事業の新しい資金調達方法として、ファクタリングが定着しつつあります。
しかし、「ファクタリングとは何かよくわからない」という経営者の方も実は多いのではないでしょうか?
ファクタリングは売掛債権を売却して資金調達する方法で、多くの中小企業・個人事業主・フリーランスから注目を集めています。
特に、審査の基準が融資とは全く異なるので、銀行の審査に通過できない場合や急いで資金が必要な場合には大いに重宝する方法です。
ファクタリングとはどんな資金調達方法なのか、審査基準やメリット・デメリットまで徹底的に解説していきます。?
ファクタリングとは?主なファクタリング7つの種類
一般的に「ファクタリングとは、売掛金などの売掛債権を期日前に売却して資金化する方法」と考えられています。
しかし、ファクタリングには以下のような種類があります。
- 買取ファクタリング
- 保証ファクタリング
- 医療報酬ファクタリング
- 国際ファクタリング
- 将来債権ファクタリング
- 一括ファクタリング
- リバースファクタリング
まずは、ファクタリングの7つの異なる形態について詳しく解説していきます。
買取ファクタリング
買取ファクタリングとは、売掛債権を期日前に売却して早期資金化をする通常のファクタリングです。
決済期日を待たなくても、買取ファクタリングを利用することによって早期に資金を調達できます。
利用者が受け取れる代金は、売掛債権から手数料が差し引かれた金額です。
手数料の相場は3社間ファクタリングで1%~9%、オンラインの2社間ファクタリングで2%~12%となります。
買取ファクタリングは、融資・ビジネスローンなどの借入とは異なり負債が増えません。
現在は多くのファクタリング会社がオンラインファクタリングに対応しており、数十分~即日で資金調達できるサービスが大半です。
急な支払いや資金不足に困ったときは、買取ファクタリングでスピーディーに資金調達しましょう。
保証ファクタリング
保証ファクタリングとは、保証料を支払って売掛債権の保証をファクタリング会社から受ける仕組みです。
保証料はファクタリング会社によって異なりますが、1%~4%が相場です。
保証ファクタリングを利用することによって、売掛債権が万が一デフォルトした場合でも、売掛債権の代金をファクタリング会社から受け取れます。
保証ファクタリングは受注から入金までの時間が長い建設業や、支払い能力が不透明な新規売掛先の売掛債権に対して利用されるケースが多いです。
保証ファクタリングは、売掛債権の保証を受けられるだけで資金調達はできません。
医療報酬ファクタリング
医療報酬ファクタリングとは、医療報酬債権専門のファクタリングです。
医療報酬は、売上発生から医療報酬の入金までの期間が最大3ヶ月近くかかります。
医療報酬ファクタリングを利用することによって、この期間を1ヶ月半程度に縮めることができます。
資金的な体力がない開業当初の病院や、介護施設で利用されるのが医療報酬ファクタリングです。
売掛先が国保連や健康保険組合などの公的機関のためデフォルトリスクがなく、低い手数料でファクタリングできることも大きな特徴です。
国際ファクタリング
国際ファクタリングとは、貿易を行う事業者の売掛債権をファクタリング会社が保証する仕組みです。
従来の信用状でのやりとりは海外の銀行と書類のやりとりが伴うので、取引開始まで長い時間がかかってしまうのがデメリットでした。
しかし、国際ファクタリングではファクタリング会社が海外のファクタリング会社と連携して与信調査などを行うので、取引開始までの時間を圧倒的に早くできます。
貿易を行う事業者は国際ファクタリングの利用によって、スムーズかつ安心して取引できるようになります。
国際ファクタリングは、世界各国の銀行とその子会社のファクタリング会社が加盟している「Factors Chain International(FCI)」というネットワークに入っていないと利用できません。
そのため、日本では銀行系の大手ファクタリング会社が国際ファクタリングを提供しています。
将来債権ファクタリング
将来債権ファクタリングは、将来債権を売却して資金調達するファクタリングの一種です。
将来債権とは、将来に発生が予定されている債権を指します。
たとえば、1年間を通して毎月10万円の商品を提供する契約をしていた場合、納品日・入金日が確定していなくても支払い予定の確定が可能なため将来債権とみなされます。
2020年に改正された民法466条の6で、将来債権も譲渡できると規定されました。
ただし、将来債権ファクタリングは売掛先への通知が必須なので3社間ファクタリングになります。
一括ファクタリング
一括ファクタリングとは、手形決済の代わりに利用されるファクタリングサービスです。
主に銀行系ファクタリングが提供しており、売掛先(支払企業)が主体であることが買取ファクタリングとの違いです。
