ファクタリングという言葉を耳にする機会が多くなったという経営者の方も多いのではないでしょうか?

ファクタリングを銀行融資とは別の外部からの資金調達手段です。

ファクタリングを理解しておくことは企業の資金調達チャネルを1つ増やすことに繋がります。

この記事ではファクタリングという言葉を初めて聞く人でもファクタリングが理解できるように解説していきます。

ファクタリングを理解して、いざという時の資金調達に困らないようになりましょう。

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「ファクタリング」という言葉の意味

「ファクタリング」という言葉の意味

そもそもファクタリングという言葉はどんな意味があり、どんなルーツがあるのでしょうか?

「英語だから」と頭から苦手意識を持っている人も多いかもしれませんが、ファクタリングの意味は簡単なものですので、理解してしまいましょう。

英語のfactorから派生した言葉

ファクタリングは元々英語のfactorから派生した言葉です。

factorの意味としては以下のようなものがあります。

要因、要素、原因、代理商、問屋、仲買人、因数、因子

これを現在分詞にしたものをfactoring(ファクタリング)と言います。

factorの意味はあまり詳しく覚えておく必要はありませんが、ファクタリングはfactorから派生した言葉という程度は豆知識として理解しておいて損はないでしょう。

ファクタリングの意味とは?

ファクタリングとは売掛債権の買取です。

詳しくは後述しますが、ファクタリングは期日前の売掛金を売却して現金化することです。

売掛債権の売却とfactorの意味には何も関連性がないようにも思えます。

しかしfactorには代理商や仲買人という意味があります。

そもそもファクタリングの歴史は古く、16世紀にイギリスで誕生したのが起源と言われています。

当時はヨーロッパからアメリカ大陸への移住者に対する毛織物の輸出が盛んで、ファクタリングを行うファクター(ファクタリングを行う会社)は毛織物の製造業者の信用調査を行い前払いで代金を支払い、毛織物を保管販売するという役割を担っていました。

つまり、ファクターは最初は仲買人だったのです。

近代になって毛織物の輸出は下火になったため、ファクターから製品の保管と販売を行う代理店機能は失われ、信用調査と資金提供としての機能だけ残り、現在の形となっています。

ファクタリングはそもそもの成り立ちが仲買人だったため今も代理店を意味するファクタリングという呼ばれかたをしているのです。

ファクタリングが企業にとって必要な意味

資金ショート時にファクタリングが有効な3つの理由

ファクタリングはこれまで企業が抱えてきた売掛金や取引先の与信管理の悩みを解決することができる可能性を持っています。

ファクタリングが企業にとって必要になる意味はまさにこの点にあります。

ファクタリングは企業経営に必要であると言える意味について詳しく見ていきましょう。

売掛債権は期日まで資金化できない

売掛金は期日になるまで資金化することはできません。

例えば1/10に取引先に100万円分の商品を販売したとします。

日本の商慣習では支払いは後払いですので、相手の販売先が「月末締め翌月末払い」というような場合には締め日と入金日は以下のようになります。

  • 販売日:1/10
  • 締め日:1/31
  • 支払日:2/28

このように、掛けで販売することによって、売上があってから入金になるまでには1ヶ月半以上のタイムラグが空いてしまうことになります。

このタイムラグのことを資金ギャップと言います。

売上があってから入金になるまでの間にも、企業には給料や仕入れや家賃など様々な支払いがあります。

つまり、手元にある程度の運転資金を持っていないと、売上があり、黒字状態であるにも関わらず、企業は資金ショートして倒産してしまう可能性があります。

また、売掛金は、手形のように支払手段として活用することもできません。

取引先から受取手形で支払いを受けたのであれば、手形割引によって銀行からお金を借りることもできますし、手形を裏書譲渡して他社に対する支払手段として利用することもできます。

しかし、売掛金は期日になるまでには支払手段として全く活用することができない資産なのです

ファクタリングによって資金ギャップを埋めることができる

 

ファクタリングとは支払期日が到来する前の売掛債権を売却して資金化することです。

1/10に発生した売掛金を1/20に売却すれば、本来であれば2月末まで資金化することができなかった売掛金を1ヶ月以上前に資金化できます。

ファクタリングによって資金化すれば、1月末の支払いをすることも可能になります。

このように、ファクタリングを利用することで資金ギャップを埋めて、資金ショートや黒字倒産を防ぐことができる効果があるのです。

取引先の与信管理を審査のプロに任せられる

与信管理をアウトソーシング

ファクタリングが企業に必要なもう1つの意味は取引先の与信管理を任せることができるという点です。

「売掛金が残っている取引先が急に倒産した」という場合には、売掛金を回収することは非常に困難ですし、実際にバブル期にはこのような事例によって多くの企業が連鎖倒産しています。

