特徴があります。
独自の審査基準を設けているため、審査が柔軟で、入金までのスピードが早いという特徴があります。
「最短即日」などと謳っているファクタリング会社の多くが独立系です。
「急いで資金が必要」という方は独立系のファクタリング会社がおすすめです。
銀行系のファクタリング会社
銀行傘下のファクタリング会社です。
メガバンク傘下などのファクタリング会社ですので安心感があり、手数料が非常に低いという点が特徴です。
ただし、取り扱っているのは3社間ファクタリングで2社間ファクタリングの取り扱いはありません。
また、資金化までに時間がかかり、数千万円規模の売掛債権の買取を基本としているので、急いで資金を必要としている中小の消費者金融には不向きです。
銀行系のファクタリング会社は高額な売掛債権をファクタリングしたい大手企業が利用するのに向いています。
ノンバンク系のファクタリング会社
預金業務を行わない貸金業者の系列のファクタリング会社です。
貸金業者として国に登録し、金融庁などの行政機関からの監督を受けて業務運営を行っているので安心感があるのが特徴です。
また、手数料は独立系よりも低めになっている場合があります。
買取ファクタリングだけでなく、診療報酬ファクタリングなど、幅広いファクタリングを取り扱っているのも大きな特徴だと言えます。
ファクタリングにおすすめの業者3選
「ファクタリングの仕組みを理解したから、利用してみたい」という、初めてファクタリングを利用する方におすすめの業者は次の3社です。
- QuQuMo(ククモ)
- ビートレーディング
- ベストファクター
これら3つの業者は審査が早く、対応も丁寧で、業者としても信頼度や評判が高いので安心して利用できます。
ファクタリングのおすすめ業者を3社ご紹介しておきます。
QuQuMo(ククモ)
運営会社名 |
株式会社アクティブサポート |
契約方法 |
2社間ファクタリング |
法人利用 |
可能 |
個人利用 |
可能 |
入金スピード |
最短2時間 |
調達額 |
一律の制限なし |
手数料 |
1%~ |
QuQuMo(ククモ)は最短2時間でWEB完結で資金化できるファクタリングです。
契約手続きはオンライン契約サービスのクラウドサインを利用するので完全非対面で即日資金化できます。
GMOあおぞらネット銀行と提携し、QuQuMo保全サービスというサービスを提供しています。
このサービスは譲渡人と譲受人(QuQuMo)の2社に加えて、【ファクタリング専用口座】を作成し、その口座で売掛債権を管理する方法です。
これによって債権譲渡登記なしに売掛債権を管理できるので、手数料を大幅に引き下げることが可能です。
「2社間ファクタリングで低い手数料のファクタリングを利用したい」という方はQuQuMoがおすすめです。
ビートレーディング
運営会社名 |
株式会社ビートレーディング |
契約方法 |
2社間ファクタリング
3社間ファクタリング |
法人利用 |
可能 |
個人利用 |
可能 |
入金スピード |
最短5時間 |
調達額 |
一律の制限なし
※これまでの実績は3万円~7億円 |
手数料 |
2社間ファクタリング:4%~12%
3社間ファクタリング:2%~9% |
ビートレーディングは2012年営業開始の国内ファクタリング会社の中でも老舗に分類され、累計取扱実績は国内最大規模の最も歴史と経験とノウハウを持ったファクタリング会社です。
契約は対面が基本ですが、オンラインでの契約にも対応しているので非対面で即日資金化が可能です。
また、取り扱っているファクタリングも通常のファクタリングだけでなく、診療報酬や注文書ファクタリングなど種類が非常に豊富になっています。
担当者は企業財務に非常に詳しいので、ファクタリングだけでなく、企業の資金繰り相談全般に力を貸してくれるでしょう。
ベストファクター
運営会社名 |
株式会社アレシア |
契約方法 |
2社間ファクタリング
3社間ファクタリング |
法人利用 |
可能 |
個人利用 |
可能 |
入金スピード |
最短即日 |
調達額 |
30万円~ |
手数料 |
2.0%~ |
ベストファククターもビートレーディングと並ぶ店舗型ファクタリング会社としての信頼と実績のあるファクターです。
契約には対面が必須となっていますが、希望すれば会社まで出張してくれます。
ネット上での口コミも非常によいので「安心できる業者と取引したい」という方にはベストファクタ−がおすすめです。
取り扱うファクタリングの種類も豊富なので、さまざまな売掛債権の買取りを相談してみましょう。
ファクタリングに関するよくある質問
- 3社間ファクタリングで売掛先の同意が得られない場合はどうすればよいでしょう?
- 同意がないままでは3社間ファクタリングは不可能です。ファクターによっては納入企業と一緒に同意取得を手伝ってくれることもあります。どうしても同意を得られない場合には2社間ファクタリングを利用するしかありません。
- 2社間ファクタリングで支払期日に遅れた場合はどうすればよいですか?
- すぐにファクターへ連絡してください。1日程度であれば待ってくれる可能性があります。しかし、連絡もしないまま期日に遅れると、ファクターから売掛先に督促が行われることもあります。売掛先からの信頼はガタ落ちになるので、期日に遅れてしまう場合には必ず連絡を入れてすぐに送金するようにしてください。
- 3社間ファクタリングをスピーディーに行う方法を教えてください。
- 売掛先の同意を早く取得することです。売掛先に事前に話をしておき、スムーズに同意を取得することによって数日程度で資金化できることもあります。ファクタリングに対して理解がある取引先の売掛債権を持っている場合には、早期に同意取得ができる可能性があります。
まとめ
ファクタリングの仕組みをまとめると以下のようになります。
- 売掛債権をファクターに売却して支払期日前に資金化できる
- 2社間と3社間の違いは「自社が払うか売掛先が払うか」の違い
- 2社間は手数料が高いが資金化が早く売掛先に秘密にできる
- 3社間は手数料は低いが資金化に時間がかかり売掛先の同意が必要
- 売掛先の信用があれば自社に信用がなくても資金調達可能
ファクタリングは手数料が借入よりは高くなることが一般的ですので、あまりにも多用すると収益を圧迫します。
しかし、緊急で資金が必要な時や銀行からお金を借りることができない場合には企業にとって確実にプラスになる場面もあります。
「資金調達の1つの手段」として頭には入れておいた方がよいでしょう。