一括ファクタリングは、売掛先(支払企業)・買掛先(納入企業)・ファクタリング会社の3社間ファクタリングになります。
一括ファクタリングの流れは以下の通りです。
- 売掛先(支払企業)とファクタリング会社で一括ファクタリング契約を締結
- 買掛先(納入企業)が売掛債権をファクタリング会社に譲渡
- ファクタリング会社が買掛先(納入企業)に手数料を差し引いた代金を支払う
- 支払期日に売掛先(支払企業)がファクタリング会社に売掛金を入金
手形決済でかかっていたコストの削減や、煩雑な業務の効率化ができるため大手企業で一括ファクタリングは利用されています。
リバースファクタリング
リバースファクタリングとは、売掛先(支払企業)が売掛金の支払いを延長できるサービスです。
売掛先(支払企業)が主体となり契約する点は、一括ファクタリングと同様です。
売掛先(支払企業)がリバースファクタリングをファクタリング会社と契約し、ファクタリング会社は買掛先(納入企業)へ支払期日に代金を入金します。
その後、契約した期日に売掛先(支払企業)がファクタリング会社に売掛金と手数料を支払う仕組みです。
売掛先(支払企業)は、一時的に支払期日を延長して手元資金を残せます。
ただし、リバースファクタリングはでんさい(電子記録債権)を導入しないと利用できません。
同じようなサービスに請求書カード払いがありますので、支払期日延長をしたいなら利用を検討しましょう。
給与ファクタリングは違法なので注意しよう
給与ファクタリングとは給与を債権として売却し、給料日前に現金化できるサービスです。
しかし、金融庁は2020年に給与ファクタリングが貸金業に該当すると公表しました。
また、給与ファクタリングと称して高額な手数料を請求し、悪質な取り立てが行われているとして注意喚起しています。
2020年の東京地裁でも、給与ファクタリングは貸金業へ登録していなければ違法との判決が下されました。
年率換算で数百%~数千%におよぶ手数料が設定されているケースも多く、給与ファクタリングの利用は経済的に困窮したり悪質な取り立てでトラブルに巻き込まれたりする恐れがあります。
給与ファクタリングはリスクが非常に大きいため、絶対に利用しないようにしましょう。
買取ファクタリングとは
買取ファクタリングとは、売掛債権を売却して期日前に資金調達する方法です。
借入ではないので利息はかかりませんが、売掛債権を売却するときに手数料が差し引かれます。
また、売掛債権のデフォルトリスクもファクタリング会社に売却できるという特徴があります。
買取ファクタリングの特徴について、詳しく解説していきます。
売掛債権・売掛金とは?
売掛金とは売掛債権であり、掛取引で商品やサービスを販売した代金を将来的に受け取る権利です。
掛取引とは、一定期間内に取引した金額を後払いでまとめて精算する取引方法を指します。
毎回、代金のやりとりを行うのは煩雑で振込手数料などのコストもかさむため、B to Bでは掛取引が一般的です。
売掛金や売掛債権は、ツケをイメージすると理解しやすいでしょう。
売掛金は30日~90日の期間で決済されるケースが多いですが、支払いサイトが長い建設業界などでは180日といったケースも見られます。
手数料を支払って売掛債権を売却する
ファクタリングには手数料がかかります。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングによって、手数料相場はそれぞれ以下のように異なります。
- 2社間ファクタリング:10%~20%程度
- 2社間ファクタリング(オンライン完結):2%~12%
- 3社間ファクタリング:1%~9%程度
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社によっても大きく異なります。
なお、融資・ビジネスローンの金利よりもかなり高くなる点だけは理解しておきましょう。
たとえば、手数料が5%のファクタリングで90日の売掛債権を売却した場合、年利に計算しなおすと20%もの利息がかかっていることになります。
利益率の低い売掛債権の売却は、かえって経営状態を悪化させる恐れがありますので注意してください。
売掛債権のデフォルトリスクも売却する
ファクタリング最大の特徴は、売掛債権のデフォルトリスクも売却できる点です。
売掛債権のデフォルトリスクとは、売掛先の倒産などによって売掛債権が回収不能になることです。
償還請求権なしの契約では売掛債権の回収責任がファクタリング会社にあるため、利用者は未回収の売掛債権を弁済する必要がありません。
ここが売掛債権担保融資や手形割引とのもっとも大きな違いで、ファクタリングによって売掛債権のデフォルトリスクを排除できます。