そのため、企業にとっては取引先の与信管理を継続的に行うということは非常に重要です。

しかし、ほとんどの企業では本格的な審査を行うことはできません。

地域や近所の評判などをあてにして管理をしている企業が大半でしょう。

ファクタリングを利用すれば、審査のプロが取引先企業の審査を行なってくれるので、自社で取引先の与信管理を行うよりも間違いなく精度の高い審査を行うことができます

また、初めて取引をする企業に対しては多くの企業が慎重に審査を行なっていますが、やはり専門的な審査ができているわけではありません。

契約時に経営者個人を連帯保証人にするのが精一杯という企業が多いのではないでしょうか?

海のものか山のものかも分からない、新規取引先に対してもファクタリングを利用すれば、「新しい取引先が信頼に値する企業なのかどうか」ということを専門的な審査の観点から知ることができます

時間と手間をかけても専門的な審査を行うことができなかった与信管理の正確性向上が図れるので企業経営にとってファクタリングは大きな意味があります。

ファクタリングの流れ

ファクタリング説明図

実際に取引先に商品を販売してから、ファクタリングによって資金化されるまでの流れについて確認していきましょう。

基本的に取引の流れはシンプルなものですし、資金化が早いファクターに申し込みをすれば最短即日で売掛債権が資金化できる可能性もあります。

商品販売からファクタリングによる現金化までの流れを詳しく解説していきます。

①納入企業が商品を顧客に納品する

まずは納入企業である自社が取引先企業にに商品を納品します。

この際に、支払方法や支払期限などについて確認をしておくようにしましょう。

②請求書を発行して売掛金が発生する

取引先企業が納品を確認したら、請求書を発行しましす。

日本の商慣習においては請求書をこちら側から発行しないと基本的に支払いを受けることはできませんので、必ず請求書を発行するようにしましょう。

そして、請求書を発行したら売掛金が発生します。

ここでは、仮に100万円の売掛金が発生したとしておきましょう。

③自社がファクタリングの利用を検討する

売掛金の期日までに自社の資金が不足する場合、売掛金の支払期限が長い場合などはファクタリングの利用を検討します。

ファクタリング会社では見積もりを取ることができます。

ファクタリング会社は売掛先企業と自社の業況などから審査を行い、審査によって「ファクタリングを引き受けるかどうか」「手数料がどのくらいなのか」ということが決定します。