なお、ファクタリングの手数料は売掛債権のデフォルトリスクに対するリスクプレミアムとして設定され、リスクの高い債権ほど手数料は高くなります。
ファクタリングと融資・ビジネスローンの違いとは
資金調達手段 | ファクタリング | 融資・ビジネスローン |
契約の性質 | 売掛債権の売買 | 借入 |
かかるコストの種類 | 手数料 | 利息 |
審査基準 | 売掛先の支払い能力を重視 | 利用者の返済能力・信用力を重視 |
必要書類 | オンラインファクタリングなら数点というケースもある | 5つ~6つ程度が必要 |
資金調達スピード | 数十分~即日 | 即日~数週間 |
資金調達額 | 売掛債権の額面まで | 信用力が高ければ多額の資金調達が可能 |
ファクタリングと融資・ビジネスローンのもっとも大きな違いは、借入かどうかです。
ファクタリングが売掛債権の売買契約なのに対し、融資・ビジネスローンは金融機関からの借入です。
また、コスト面でもファクタリングは手数料、融資・ビジネスローンは利息という違いがあります。
審査基準についてファクタリングは売掛先の支払い能力が重視されるのに対し、融資・ビジネスローンは利用者の返済能力・信用力が審査されます。
さらに、融資・ビジネスローンは多くの必要書類が求められますが、オンラインファクタリングなら数点しか必要書類が求められないサービスも多いです。
資金調達スピードも融資・ビジネスローンは数日~数週間かかるのに対し、オンラインファクタリングなら数十分~即日に対応しています。
ただし、ファクタリングは売掛債権の額面までしか資金調達ができません。
多額の資金が必要な場合は融資・ビジネスローン、素早く資金調達したい場合はファクタリングと上手に使い分けましょう。
2社間ファクタリング・3社間ファクタリングとは
ファクタリングの契約形態 | 特徴 | メリット | デメリット |
2社間ファクタリング | ・利用者とファクタリング会社の2社間で契約 ・売掛先から売掛金が入金されたら、利用者がファクタリング会社に振り込む |
・資金調達がスピーディーにできる ・売掛先に利用を知られない ・オンラインファクタリングなら手数料の相場は2%~12% |
・手数料が3社間ファクタリングに比べて高め |
3社間ファクタリング | ・利用者・売掛先・ファクタリング会社の3社間の契約 ・売掛金は、売掛先が直接ファクタリング会社に振り込む |
・手数料が安く、1%~9%が相場 | ・ファクタリング契約に売掛先の承諾が必要で時間がかかる ・売掛先にファクタリングの利用を知られる |
ファクタリングには、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングという2つの契約形態があります。
2社間ファクタリングはほとんどのファクタリング会社が提供していますが、3社間ファクタリングを提供しているファクタリング会社は限られます。
3社間ファクタリングを利用したいなら、事前にファクタリング会社が対応しているか確認しましょう。
手数料をできるだけ抑えたいなら3社間ファクタリング、スピーディーに資金調達をしたいなら2社間ファクタリングがおすすめです。
2社間ファクタリングでも、オンラインファクタリングなら手数料が安くスピーディーに資金調達が可能です。
状況に合わせて、適切なファクタリングの契約形態を選択してください。
買取ファクタリングの仕組みとは?
買取ファクタリングの仕組みについて解説していきます。
基本的に買取ファクタリングでは、以下の流れで入金から支払いまでが行われます。
- 売掛債権をファクタリング会社へ売却する
- ファクタリング会社は利用者へ代金を入金
- 売掛債権期日に売掛先からファクタリング会社が回収
買取ファクタリングの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
売掛債権をファクタリング会社へ売却する
売掛債権をファクタリング会社に売却します。
申し込みはインターネットから行うこともできますし、契約まで完全非対面で行うことができるファクタリング会社も多数存在します。
なお、オンラインファクタリングなら手数料が安く、必要書類も少ないため準備にも時間がかかりません。
審査にかかる時間は2社間であれば最短数十分~即日、3社間であれば1週間程度です。
ファクタリング会社は利用者代金を入金
契約が完了すると、売掛債権の額面から手数料を差し引いた金額がファクタリング会社から振り込まれます。
2社間ファクタリングであれば、最短で申し込みをした当日に代金を受け取れます。
3社間ファクタリングでは、振り込みまで1週間程度は見ておきましょう。
売掛債権期日に売掛先からファクタリング会社が回収
支払期日に売掛債権の代金をファクタリング会社が回収し、ファクタリング取引は完結します。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、売掛債権期日の回収方法が異なります。
2社間ファクタリングの回収方法
2社間ファクタリングは、利用者がファクタリング会社に売掛金を支払います。
支払期日に売掛先から売掛金が支払われ、利用者からファクタリング会社に振り込む仕組みです。
なお、利用者からファクタリング会社への支払いが遅れると、遅延損害金が請求される可能性がありますので注意しましょう。
また、売掛先から売掛金が未入金だった場合、回収責任はファクタリング会社が負います。
売掛金が未入金だったことを、ファクタリング会社にすぐ連絡しましょう。
3社間ファクタリングの回収方法
3社間ファクタリングは、売掛先がファクタリング会社に売掛金を振り込みます。
そのため、売掛金の支払いに利用者は関与しません。
売掛先が振込先をファクタリング会社に変更するといった手間がかかるため、事前にしっかりと説明して承諾を取り付けましょう。
なお、売掛先から直接ファクタリング会社に振り込まれるので、利用者の使い込みリスクがない分だけ3社間ファクタリングは手数料がリーズナブルに設定されています。
できるだけリーズナブルな手数料でファクタリングを利用したいなら、3社間ファクタリングを検討しましょう。
ファクタリングの審査のポイント
ファクタリングの審査のポイントについて解説します。
外部からの資金調達方法という点では借入と同じですが、審査のポイントは全く異なります。
審査通過のポイントを押さえて、上手にファクタリングを利用しましょう。
売掛先の与信で審査を受けられる
ファクタリング審査が融資と大きく異なる点は、売掛先の与信で審査を受けられる点です。
ファクタリングでは、ファクタリング会社への支払いは利用者ではなく売掛先です。
2社間ファクタリングでも、売掛先が間接的にファクタリング会社へ支払いを行います。
そのため、審査では売掛先が期日通りに支払いができるかどうかという点がもっとも重視されます。
売掛先が優良企業や大企業であれば審査に通過できる可能性が高いですが、小規模で業況が悪いのであれば審査通過は困難です。
融資は利用者の業況が主な審査のポイントですが、ファクタリングの審査では利用者の経営状況は重視されないという違いがあります。
売掛債権の期間も審査に影響する
売掛債権の期間も審査に大きく影響します。
- 売掛債権の期間が短い:審査が緩い
- 売掛債権の期間が長い:審査が厳しい
売掛債権の期間が短い方が、ファクタリング会社にとってはリスクが低いので審査に通過しやすくなります。
売掛債権の期間が長いと、ファクタリング会社のリスクが高くなるので審査通過は難しくなります。
売掛債権の期間が長い場合は、支払期日までに売掛先の業況が大幅に悪化する可能性があるためです。
期間が長い売掛債権のファクタリングは審査に通ったとしても、手数料が高くなる可能性があります。
審査通過を目指すなら、まずは支払期日までが短い売掛債権で申し込みましょう。
2社間ファクタリングでは利用者の与信もチェックされる
2社間ファクタリングでは利用者の与信もチェックされ、利用者の与信が悪いと審査通過ができない可能性があります。
2社間ファクタリングでは売掛金が利用者を経由するので、あまりにも業況が悪い事業者はファクタリング会社へ支払いをせずに流用してしまう可能性があるからです。
そのため、業況が悪化した事業者が2社間ファクタリングへ申し込んでも審査に通過できないことがあります。
一方、3社間ファクタリングでは資金が利用者を経由しないので、利用者の業況が悪くても審査に通過できる可能性は2社間ファクタリングより高くなります。
ファクタリングのメリット9選
ファクタリングの主なメリットは以下の9つです。
- 利用者に信用がなくても資金調達できる
- 最短即日で資金調達可能
- 売掛先に知られず売掛債権をファクタリングできる(2社間ファクタリング)
- 貸借対照表のオフバランス化を図ることができる
- 借入ではないので負債が増えない
- 担保・保証人が不要
- 償還請求権がなく未回収でも弁済しなくてよい
- ファクタリングの利用には業種・業態を問わない
- 個人事業主・フリーランスでも利用できる
ファクタリングは、融資・ビジネスローンにはない多くのメリットがあります。
ファクタリングのメリットについて詳しく見ていきましょう。
利用者に信用がなくても資金調達できる
ファクタリングは、利用者に信用がなくても資金調達できます。
ファクタリング審査で重視されるのは、利用者ではなく売掛先の業況だからです。
そのため、利用者の業況が悪く銀行融資を断られた場合でも、ファクタリング審査に通過して資金調達できる可能性があります。
銀行融資を受けられない場合は、ファクタリングを利用した資金調達を検討しましょう。