見積もりで算定された手数料によってファクタリングを実施するか否かを検討しましょう。

④ファクタリングによって早期資金化

見積もりに納得できたらファクタリングを実施します。

ファクタリングでは手数料を差し引いた金額が入金になります

例えば100万円の売掛債権を手数料5%で売却した場合には、手数料5万円を差し引いた95万円が自社の口座へ入金になります。

資金化までに時間がかからないファクターであれば、申込日当日には振り込みを行なってくれる会社も存在します。

ファクタリングが企業経営にもたらす意味

様々なファクタリングサービス

ファクタリングは企業経営に対してメリットとデメリットの両方をもたらします。

ファクタリングが企業経営にもたらす良い意味と悪い意味、それぞれを理解して、ファクタリングは上手に活用することが必要です。

ファクタリングは企業経営にとってどんな意味があるのか詳しく見ていきましょう。

売掛金を期日前に資金化できる

ファクタリングが企業経営に大きく貢献することができる点としては、やはり売掛金を期日前に資金化することができるところでしょう。

資金ギャップを埋めることができるのはもちろん、最短即日で資金化することができるので急に資金が必要になった時も重宝します。

「予定していた取引先からの入金が急に遅れることになった」

「予定していた銀行融資が間に合わない」

このように急に資金が必要になってもファクタリングであれば必要な資金調達をすることができる可能性があるのです。

銀行融資とは異なる資金調達手段としてファクタリングを頭に入れておくことには絶対に無駄ではありません。

売掛先の与信で資金調達ができる

ファクタリングは売掛債権の売却ですので、売掛金期日になってファクターにお金を支払うのは売掛先です。

そのため、ファクタリングでは自社の与信よりも売掛先企業の与信が重視されます。

優良企業の売掛金を持っていれば、自社の経営が悪く銀行融資を受けることができない状態でもファクタリングで資金化することができる可能性があります

企業経営が大きく傾いた時の緊急時の資金調達手段としてファクタリングは重宝します。

売掛金の回収リスクを回避することができる

ファクタリングは原則としてノンリコースで行われます。

ファクタリングにおけるノンリコースとは、売掛債権がデフォルトした際の損失はファクターが背負うというものです。

つまりファクタリングした後には、売掛先が仮に倒産しようとも自社に責任は及ばないということです。

銀行で手形割引などの融資を受けた場合には、売掛先が倒産した場合に、回収不能に陥った部分に関しては自社に責任が及びます。

また、手元に持っている売掛債権に関しても売掛先がデフォルトした場合には、その売掛債権は不良債権となってしまい、予定していた入金がなくなり資金ショートしてしまうかもしれません。

企業経営において避けて通ることができない売掛先のデフォルトリスクをファクタリングであれば回避することができるのです。

高額な手数料負担が経営を圧迫する

ファクタリングには決して安くはない手数料が発生します。

ファクタリングには売掛先の同意が不要な2社間ファクタリングと、売掛先の同意が必要な3社間ファクタリングがありますが、それぞれの手数料相場は以下のようになっています。

  • 2社間ファクタリング:10%〜20%
  • 3社間ファクタリング:5%〜10%

銀行の事業資金融資は金利が低く、2%前後で借りることができる場合もあります。

銀行融資と比較すると、この手数料負担は非常に大きなものとなっており、手数料の負担は企業の収益を確実に圧迫します

ファクタリングというと、資金繰りの円滑化などの良い意味ばかりクローズアップされていますが、企業経営に対してマイナスになる面もあるということをしっかりと理解しておいた方がよいでしょう。

ファクタリングの手数料の相場

ファクタリング会社は登録や許認可が必要な業種ではないので、どんな業者でもファクタリング業を営むことができます。

業者の中には売掛債権のリスクに見合わないような高額な手数料を設定する会社もあるので、ファクタリングの手数料相場を知った上で「この業者は優良業者かどうか」ということを自分で判断する必要があります。

2社間ファクタリングの手数料は10%〜20%程度、3社間ファクタリングは1%〜8%程度が相場です。

2社間ファクタリングは10%〜20%が相場

2社間ファクタリングの手数料相場は10%〜20%程度です。

20%を超える手数料を設定する業者は優良業者とは言えないので取引しない方が無難です。

2社間ファクタリングは申込企業とファクタリング会社の2社だけで契約し、売掛先企業にファクタリングの事実を知られることがない契約です。

そのため売掛債権期日には売掛先企業は申込企業へ通常通りに代金を支払い、その代金を申込企業がファクタリング会社へ送金して支払いを完了させます。

売掛先企業が契約に介在しないので、2社間ファクタリングには次のようなリスクがあります。

  • 架空の売掛債権を売却する
  • 1つの売掛債権を複数のファクタリング会社へ二重で譲渡する
  • 売掛先企業から支払われた代金をファクタリング会社へ支払わずに流用してしまう

2社間ファクタリングはファクタリング会社のリスクが大きいので手数料が高くなっています。

3社間ファクタリングは1%〜8%が相場

3社間ファクタリングの手数料相場は1%〜8%です。

3社間ファクタリングは申込企業、ファクタリング会社、売掛先企業の3社で契約を締結し、売掛債権の期日になったら売掛先企業がファクタリング会社げ直接代金を支払います。

そのため、二重譲渡の代金流用のリスクがなく、ファクタリング会社のリスクが低いため、2社間ファクタリングと比較して手数料は低くなっています。

ただし、3社間ファクタリングは売掛先企業にファクタリングを利用する事実を知られてしまうので、場合によっては取引先からの信頼を失ってしまうリスクがあります。

ファクタリングのメリットとデメリット

ファクタリングにはさまざまなメリットとデメリットがあります。

意味とともにメリット・デメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。

ファクタリングのメリット

ファクタリングには主に次の7つのメリットがあります。

  • 借入をせずに資金調達できる
  • 担保や保証人がなくても資金調達できる
  • 資金調達までの時間がスピーディー
  • 売掛先企業が倒産しても損失が出ない
  • 業績が悪く税金滞納があっても資金調達できる
  • さまざまな業種や業態で利用できる
  • 個人事業主でも利用できる