最短即日で資金調達可能
ファクタリングは、最短数十分~即日での資金調達が可能です。
2社間ファクタリングは審査に時間がかからないため、申し込みしたその日に振り込みを受けられます。
銀行からお金を借りる場合には、いくら早くても1週間程度の時間が必要です。
融資・ビジネスローンよりスピーディーに資金調達できるファクタリングなら、急な支払いが発生したときでも安心です。
なお、素早く資金調達したいなら、必要書類の少ないファクタリング会社を選択しましょう。
売掛先に知られず売掛債権をファクタリングできる(2社間ファクタリング)
2社間ファクタリングであれば、売掛先に知られずファクタリングを利用できます。
売掛先にファクタリングの利用を知られると、「経営状態が苦しいのかもしれない」「今後、取引を継続していくことが危うい会社」などのネガティブな評価をされてしまう可能性があります。
経営状態の悪化を疑われると、今後の取引に悪影響が出るかもしれません。
売掛先にファクタリングの利用を知られたくないなら、2社間ファクタリングの利用がおすすめです。
貸借対照表のオフバランス化を図ることができる
ファクタリングは、貸借対照表のオフバランス化ができます。
オフバランス化とは、資産や負債を賃借対照表に計上しないことです。
借入によって資金調達すると、負債分だけ貸借対照表の総資産額・総負債額が大きくなります。
しかし、ファクタリングは売掛金という資産と現預金という資産を交換しているだけですので、貸借対照表が大きくなることはありません。
今は不要な資産や負債をできる限り持たない経営が、銀行や投資家から評価される傾向にあります。
借入によって資金調達するよりもファクタリングの方が決算書の見た目がよくなるので、外部からの評価が下落しにくいというメリットがあります。
借入ではないので負債が増えない
ファクタリングは、融資・ビジネスローンのような借入ではなく負債が増えません。
売掛債権の売買契約であるため信用情報にも影響がなく、将来的に融資・ビジネスローンを検討している事業者でも安心して利用できます。
また、ファクタリングは融資・ビジネスローンと異なり審査が柔軟です。
融資・ビジネスローンの審査に落ちた人でも、ファクタリングで資金調達ができる可能性があります。
借入を増やしたくない人や、融資・ビジネスローンの審査に落ちてしまった人はファクタリングの利用を検討しましょう。
担保・保証人が不要
ファクタリングを利用するにあたって、担保・保証人は不要です。
融資の場合、不動産や動産の担保を求められたり保証人が必要だったりするケースがあります。
保証人が必要な場合、探すのに時間が取られて素早く資金調達できません。
しかし、ファクタリングなら担保・保証人を用意する必要がないため、準備に時間がかからずスピーディーな資金調達が可能です。
急ぎの支払いが迫っており、素早く資金調達をしたいならファクタリングの利用が最適です。
償還請求権がなく未回収でも弁済しなくてよい
一般的なファクタリングの契約には償還請求権が盛り込まれておらず、売掛債権が未回収に陥っても利用者が弁済する義務が発生しません。
償還請求権とは、支払った費用分の返還を求める権利です。
償還請求権がファクタリング契約に入っていると、利用者は売掛債権が未回収だったときに弁済する義務が生じます。
しかし、償還請求権ありの契約は貸金業への登録が必要で、ほとんどのファクタリング会社は登録していないため違法の可能性が高いです。
もし、ファクタリングの契約で償還請求権が盛り込まれていたら、違法の可能性が高いので契約を中断して利用しないようにしましょう。
ファクタリングの利用には業種・業態を問わない
ファクタリングは、業種・業態を問わず売掛債権さえあれば利用できます。
たとえば、飲食業界であってもクレジットカードの売掛債権をファクタリングで売却することが可能です。
一般的な支払いサイトは30日~90日ですが、建設業界のように180日の支払いサイトに対応しているファクタリング会社もあります。
取り扱っている売掛債権の支払いサイトは、ファクタリング会社によって異なります。
自分の業種・業態にあったファクタリング会社を選択し、上手に資金調達しましょう。
個人事業主・フリーランスでも利用できる
ファクタリングは法人だけでなく、個人事業主・フリーランスでも利用できます。
法人専用のファクタリング会社もありますが、多くのファクタリング会社は個人事業主・フリーランスの利用を制限していません。
また、中には少額の売掛債権を取り扱う、個人事業主・フリーランス向けのファクタリングサービスもあります。
ただし、売掛先が個人事業主の場合は利用が制限されるケースがほとんどです。
事前に公式サイトで、利用可能額の下限・上限や個人事業主・フリーランスが利用できるかをチェックしておきましょう。