どんな企業でもスピーディーに利用でき、融資を受けられない場合も資金調達できる可能性がある方法です。

ファクタリングの7つのメリットについて詳しく解説していきます。

借入をせずに資金調達できる

ファクタリングは借入ではありません。

売掛債権という資産を売却しているだけですので、資金調達をしても負債が増えることはありません。

今はできる限り不要な資産も負債も持たない「貸借対照表のオフバランス化」が評価される時代です。

ファクタリングは融資のように負債が増えるわけではないので、オフバランス化に寄与します。

また、借入金のように決算書にどこからいくら借りているのか明記されることもないので、外部に資金調達したことを秘密にすることができます。

担保や保証人がなくても資金調達できる

ファクタリングには担保や保証人は一切不要です。

融資では有力な担保や保証人がないとお金を借りられないことがあるので、資産のない企業は資産のある企業と比較して資金調達が難しいというデメリットがあります。

ファクタリングは売掛債権さえ持っていれば資金調達できるので、担保となる不動産や有力な保証人を用意できない人でも安心して利用できます。

資金調達までの時間がスピーディー

ファクタリングは資金調達までの時間が融資と比較してスピーディーです。

2社間ファクタリングであれば、最短即日で入金される会社が多数ありますし、中には最短10分で入金という会社もあります。

銀行融資の場合には2週間程度、日本政策金融公庫では3週間前後の時間がかかりますが、ファクタリングであれば融資と比較して圧倒的に早く資金調達できます。

急いで資金が必要な場合もファクタリングは重宝します。

売掛先企業が倒産しても損失が出ない

ファクタリングは売掛先企業が倒産しても損失が出ません。

ファクタリングでファクタリング会社へ売掛債権を売却した時点で、売掛債権が期日通りに支払われないリスク(デフォルトリスク)も一緒に売却しているためです。

売掛金には支払不能になり貸し倒れ損失が出るリスクがつきものですが、ファクタリングを利用すればこのリスクをファクタリング会社が負ってくれるので安心です。

業績が悪く税金滞納があっても資金調達できる

ファクタリングの審査基準は「売掛債権が期日通りに支払われるかどうか」というものです。

そのため、業績が悪く税金が滞納があるような企業でも、有力な売掛債権さえ保有していれば審査に通過して資金調達できる可能性が高いと言えます。

赤字や債務超過や税金滞納がある企業が銀行や日本政策金融公庫などで融資を受けることは非常に難しいですが、ファクタリングであれば融資審査に落ちた企業でも資金調達できる可能性があります。

どうしてもお金を借りられない時の資金調達手段としてファクタリングを活用しましょう。

さまざまな業種や業態で利用できる

ファクタリングはほとんどの業種や業態で利用できます。

例えば信用保証協会の保証付融資では、保証対象外の業種は融資を受けることはできません。

具体的には農業などは信用保証協会の保証付融資を借りることは不可能です。

一方、ファクタリングであれば事業を営んでおり、売掛債権さえ保有していれば業種や業態に関わらず利用できます。

融資と比較して幅広い事業者の方が利用できるという点もファクタリングのメリットです。

個人事業主でも利用できる

ファクタリングは個人事業主でも利用できます。

融資の中には法人のみと、利用者が限りられているものも多く、個人事業主は法人と比較して資金調達手段が狭いのはデメリットです。

しかしファクタリングであれば、個人事業主も売掛債権さえ持っていれば利用できるケースがほとんどですので、必要な資金を調達することができます。

ただし、売却する売掛債権は個人に対するものは不可能で、ファクタリング会社の中には個人事業主に対する取り扱いは行っていないケースも多いので注意しましょう。

ファクタリングのデメリット

融資を受けられない時にも資金調達できる手段として重宝するファクタリングですが、次のようなデメリットについても把握した上で利用する必要があります。

  • 融資よりも手数料が高い
  • 根本的には資金繰りは改善しない
  • 安全な業者を選ぶのは自己責任

ファクタリングの3つのデメリットについて詳しく解説していきます。

融資よりも手数料が高い

ファクタリングは融資と比較してかなり資金調達コストが高くなります。

2社間ファクタリングの手数料相場は10%〜20%程度ですので、100万円の売掛債権を売却した場合の手数料は10万円〜20万円にもなります。

一方、銀行融資の金利は1%〜3%程度ですので、100万円借りた場合の利息負担は1万円〜3万円程度です。

融資と比較して手数料負担は非常に高いので、頻繁に利用しすぎると費用負担が増大して収益を大きく圧迫するリスクある点に注意しましょう。

根本的には資金繰りは改善しない

ファクタリングを利用しても根本的に資金繰りが改善するわけではありません。

ファクタリングは数ヶ月先に入金になる予定の売掛債権の代金を前倒しで受け取っているだけですので、当初の売掛債権期日に入ってくる予定のお金が入ってこないということでもあります。

するとまた資金繰りが苦しくなり、他の売掛債権をファクタリングするという悪循環に陥ってしまう可能性があります。

一時的に資金の不足を凌ぐことはできますが、根本的に資金繰りが改善するわけではありません。

場合によってはファクタリングから抜け出せなくなる可能性もあるので、ファクタリングを利用するのは「長期借入金が入金になるまで」とか「大口の売上が入るまで」などの、一時的なつなぎ資金として利用するようにしてください。

安全な業者を選ぶのは自己責任

ファクタリング業を営むためには行政の許認可や届出などは一切不要で、どんな会社でもファクタリングを営むことができます。

そのため、ファクタリング会社の中には相場とはかけ離れた高い手数料を設定する業者も存在します。

安全な業者は自分で探すしかありませんし、悪い業者に引っかかってしまった場合も自己責任になってしまいます。

融資のように行政の許認可や監督があるわけではないという点はファクタリングを利用する際の注意点です。

様々なファクタリングサービス

様々なファクタリングサービス

ファクタリングは「売掛債権の買取」だと解説しましたが、ファクタリングには他にも様々な形があります。

それぞれのファクタリングの形を理解してファクタリングを活用することで、自社の資金繰りや与信管理をさらに効率化することができるでしょう。

主なファクタリングの形としては以下のようなものがあります。

それぞれのファクタリングの意味や仕組みについて簡単に解説していきます。

買取ファクタリング

買取ファクタリングとは、ここまで解説してきた「売掛債権の売却」です。

買取ファクタリングには2社間ファクタリング3社間ファクタリングがあります。

  • 2社間ファクタリング:売掛先の同意なしで契約可能。売掛金期日になると売掛先が自社の口座に代金を振り込み、自社がファクターに支払いを行う。売掛先に秘密にできるが手数料は高い。即日資金化も可能
  • 3社間ファクタリング:売掛先の同意を得て契約、売掛金期日になると売掛先がファクターへ支払いを行う。売掛先に秘密にすることはできないが、手数料は安い。資金化までに1週間程度の時間がかかる。