ファクタリングのデメリット
銀行から融資を受けることができない場合や、銀行融資を待っている時間がない場合にファクタリングはメリットの大きな資金調達方法です。
しかし、ファクタリングには以下の5点のデメリットがあります。
- 手数料が高い
- 資金調達額が限られてしまう
- 違法業者の存在
- 利用を知られると売掛先との信頼関係に影響
- 債権譲渡登記が必要な場合がある
ファクタリングを利用するのであれば、デメリットについてもしっかりと理解しておく必要があります。
ファクタリングの5つのデメリットを解説します。
手数料が高い
ファクタリング最大のデメリットは手数料の高さです。
ファクタリングの手数料は2社間で10%~20%、3社間でも1%~9%程度です。
銀行融資の金利は2%前後ですので、ファクタリングは借入よりも圧倒的に高くなってしまいます。
売掛債権期日まで保有していれば額面金額を丸々受け取れるのに対して、ファクタリングを利用するだけで20%近くも手数料が発生してしまうのは間違いなく大きなデメリットです。
ただし、近年のオンラインファクタリングは手数料相場が2%~12%と比較的リーズナブルです。
手数料は利益を圧迫するので、できるだけ安い手数料のファクタリング会社を選びましょう。
資金調達額が限られてしまう
ファクタリングは、調達できる金額が限られているのもデメリットです。
ファクタリングで調達できる金額は売掛債権の範囲内で、絶対に売掛債権を超える金額を調達できません。
ローンであれば大きな金額を借りられますが、ファクタリングでは売掛債権金額が小さければ大きな金額の調達は不可能です。
大きな金額を調達したいなら融資・ビジネスローン、スピーディーに資金調達したいならファクタリングと上手に使い分けましょう。
違法業者の存在
違法なファクタリング業者に引っかかる可能性があるため注意しましょう。
ファクタリング業を営むのに、国や都道府県への登録や許認可は必要ありません。
そのため、ファクタリング会社の中には高額な手数料を設定する違法業者も混じっています。
消費者金融のように国への登録制ではないため、取引をしても問題ない安全な業者かどうかの明確な指標がないのがファクタリングのデメリットです。
違法業者に引っかからないため、以下のポイントに気を付けましょう。
- 契約に償還請求権・融資・借入・返済などの単語が入っている
- ファクタリングの手数料相場より法外に高い
- 給与ファクタリングを提供している
償還請求権ありの契約は貸金業への登録が必要ですが、ファクタリング会社の多くは登録していません。
そのため、償還請求権ありのファクタリング契約の大半は違法です。
また、動産保証付き融資は売掛債権を担保にする貸付であり、ファクタリングとは異なります。
償還請求権・融資・借入・返済などの単語が入った契約書の場合、違法業者の可能性が高いので契約を中断しましょう。
なお、給与ファクタリングは2020年に東京地裁で違法だと判決が下されています。
経済的に追い込まれたり、違法な取り立てをされたりといったトラブルに巻き込まれる恐れがあるため、絶対に利用しないようにしましょう。
違法業者を避けるために、複数の業者から見積もりを取るなどの対策をしてください。
利用を知られると売掛先との信頼関係に影響
3社間ファクタリングで売掛先にファクタリングの利用を知られると、信頼関係に悪影響を及ぼす場合があります。
ファクタリングの利用を知られると、経営状態や財務状況の悪化を疑われるかもしれません。
売掛先との関係悪化を回避するためには、ファクタリングを利用する前に十分な説明を行いましょう。
また、売掛金の振込先が利用者からファクタリング会社に変更になります。
トラブルを回避するために、振込先の変更についても事前に説明して承諾を取ってください。
債権譲渡登記が必要な場合がある
2社間ファクタリングの利用で、債権譲渡登記が必要な場合があります。
債権譲渡登記とは、ファクタリング契約において売掛債権の譲渡を公式に登記することです。
債権譲渡登記は法人格しか行えません。
そのため、債権譲渡登記を必要とするファクタリング会社を個人事業主・フリーランスは利用できません。
また、債権譲渡登記には別途費用が必要なケースもありますので注意してください。
多くのファクタリング会社は債権譲渡登記なしで利用できますので、事前にチェックして適切なファクタリングサービスを選びましょう。
厳選!即日資金調達ができるおすすめのファクタリング会社5選
厳選した即日資金調達できる、おすすめのファクタリング会社を5つ紹介します。
- ベストファクター | 即日振込率6割以上!豊富な実績!
- ビートレーディング | 必要書類は2つだけ!最短2時間で資金調達
- OLTA | AI審査でコスト削減!圧倒的に低い手数料を実現!