取引先に秘密にしたいのであれば2社間、手数料を抑えたいのであれば3社間、できる限り早く資金化したいのであれば2社間など、ニーズに応じて選択しましょう。

医療報酬債権ファクタリング

診療報酬、介護報酬専用のファクタリングです。

診療報酬や介護報酬の支払いは3ヶ月後になるこる支払いスパンが長い債権です。

病院や介護施設などが診療報酬や介護報酬の債権をファクタリングする際に利用するのが医療報酬債権ファクタリングです。

売掛先が国などの公的機関ですので、ファクター側とすればリスクが低いことから手数料は2%程度と非常に安価になっています。

保証ファクタリング

保証ファクタリングはファクターに保証料を支払い売掛債権の保証を行うものです。

保証ファクタリングによって保証を受けた売掛債権がデフォルトした場合に、ファクターから保証を受けることができます。

工期が長い建設業では、工事が完了して代金が入金になるまでの間に倒産してしまう業者も存在するため、保証ファクタリングが利用されることがあります

国際ファクタリング

国際ファクタリングとは、ファクターが海外のファクターと連携して、海外の企業の与信管理と代金回収を行うファクタリングです。

取引先が海外企業の場合には、海外企業の与信管理や代金回収を行うのは国内企業と比較して非常に困難です。

そこで、国際ファクタリングを利用することによって安心して海外企業へ輸出ができるようになるのです。

国際ファクタリングを取り扱うためには、国際的にネットワークを持っている大きな会社しか不可能です。

そのため、国際ファクタリングはメガバンク傘下の大手ファクターしか取り扱っていません。

ファクタリング会社のタイプ別の特徴

ファクタリング会社には主に次の3つのタイプがあります。

  • 銀行系
  • 独立系
  • ノンバンク系

それぞれのファクタリング会社の特徴についてしっかりと理解しておきましょう。

銀行系は手数料が低いが3社間がメイン

メガバンクや一部の地方銀行は傘下にファクタリング会社を所有しています。

そして、銀行系のファクタリングは手数料が圧倒的に低いのが特徴で、銀行系ファクタリング会社の手数料は1%〜3%程度です。

銀行系ファクタリング会社は手数料が低いものの、基本的には3社間ファクタリング、保証ファクタリング、国際ファクタリングなどしか取り扱っていません。

2社間ファクタリングの取り扱いは皆無と考えてよいでしょう。

また、基本的には法人しか利用できず、数十万円単位の少額の売掛債権をファクタリングすることは不可能です。

独立系はスピードが速く審査が柔軟

独立系ファクタリング会社とは、ファクタリングだけを専門に行っている会社です。

独立系ファクタリング会社はファクタリングのノウハウを蓄積しているので、入金までのスピードが最も速いと言えます。

最短即日に対応しているところも多く、2社間ファクタリングを最も得意としています。

最近ではオンライン完結のファクタリングを提供している独立系ファクタリング会社も多いので、2社間ファクタリングとすれば低い手数料で利用することが可能です。

1万円〜の買取に応じている業者もあり、事業規模の小さな個人事業主でも安心して利用できます。

ノンバンク系は債権の対象が広い

ノンバンク系のファクタリング会社は債権の対象が広く、2社間も3社間にも対応しているという点が特徴です。

大手の信販会社などが提供しているケースが多いので、運営会社が安心でき、高額の買取にも対応しています。

ただし、独立系ファクタリング会社と比較して入金スピードは遅く、即日入金を受けることは非常に難しいでしょう。

診療報酬や介護報酬などの売掛債権を低い手数料でファクタリングしたい時に活用できるファクタリング会社だと言えます。

ファクタリング会社を選ぶ際の注意点

ファクタリング会社を選ぶ際には次の8つのポイントに注意しましょう。

  • 希望する買取条件を満たしているか
  • 手数料は相場の範囲内か
  • ホームページの記載内容に問題ないか
  • 担当者の印象は対応は良好か
  • 償還請求権のない契約になっているか
  • 契約書の内容に問題なく2部用意されているか
  • 手数料以外の費用を要求していないか
  • 分割での買取や支払いを求めていないか

安心安全なファクタリング会社は自分の目で選ぶ必要があります。

ファクタリング会社を選択する際の8つの注意点を詳しく解説していきます。

希望する買取条件を満たしているか

ファクタリングが希望する条件を満たしているかどうかをしっかりと確認しましょう。

  • 掛目(売掛債権金額のうち買い取る割合)
  • 入金日
  • 買取金額
  • 2社間か3社間か

あらかじめ、上記の点については必ず確認し、ファクタリング会社がご自身が希望する条件で買取に応じてくれる会社かどうかを確認するようにしてください。

手数料は相場の範囲内か

ファクタリングの手数料が相場の範囲内かどうかという点も重要な確認ポイントです。

相場を逸脱するような高額な手数料を設定する業者は安全な業者とは言えません。

2社間ファクタリングであれば、20%を超えるような手数料を設定する業者は、違法業者の可能性が高いと判断して、取引をしないようにしてください。

ホームページの記載内容に問題ないか

ファクタリング会社のホームページを確認し、記載内容に問題がないかを確認してください。

確認する主なポイントは次の通りです。

  • 手数料の上限が明記されているか
  • 必要書類の記載があるか
  • 必ず審査に通過できるなどの記載がないか

手数料の上限が明記されていないファクタリング会社は契約時に手数料相場を大きく逸脱するような高額な手数料を要求する可能性がありますので、必ず手数料の上限が明記されているファクタリング会社と取引するようにしてください。

また、必要書類が記載されているファクタリング会社の方がスムーズに申し込みができます。

ファクタリングには審査が行われる以上、「必ず」審査に通過できることなどあり得ません。

「必ず審査に通過できる」という趣旨の記載があるファクタリング会社も違法業者の可能性が高いので取引を避けるようにしましょう。

担当者の印象は対応は良好か

ファクタリング会社の担当者の対応が悪い業者とは取引を避けた方がよいでしょう。

優良業者は従業員の教育もしっかりと行っているので、悪い対応をされることはほとんどありません。

感覚として「感じ悪いな」と感じたファクタリング会社とは取引しない方が無難です。

償還請求権のない契約になっているか

償還請求権とは、もしも売掛債権が回収不能になった場合に売主に対してファクタリング会社が代金を請求する権利です。

ファクタリングは売掛債権の回収リスクも一緒にファクタリング会社へ売却するものですので、もしも代金が回収不能になった場合には、売主には責任は生じないのが基本です。

つまりファクタリングは「償還請求権なし」で行われます。

「償還請求権あり」のファクタリングは実質的には融資と変わりませんので、償還請求権ありでファクタリングを実施している会社は、貸金業者登録をせずに融資を行っている違法業業です。

絶対に「償還請求権あり」でファクタリングを実施している業者とは取引しないようにしてください。

契約書の内容に問題なく2部用意されているか

必ず契約書を作成する業者と取引するようにしてください。

法外な手数料を設定したり、保証人や担保を要求する違法行為をする業者は、証拠を残さないために契約書を作成しない傾向があります。

契約書を作成しない業者は違法業者ですので、契約書を作成しない業者とは取引をしないようにしてください。

なお、契約書の内容も必ず確認し、手数料や掛目など、内容に問題がないことを確認するとともに不明点がある場合にはファクタリング会社へ確認してください。

なお、契約書は申込者用とファクタリング会社用に1部ずつ用意され、合計で2部作成されます。

手数料以外の費用を要求していないか

ファクタリングの手数料にはファクタリングにかかる事務手数料や書類代など、基本的には全ての経費が含まれています。

そのため、手数料以外の費用を要求する業者は違法業者の可能性が非常に高いと言えます。

また、ファクタリングの手数料には消費税もかかりません。

手数料以外の費用や消費税を要求する業者とは取引しないようにしてください。

分割での買取や支払いを求めていないか

ファクタリングは一括での買取と一括での支払いが基本です。

そのため売掛債権を分割で買い取ることを提案したり、売掛債権期日になる前に分割での支払いを要求することは禁じられています。

一括以外の方法で買取と支払いを求めているファクタリング会社は違法業者の可能性が高いので取引しないようにしてください。

初めての利用におすすめのファクタリング会社5選

初めてファクタリング会社を利用するのであれば、安心でき手数料の低いファクタリング会社がおすすめです。

次の5社であれば安心してファクタリングを利用できます。

  • QUQUMO(ククモ)
  • ビートレーディング
  • ベストファクター
  • アクセルファクター
  • ペイトナーファクタリング

それぞれのファクタリング会社の手数料や入金までの時間などの概要や特徴について詳しく解説していきます。

QUQUMO(ククモ)

種類 2社間ファクタリング
調達可能金額 下限・上限なし
手数料 1%~14.8%
入金スピード 最短2時間
必要書類 ・請求書
・通帳のコピー
・代表者の本人確認書類
手続き方法 オンライン

QuQuMoはクラウドサインという弁護士ドットコムが監修する契約システムを利用して契約を行うので、オンラインでありながら、外部に契約内容が漏れる心配なく、安心してファクタリングを利用できます。

また、上限手数料も14.8%と相場よりも低くなっているので、高額な手数料を請求される心配はありません。

QuQuMoは審査の際に、決算書や確定申告書の提出を求めないファクタリング会社ですので、必要書類が少ないという点も特徴です。

少ない書類でスムーズにファクタリングを利用したいという方はQuQuMoの利用を検討しましょう。

ビートレーディング

種類 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
注文書ファクタリング
調達可能金額 制限なし
手数料 2社間ファクタリング:4%~12%
3社間ファクタリング:2%~9%
入金スピード 最短2時間
必要書類 ・本人確認書類
・請求書
・通帳のコピー(表紙つき2か月分)
手続き方法 オンライン