- FREENANCE | フリーランス向けの格安ファクタリング!
- QuQuMo | 少額から利用できて最短2時間で入金!
自分に最適なファクタリング会社を見つけて、スピーディーに資金調達しましょう。
ベストファクター | 即日振込率6割以上!豊富な実績!
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング ・注文書ファクタリング |
調達可能金額 | 30万円~1億円 |
手数料 | 2%~20% |
入金スピード | 最短即日 |
手続き方法 | オンライン・電話 |
公式サイト | https://bestfactor.jp/ |
ベストファクターは柔軟な審査で、平均買取率92.2%を誇るファクタリング会社です。
必要書類を事前に準備しておけば、最短即日で資金調達できます。
簡易診断シミュレーターを提供しており、たったの30秒でおおよその買取手数料がわかります。
オンライン以外に電話での申し込みも受け付けており、最短5分で買取額を知ることが可能です。
ベストファクターの即日振込率は6割以上なので、早い時間帯に申し込めば当日に資金調達できる見込みが高まります。
年間利用者数1,000社以上の豊富な実績を誇るベストファクターで、安心・安全に売掛債権を現金化しましょう。
ビートレーディング | 必要書類は2つだけ!最短2時間で資金調達
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング ・注文書ファクタリング |
調達可能金額 | 制限なし |
手数料 | 2社間ファクタリング:4%~12% 3社間ファクタリング:2%~9% |
入金スピード | 最短2時間 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイト | https://betrading.jp/ |
ビートレーディングは、最短2時間で資金調達が可能なファクタリング会社です。
取引実績累計4.6万社以上、累計買取額1,000億円以上の豊富な実績を誇ります。
しっかりとしたノウハウを確立しており、利用者のニーズに合わせた柔軟な対応をしてくれるため、はじめての人でも安心して利用できます。
クラウドサインを導入しており、必要書類は通帳のコピー・請求書の2つだけです。
また、注文書ファクタリングに対応しており、受注段階で資金調達できるため業務拡大にも役立ちます。
実績豊富なビートレーディングで、スピーディーな資金調達を実現しましょう。
OLTA | AI審査でコスト削減!圧倒的に低い手数料を実現!
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 下限・上限なし |
手数料 | 2%~9% |
入金スピード | 最短即日 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイト | https://www.olta.co.jp/ |
OLTAは累計利用者数1万人以上、累計買取額1,000億円以上の実績豊富なオンラインファクタリングです。
法人・個人事業主・フリーランスに対応しており、買取金額に下限・上限が設けられていないため少額から利用できます。
必要書類もパソコン・タブレット・スマートフォンで、オンラインからアップロードするだけなので手軽です。
AI審査を導入してコスト削減したため、リーズナブルな手数料を実現できました。
必要書類は決算書・通帳のコピー・請求書の3つだけなので、準備に時間もかかりません。
リーズナブルな手数料でファクタリングを利用したい、個人事業主・フリーランスにOLTAはおすすめです。
FREENANCE | フリーランス向けの格安ファクタリング!
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 下限・上限なし |
手数料 | 3%~10% |
入金スピード | 最短30分 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイト | https://freenance.net/ |
FREENANCEは、個人事業主・フリーランス向けのユニークなファクタリングサービスです。
FREENANCEの口座を利用すればするほど、ファクタリングの手数料が下がる仕組みです。
個人事業主・フリーランス向けのファクタリングとしては、3%~10%と破格に安い手数料を実現しました。
審査は最短30分で、アカウント登録しておけばすぐに利用できるのが特徴です。
必要書類は請求書のみで、マイページからアップロードして必要事項を記入するだけで資金調達できます。
ほかにも、個人事業主・フリーランス向けのサービスを展開している点も魅力的です。
個人事業主・フリーランスは、万が一に備えてFREENANCEへの登録をしておきましょう。
QuQuMo | 少額から利用できて最短2時間で入金!
種類 | ・2社間ファクタリング |
調達可能金額 | 下限・上限なし |
手数料 | 1%~14.8% |
入金スピード | 最短2時間 |
手続き方法 | オンライン |
公式サイト | https://ququmo.com/ |
QuQuMoは、どこよりもスピードを追求するオンラインファクタリングです。
最短2時間で申し込みから入金までが完了するため、急ぎの資金調達に向いています。
買取可能額の下限・上限が設定されておらず、少額の売掛債権から利用できる点が特徴です。
法人・個人事業主・フリーランスに対応しており、必要書類は請求書と通帳の2点のみです。
弁護士ドットコムが監修したクラウドサインでの契約締結なので、ファクタリングの利用を外部に知られることはありません。
急に資金が必要になったとき、スピーディーに資金調達ができるQuQuMoは心強い味方です。
ファクタリングに関するよくある質問
ファクタリングに関する、よくある質問について解説します。
- 2社間ファクタリングの支払いはいつ?