ビートレーディングは累計取引社数4.6万社、取引実績1,060億円と圧倒的な実績を誇るファクタリング会社です。

店舗型のファクタリング会社ですので、基本的には担当者に対面で申し込みを行い、ファクタリングに関する説明をしっかりと受けることができます。

また、担当者はファクタリング以外にも、経営全般や財務に関する知識も深いので、資金繰りだけでなく、財務状況の改善などにも力を貸してもらうことができます。

また、最近はオンライン契約にも力を入れており、ビートレーディングの窓口へ行かなくてもオンラインで最短2時間で資金調達することが可能です。

取り扱っているファクタリングの種類も多く、すでに取引が完了した通常の売掛金だけでなく、仕事着手前の注文書も売掛債権と見做して買取りも行ってくれます。

あらゆるファクタリングを取り扱っているので、売掛債権で資金調達したいと考える場合には、まずは相談してみましょう。

ベストファクター

ベストファクター

種類 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
調達可能金額 30万円〜1億円
手数料 2%〜20%
入金スピード 最短1日
必要書類 ・本人確認書類
・入金が確認できる通帳
・売掛債権成因資料(請求書等)
手続き方法 面談

ベストファクターはネットでの口コミが非常に高い店舗型のファクタリング会社です。

担当者の知識が豊富ですので、ファクタリングだけでなく、資金繰りや財務改善などのさまざまな相談をすることができます。

また、3社間ファクタリングの取り扱いも行っていますし、注文書ファクタリング専門のファクタリング会社であるベストペイというサービスも運営しています。

ベストファクターは顧客との対面での説明を重視している安心できる企業です。

そのため、ベストファクターのオフィスに当日中に訪問できない場合には、資金調達できるまでの時間が遅くなります。

なお、希望すれば遠方にも出張買取を行ってくれます。

 

アクセルファクター

種類 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
調達可能額 30万円〜1億円
手数料 2%〜
入金スピード 最短即日
必要書類 ・売掛金が確認できる書類(請求書等)
・入金が確認できる預金通帳
・直近の確定申告書(所得税又は法人税)
・代表者の身分証明書
手続き方法 対面(オンラインも可)

アクセルファクターも店舗型のファクタリング会社として信頼と実績のある企業です。

そのため、基本的な契約方法は対面ですが、最近はオンラインでの契約にも力を入れており、アクセルファクターによると、「取り扱うファクタリングの半分が即日対応」とのことです。

急いでいる時にも、アクセルファクターであれば資金が間に合う可能性があります。

すぐに資金が必要だけど、オンライン完結はちょっと心配。。という方にアクセルファクターはおすすめです。

ペイトナーファクタリング

ペイトナー

種類 2社間ファクタリング
調達可能金額 100万円まで(初回は25万円)
手数料 10%
入金スピード 最短10分
 必要書類 ・請求書
・本人確認書類
・実態確認資料(売掛先からの入金履歴がある通帳の写し
サイトのURLやポートフォリオ等)
手続き方法 オンライン

ペイトナーファクタリングは100万円まで(初回は25万円まで)という非常に少額の売掛債権を買い取る、小規模企業向けのファクタリング会社です。

手数料も10%と固定されており、手数料以外の費用は発生しないので、あらかじめ資金調達のためにどの程度のコストを負担しなければならないのかを簡単に把握することができます。

最大の特徴は、申込から資金化まで最短10分という非常に短い時間で資金化できるので、急いで資金が必要な個人事業主や小規模企業のオーナーには最適な資金調達方法だといえるでしょう。

ファクタリングに関するよくある質問

長期運転資金を必要とする時にはファクタリングを利用することに意味はありますか?
長期間の資金繰りにはファクタリングは意味はありません。将来的に入ってくる予定の資金を前倒しで資金化するだけですので、むしろ長期的に資金繰りが苦しくなる可能性の方が高くなります。ファクタリングは短期的にお金が必要になるタイミングで利用することが効果的です。
返済期日が過ぎている債権をファクターに買い取ってもらうことはできますか?
期日が過ぎている債権を売却することは不可能です。ファクターが買い取るのは期日前の正常な債権だけです。
3社間ファクタリングを売掛先に秘密にする方法はありますか?
3社間ファクタリングでは売掛先に秘密にすることはできません。売掛先の同意が必ず必要になるので、3社間ファクタリングでは売掛先に必ずファクタリングしたことがバレてしまいます。秘密したいのであれば2社間ファクタリングを利用するしかないでしょう。

まとめ

ファクタリングとは、売掛債権を売却して売掛金の期日前に資金化することです。

上手に活用することによって企業経営には大きなプラスの意味をもたらします。

急な資金繰りにも対応することができるので、実際に利用するかどうかはともかくとして、資金調達チャネルの1つとして意味と概要は理解しておいた方がよいでしょう。