- 銀行系ファクタリングとは?
- ファクタリングを利用したときの仕訳方法とは?
- 債権回収会社(サービサー)とファクタリング会社の違いとは?
2社間ファクタリングの支払いはいつ?
2社間ファクタリングの支払期日は、売掛金の回収日の当日~2日以内です。
一方、3社間ファクタリングは売掛先がファクタリング会社に入金するので、利用者は売掛金を支払う必要がありません。
もし、2社間ファクタリングで支払期日までに売掛金が支払えないと、遅延損害金を請求されたり損害賠償請求を起こされたりする可能性があります。
なお、売掛金が未入金で支払えない場合は、売掛債権の回収責任はファクタリング会社が負います。
売掛金が未入金であることを、ファクタリング会社にできるだけ早めに連絡しましょう。
銀行系ファクタリングとは?
銀行系ファクタリングとは、銀行が提供するファクタリングサービスです。
メガバンク・地方銀行が取り扱っているファクタリングサービスのほかに、銀行が出資しているファクタリング会社も銀行系ファクタリングと呼ばれます。
銀行系ファクタリングは基本的に、3社間ファクタリングのみ提供しています。
また、一般的な買取型ファクタリングだけではなく、国際ファクタリング・保証型ファクタリングなど多様なファクタリングを取り扱っていることが特徴です。
銀行系ファクタリングのメリットは以下の通りです。
- 取り扱うファクタリングの種類が多い
- 信頼性が高く安心して利用できる
- 手数料が比較的リーズナブル
- 高額の売掛債権に対応している
一方、銀行系ファクタリングには以下のようなデメリットもあります。
- 審査が銀行系ファクタリング以外と比べると厳しい
- 資金調達に時間がかかる
- 窓口に直接訪問する必要がある
- 売掛債権が少額だと買取できないケースがある
ファクタリングを利用したときの仕訳方法とは?
売掛債権の発生から、ファクタリングで入金されるまでの仕訳方法について解説します。
100万円で商品が売れた場合、売上と売掛金は以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
売掛金 | 100万円 | 売上 | 100万円 |
ファクタリング会社で売掛債権の売買契約を締結した段階では、売掛金を消して未収入金として処理します。
未収入金とは、資産である売掛債権を売却してその代金が入金される予定の場合に使う勘定項目です。
借方 | 貸方 | ||
未収入金 | 100万円 | 売掛金 | 100万円 |
契約後にファクタリング会社から代金が入金されると、未収入金を貸方に移します。
ファクタリングの手数料が5%の場合は5万円を売上債権売却損として計上し、残りの95万円を普通預金として仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 95万円 | 未収入金 | 100万円 |
売上債権売却損 | 5万円 |
会計ソフトやクラウド会計ツールを利用すれば、賃借対照表の仕訳がより簡単に行えます。
債権回収会社(サービサー)とファクタリング会社の違いとは?
サービサーとファクタリング会社の違いは、取り扱う債権の種類です。
サービサーは不良債権を取り扱い、ファクタリングは支払期日前の売掛債権を売買できるサービスです。
サービサーの不良債権の買取金額は、額面の数%程度と非常に低くなっています。
一方、ファクタリングで取り扱う売掛債権は80%~99%で買取してもらえます。
なお、一般的な事業者がサービサーを利用する機会はほとんどありません。
ファクタリングの仕組みを知って資金繰り改善を実現しよう
ファクタリングを利用すれば、銀行からお金を借りられない場合や、銀行融資を待っているだけの時間的な余裕がない場合も最短即日で資金調達できます。
審査は売掛先に対して行われるので、経営状態・財務状況が悪い場合でも審査に通過できる可能性があります。
さらに、2社間ファクタリングであれば売掛先に知られず資金調達できます。
メリットの多いファクタリングですが、高い手数料負担は確実に事業の収益を圧迫します。
できるだけ利益を残すため、手数料のリーズナブルなファクタリング会社を利用しましょう。
ファクタリングの仕組みをしっかりと押さえ、上手に利用して安定した経営を実現してください。
ファクタリングは資金繰り対策の有効な手段となります。
取引先に知られない方法もあり、社会的信用を毀損することなく利用することもできます。
コロナの影響で先行きも見えない状況です。このような資金繰り対策もご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。